
特にコロナ禍になった昨年の成長は「ちょっと贅沢」の言葉の響きやブランドコンセプトが追い風になったとみられる。
取材に応じたAGFの鶴岡俊哉リテールビジネス部マーケティング第2グループ主任は「コロナになって“おうち時間を楽しみたい”“ちょっと贅沢な時間が欲しい”ニーズが高まったときに、ブランドコンセプトや青色を基調とした高級感がぴったりはまったのだと思う」と語る。
中でも高い伸びをみせているのが一杯抽出型のドリップコーヒーで、4-12月のドリップコーヒー市場が前年同期比13%増と推定される中、「ちょっと贅沢な珈琲店」は市場を上回る成長を遂げ直近の1月と2月も絶好調となっている。
レギュラーコーヒーの大袋タイプを含めてブランド全体で配荷拡大と導入店の売上拡大を続けていることが原動力になっており、これにはエリア限定商品の展開も寄与。
「エリア限定商品はわかりやすさや地元愛などで支持される傾向にある。昨年発売開始した『東海 喫茶店のモーニングブレンド』のドリップコーヒーは、販売店当たり販売個数で『スペシャル・ブレンド』を超える実績を記録した」と振り返る。
さらなるブランド強化と販売拡大を目指し、昨秋から今年にかけて挑んでいるのが産地訴求商品。
昨年8月に大袋タイプでブラジル最上級グレード豆#(タイプ)2を100%使用した「レギュラー・コーヒー ブラジル最上級グレード豆」を発売開始。これに続き今年2月24日にはドリップコーヒーから「ハンディドリップ コロンビア」シリーズを新発売した。
産地を訴求するプレミアムタイプ(高価格帯商品・こだわり商品)などは店頭での訴求が難しいとされる中、その勝算は、外食のカフェや喫茶店で求められていたニーズが家庭内に入ってきている点にあるという。
「ハンディドリップ コロンビア」シリーズの〈バジェデルカウカ〉と〈ウィラ〉2品 「コロナで昨年4月以降、プレミアムタイプを含めた市場が大きく伸長した。その内容をひもとくと、カフェ・喫茶店の高品質なコーヒーが外で飲めなくなり、家庭の中に入ってきている。ドリップコーヒーの流入先も従来のインスタントコーヒーから変わってきている」と指摘する。
「ハンディドリップ コロンビア」は、FNCコロンビアコーヒー生産者連合会を通して購買したサスティナブルなコロンビア産コーヒー豆100%のシングルオリジンコーヒーで、コロンビア産の中でもバジェデルカウカとウィラの二大産地に特化したシングルオリジンコーヒーに仕立てられている。
「ハンディドリップ コロンビア」の〈バジェデルカウカ〉は、オレンジのような爽やかな果実感とすっきりとした酸味が特長で、〈ウィラ〉はマスカットのような爽やかな香りとブドウのような芳醇な甘みが特長となっている。
ともに5袋入りで想定定番売価は税別350円。

裏面にもこだわり、2品それぞれに産地の標高や精製方法などを記載している。
発売開始後は、トライアル獲得のためのデジタル施策を予定。
「チラシ商品ではないので、定番棚での回転を見極めつつ、産地訴求では新参者なのでまずはターゲットを絞った上で認知とトライアル獲得のための施策をWEBとSNSで検討していく」と意欲をのぞかせる。