日本でも毎年新語・流行語大賞が発表されているように、中国でもその年に流行った言葉がメディアによって紹介されている。中国メディア・新華網は14日、中国の文芸雑誌「咬文嚼字」が発表した今年の10大流行語の1つに「工匠精神」、すなわち、「匠の精神」が入ったことを報じた。


 今年は中国のメディア上において、とにかく「匠の精神」という言葉が頻繁に用いられる1年だった。中国メディア・今日頭条は17日、「匠の精神」が流行語に選ばれたのに際し、改めて「日本人の匠の精神に学ぶべきだ」とする記事を掲載した。

 記事は、「匠の精神を語るうえで、日本の事を語らないわけにはいかない」としたえうで、その精神を体現している日本の「匠」を紹介。半世紀以上寿司づくりと向かい合ってきた「すきやばし次郎」の小野二郎氏のほか、「永久に緩まないネジ」、「竹工芸の匠」、「藍染の匠」などを挙げた。そして「匠の精神」とは精巧にモノをつくる意識の事であり、各工程の細かい所まで心を込めて磨きあげ、卓越を追求するものであると説明した。

 また、中国に「匠の精神」が不足していることを象徴する事象として、中国人観光客による日本での「爆買い」について言及。「爆買いをするおじさんやおばさんは、生活という戦場で何十年も頑張ってきたベテラン。何がいいか悪いか、知っていないはずがない」とし、中国製品に問題があるからこそ日本の製品を買いに行く動きが起きるのであると論じた。

 記事は「日本製品をボイコットする前に、愚か者を排斥せよ、という人がいる」としたうえで、「中国には匠の精神が必要。製品の質を高めてこそ、強者がひしめく世界で地に足を着けることができるのだ」と結んでいる。

 「匠の精神」は、李克強首相が今年3月に全国人民代表大会(全人代)で発表した政府活動報告の中で示されたもの。これ以後、中国国内で「匠の精神」という言葉のブームが巻き起こったのだが、当然ながら職人気質や「匠の精神」は一朝一夕で培われるものではない。
単に今年の流行語に選ばれて終わり、ということになれば、中国にありがちな「スローガン倒れ」になりかねない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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