中国メディア・参考消息は25日、「どうして日本企業は中国から撤退できないし、撤退したがらないのか」とする記事を掲載した。

 記事は、香港メディア・亜州時報の報道を引用。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が昨年9月に実施した調査結果で、中国に拠点を置く日本企業で生産ラインの移転を検討している割合が7.2%にとどまり、19年の9.2%よりも低い水準になったと紹介するとともに、実際の数字はさらに低いはずだとの見方を示した。

 そして「日本の大部分の商品を誰が買っているかを見ればすぐにわかるが、中国と経済的な関係を断ち切ることはそもそも現実的ではない」とし、現状では日本の経済、企業が中国に大きく依存している現実があると指摘。日本のアナリストからも「過度の依存を避けることが日本企業の意思決定者たちの目標だが、中国市場での活動を考えないというのは日本企業にとって想像もできないこと」との意見が出ていると伝えた。

 また、これまでに多くの著名な日本企業が一部の生産ラインを中国からベトナム、タイといった新興国に移転してきたとする一方で、以前に比べて各種コストが上昇したものの「中国の規模に勝る生産拠点候補地はない」と論じ、新型コロナウイルスの感染拡大をいち早く抑え込んだ中国では昨年も2.3%の経済成長を実現し、今年はさらに8%の成長を見込んでいると説明。「日本企業の意思決定者は、トランプ前大統領や安倍晋三前首相が理解していなかった『中国と共生することを学ぶべし』という点を悟っているようだ」と評している。

 記事は、米中関係についてバイデン新政権に代わってどこまで改善するかは予測が難しいとし、日本が仮に環太平洋パートナーシップ協定(PTT)への復帰を米国に促し、米国が再加入を選択した場合、日中間の経済、貿易関係に影響が生じる可能性があると紹介。「しかし、巨大な規模を持つ中国は今や、日本にとっては紛れもなく適応すべき生産拠点だ」とし、「日本が努力すべきは中国との関係を終わらせることではなく、構築しなおすことだ」という米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザー、スコット・ケネディ氏の話を伝えた。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)


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