飲料リサイクルボックス 広がる異物混入阻止の輪 異業種連携でJTが協力
(左から)北出裕介氏(日本クロージャー)、成田直氏(アートファクトリー玄)、河野敦夫専務理事(全清飲)、白石和弘自販機部長(全清飲)、植田真哉氏(フジシールインターナショナル)
キャップ・ラベル業界も巻き込み資源循環を加速

全国清涼飲料連合会(全清飲)は、異業種と連携し飲料リサイクルボックスへの異物混入阻止の活動を強化するとともに、今回からペットボトル(PET)だけではなく新たにキャップとラベルの分別回収も進めることでカーボンニュートラルの実現を図っていく。

飲料業界では、使用済みのPETをきれいな状態で回収・リサイクルすることで再びPETとして使用するPETの100%有効利用に取り組んでいる。
リサイクルボックスへの異物混入阻止はその一環で、タバコの吸い殻やプラスチックカップといった飲料容器以外の異物混入は100%有効利用の大きな阻害要因となっている。

異物混入阻止に向けて、飲料容器の投入口を下向きにして投入口を見えないようにすることでゴミ箱感をなくした新機能リサイクルボックスを開発。

昨年11月、東京都渋谷区を中心に20か所で実施したところ、異物混入割合は従来デザインの43%から29%へと14%改善したことが判明した。今回、これをさらに改良。22年秋に業界統一仕様とすることを想定し、スチール製からプラスチック樹脂製にして標準化を図ったほか、投入口の角度と高さをさらに最適化して機能強化を図った。

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(左から)北出裕介氏(日本クロージャー)、成田直氏(アートファクトリー玄)、河野敦夫専務理事(全清飲)、白石和弘自販機部長(全清飲)、植田真哉氏(フジシールインターナショナル) 今回、この改良された新機能リサイクルボックスを用いて、農林水産省の支援の下、異業種と連携して静岡県浜松市、愛知県岡崎市、三重県津市で実証実験に取り組む。

2日発表した全清飲の河野敦夫専務理事は「取り組みを一層拡大していくためには清涼飲料業界だけでは限界があることから今回連携パートナーを拡大した。さらにカーボンニュートラルを進めていくためキャップ・ラベルの分別回収や再商品化も検証する」と語る。

異業種連携では日本たばこ産業(JT)やラベル・キャップ・リサイクルボックスの各メーカー、日本自動販売協会が協力。

JTは、これまでの実証実験でタバコ関連が異物の4分の1以上を占めることからポケット灰皿の配付や公共の喫煙所でのポスター掲示による啓発活動を予定している。

浜松市と岡崎市では、それぞれ新機能リサイクルボックス40台を2週間設置し、異物の状況を現行のリサイクルボックスと比較する。それぞれ40台の半数には透明なキャップ・ラベル分別回収ボックスが併設される。


設置ロケーションは日本自動販売協会の協力の下、利用者が多く行動変化の検証に適している場所を選定。アウトロケーションがメーンで、40台のうち5台がインドアロケーションに設置予定。

津市には100台設置され、浜松市と岡崎市とは異なり、三重県で行われる啓発活動の効果を検証していく。

今後の展開について全清飲の白石和弘自販機部長は「異物がある程度低減されれば、来秋をめどにアウトドアを優先して新規設置あるいは入れ替えのタイミングで切り替えていくことを業界の中では合意している。今回の実証実験で低減以外にみえるものがあれば、それを機能に盛り込むことも考えている」と説明。

異物混入は、ゴミ回収のためだけの訪問を余儀なくされるなど自販機オペレーションの阻害要因にもなっていることから、自販機オペレーターの労働環境の改善も視野に入れる。「コロナ禍で売上げが縮小する中で処理コストだけが増えている。これが低減されることで、自販機事業者の働き方改革・福利厚生あるいは賃金に反映されるようなイメージを持ちながら取り組んでいく」と述べる。

2日発表の席上には、キャップメーカーから日本クロージャーの北出裕介氏、ラベルメーカーからフジシールインターナショナルの植田真哉氏、リサイクルボックスメーカーからアートファクトリー玄の成田直氏が登壇した。
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