「中国ではごく当たり前に、食事中は近くのテレビからドラマが流れている。仕事中はパソコンのそばに携帯を置いておくし、地下鉄に乗るときは言うまでもない」。
中国メディアの環球網は15日、スイス紙のターゲス・アンツァイガーが14日に掲載した記事を取り上げ、「外国メディアを驚かせる中国人の“テレビドラマ中毒”」について報じた。

 環球網の記事によると、「中国では毎年3万話のドラマが制作される」という。3万話という数字は現実感がないように感じられるかもしれないが、中国には数百のテレビ局があり、すさまじい数のチャンネルで日々ドラマを放送している。放送のペースも日本とは異なり、同じドラマが連日2話ずつオンエアされるという密度の濃さだ。再放送も頻繁に行われ、ネットドラマも多数制作されるなど、「中毒」になるための環境が整っている。

 2018年最大のヒット作は、清朝・乾隆帝の時代を舞台にした宮廷闘争ドラマ『延禧攻略』(全70話)だ。記事によるとこのドラマは、中国の動画サイトだけでも150億回再生されたという。ところが、先月27日に香港メディアの香港01が報じたところによると、中国共産党機関紙の「北京日報」が、宮廷闘争ドラマに描かれる華美な暮らしや謀略などについて、「社会主義の核心的な価値と相容れない」と批判する社説を掲載。その直後、『延禧攻略』などの放送が中止されたほか、新ドラマの放送も延期される事態となっている。歴史ものにまで圧力をかけられては、ドラマ中毒者たちが黙っていないのではないだろうか。

 なお、『延禧攻略』は、日本でも今月18日からCSチャンネルで放送開始予定だ。日本語版のタイトルは『瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~』。
邦題の印象はさておき、この機会に中国ドラマの魅力に触れてみるのもいいかもしれない。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF) 


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