新元号令和の発表直後の4月9日、麻生太郎財務大臣は1万円、5千円、千円の新紙幣を2024年度上期をめどに発行すると発表したが、それから間もない4月30日、中国人民銀行も新たな50元、20元、10元、1元紙幣と1元、5角、1角硬貨を本年8月30日に発行すると発表している。

 中国メディアの集幣在銭は7月8日、新版人民元発行に関連するいくつかの疑問について、中国人民銀行がオフィシャル・ブログ上で説明をおこなったと報じている。


 同記事によると、第一の疑問は新版人民元の発行はインフレーションを引き起こさないか、ということで、これに対し中国人民銀行は、「古い人民元を新しい人民元で置き換えるだけであり現金の流通量は不変なのでインフレーションにはつながらない」とした。

 第二の疑問はスマートフォンによる支払いが普及するなかで新たに現金を発行する必要があるのか、ということ。これに対しては、「現金の使用は減っているものの、現金使用の歴史、消費者の習慣、辺境地区や特定グループの人々の需要を考えれば現金は今後もかなりの長期にわたって中国の重要な支払い手段であり続ける」と回答した。

 第三の疑問は、なぜ新版人民元には5元紙幣と100元紙幣がないのかという点で、中国人民銀行は、「額面金額が小さく流通量の比較的少ない5元紙幣については現在研究を進めている新技術を適用したうえで別途発行するとし、100元紙幣については2015年11月に偽造防止措置等を施した新版を発行したところであることから今回は新版を発行しなかった」とした。新技術を適用する5元紙幣については、プラスチック紙幣になるかもしれないと噂されている。

 同記事は、このように中国人民銀行の説明を引用したあとで、「しかしながら、新版人民元の正式発行の前に偽造通貨判別方法についての知識普及を進めることが大いに必要」と結んでいる。中国では、50元・100元といった高額紙幣を中心に偽札が横行しており、依然として現金決済が中心となる旅行者は特に、紙幣の取扱いに気を付けたい。

 日本の新紙幣発行は、発行の5年も前に発表がなされたことや世界では偽造対策としては高額紙幣を廃止する流れであるにも関わらず1万円札の刷新をもおこなうことなどから、改元と新天皇即位という一連の祝賀ムードを一層盛り上げることが目的ではないかとする報道がみられたが、中国での新人民元発行は純粋に偽造紙幣防止の観点からおこなわれることは疑いの余地がないといっていい。(イメージ写真提供:123RF)


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