2019年の中国の労働節休暇は4連休となり、中国で人気のある観光スポットでは、相変わらず「後頭部」観賞が主流のようだ。連休を利用して家族水入らずで旅行に出かけたい気持ちは万国共通であるが、乳幼児を持つ親は、安心して外出できる環境にはないようだ。
赤ちゃんへの授乳について、頭の痛い問題が常につきまとっているからだ。

 中国で連休期間中、公共の場での授乳に関する記事が少なからず1つや2つは投稿されるが、「下品な行為」とのコメントを残す人もいる。これに関して、中国のニュースサイト・虎嗅(フーシュー)は6日、「本来ならば母乳を与える営みは、赤ちゃんの健やかな成長を支えるための行いでありながら、なぜか道徳観が先走りして、その行為そのものが批判されるようなことがある。授乳室など、公共空間の整備といった、社会インフラにフォーカスしなくなった」と指摘した。

 記事は、「公共の場での授乳」に関するアンケート結果を公表した。コメントには、「公共の場での授乳は控えてもらいたい、下品な行為」、「迷惑行為」、「恥ずかしい行為」など、批判的な意見もあったが、「赤ちゃんが泣き出すので、やむを得ない行為」、「インフラの導入問題が先」、「公共の場での授乳は女性の権限であり、保護すべき」といった、擁護する声も上がった。

 中国で授乳中のお母さんは場所選びに困っているという実情は、確かに存在する。なぜなら専用の授乳室などは高級百貨店が設置している程度で、少し遠出するのに使用する主要駅や空港などの場所に普及しておらず、設置されていたとしても、設計図は使用する人の立場に立ったものではないからだ。

 そして、具体的な設置数は、経済メディアである「第一財経」傘下の「新一線都市研究所」が公表したデータによると、「中国国内に設置されている授乳室は3000部屋足らず」だという。主要都市である北京においでも300部屋程度にとどまり、年間約20万人という新生児の出生人口から考えると、利用できる施設はごく僅かだ。日本の整備状況について、東京都を事例に出生人口の約8万人に対して、使用できる授乳室は5000部屋を超えると説明した。

 中国は一人っ子政策を撤廃して、2016年より二人っ子政策が全面的に実施されているが、ベビーブームは起こらず、2018年の出生人口は2017年より200万人減少し、約1523万人にとどまった。
安心して子育てができる環境として、こうした社会インフラの整備が少子化の進行に歯止めをかけることにつながると伝えている。(編集担当:Sailed)(イメージ写真提供:123RF)


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