レアアースの鉱床は世界各地に分布しているものの、生産されるレアアースのほとんどは中国産だ。かつては政治にも利用され、極端な価格のつり上げや輸出制限が行われた中国産レアアースだが、今では状況が一転し、価格が暴落しているという。
 

 中国メディアの今日頭条は18日、中国のレアアースは輸出量が増えると同時に価格が下落していることを指摘し、「中国は今後、自分自身をどうやって救えば良いのか」と嘆く記事を掲載した。

 記事はまず、中国産レアアースについて「2016年1-9月の輸出量は前年同期比49.6%増となったものの、価格はそれに反比例して下落している」と紹介。16年1-9月の輸出価格は前年同期比で37%も下落したと伝え、価格下落の理由として中国国内の過剰生産と在庫過剰、違法な採掘、密輸、また応用技術開発によるレアアース自体の需要の低下などがあるとした。

 そのため、中国のレアアース各社は厳しい経営を強いられているようで、レアアース市場低迷で業界の価格競争が激化している。過去には中国に多大な利益をもたらしたレアアースだが、中国は今後、レアアース業界の苦境をどのように改善すべきだろうか。

 記事は、需要を圧倒的に上回る過剰な生産能力や在庫の存在を指摘し、「法整備の遅れや、欲にまみれた企業による乱採掘を野放しにしてきた国に責任がある」と指摘。取り締まり強化の必要性を指摘し、企業の統合と採掘ルールの厳格化、環境保護などに力を入れる必要があると論じた。

 中国はレアアースを戦略資源として活用し、輸出制限を行うことで外交的に優位な立場を確立しようとしたが、日本企業の技術開発などによって需要が大きく低下し、結果的には自らの首を絞める結果となった。違法な乱採掘や密輸による価格下落など、中国産レアアースはもはや「レア」ではなくなりつつあるのかもしれない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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