現代の日常生活の中で、正座をする機会はどれほどあるだろうか。そもそも床に座ることもあまり多くなく、座ったとしても胡坐をかいたり足を崩して座ることの方が多いように思える。
茶道や華道、囲碁将棋といった世界では正座は一般的。あとは子どもが親に叱られる時ぐらいだろうか。

 中国メディア・今日頭条は24日、「中国では早々に失われた伝統を、日本人は1000年以上使い続けている」とする記事を掲載した。その伝統とはすなわち「正座」である。

 記事は、古代日本が誕生して以降、日本人の生活には正座をする習慣があり続けてきたと紹介。日本人の家を訪れ、和室の居間に入れば、ちゃぶ台に向かい合うように正座してお茶を飲んだりしゃべったりすると説明する一方で、「多くの中国人にとっては少々受け入れがたい習慣である」とした。

 そのうえで、実はこの「受け入れがたい習慣」の起源は「われわれ中国にあるのだ」と説明。まだ椅子のなかった春秋戦国時代には、君子と臣下が国家の大事を話し合う際に「両膝を地面につき、尻でかかとを圧し、丹田に気を沈める」べく、互いに正座をしていたと伝えた。南北朝時代に入ると「席子」というクッションのようなものが登場するも、依然として正座の時代は続き、唐の時代に入ってようやく椅子が発明され、皇帝が玉座に座り、臣下が立つというスタイルが確立されたのだと紹介している。

 そして、日本については中国の秦の時代に徐福によって伝えられた、あるいは唐の時代に伝わったなど諸説あるものの、「いずれにせよ中国から入ってきたのだ」と説明。中国ではすでに使われなくなった正座の礼儀が日本で受け継がれ、1000年以上も守られているのであると結んだ。

 もともと中国で生まれた座り方であるにも関わらず、日本の和室での正座が「受け入れがたい」というのは、ちょっとおかしな話だが、遠い昔に正座を捨てたことの表れと言えるだろう。
すぐに足がしびれて動けなくなってしまう正座だが、やってみるとなんとなく気持ちがスッとした感覚がある。その感覚があるからこそ、「正座」が日本の文化に根差し、今に至るまで伝わっているのかもしれない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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