最近、中国から工場を撤退させて日本国内へと回帰する企業が増えているが、それはいったいなぜなのだろうか。中国メディアの網易はこのほど、「日本企業はなぜ工場を日本に戻しているのか」と題する記事を掲載した。


 記事によると、工場を日本へ移転しているのはいずれも中国でも有名な大企業で、かつて1980年代には人件費の安さから次々と中国に工場を建てていたそうだ。今でも人件費は日本の方が高いが、日本に工場を戻してしまって価格競争ができるのだろうか。記事によると、中国も以前ほどコスト面での魅力がなくなっているため、日本企業の日本回帰は「理性的な決定」だとしている。

 中国では近年、人件費が上がり続けている。そのため、単位労働コスト(ユニット・レーバー・コスト)に限れば、中国はすでに日本を超えているのだという。これは、企業がある製品を一定量作るのに必要とする労働経費で、すでに2013年には日中が逆転したため、中国で製造する魅力がなくなっていると言えるだろう。
これには、不動産価格の大幅な高騰も関係していると分析した。

 とはいえ、全体のコストが上がっても、それに見合う付加価値があれば別だ。しかし記事は、中国の製造業はローエンドとミドルレンジに集中していて、主にミドルレンジ・ハイエンドに集中している日本製品のイメージと影響力には及ばず、「コストは上がっているのに付加価値はついてこない」状態だと伝えた。

 日本企業が、工場を続々と国内回帰させているのは「理性的な判断」と言えるだろう。記事は、中国人でさえ日本旅行で大量の日本製品を買って帰ると指摘、中国人にも中国製品より日本製品のほうが愛されていると残念がった。かつては世界の工場と呼ばれた中国も、人件費の高騰でその魅力はすっかり薄れてしまったといえるだろう。
多くの企業が中国から撤退する流れはなかなか止まりそうにはない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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