日清食品チルドは昨秋、チルド麺ならではの本格的なおいしさと保存性の両立に向けたチャレンジを本格化させた。「行列のできる店のラーメン」ブランド、ご当地ラーメンの賞味期限を20日から40日に延長するとともに、「日清の太麺焼そば」「風月焼きそば」ブランドの賞味期限を27日に延長。今春には「日清のラーメン屋さん」「つけ麺の達人」「まぜ麺の達人」ブランド、生中華麺を使用する全商品の賞味期限を40日、蒸し麺を使用する「日清のちゃんぽん」などの商品の賞味期限も27日に延長した。
これにより、同社が販売する商品の約80%で賞味期限が延長された。今秋冬の新商品として8月30日に発売した「鍋焼 日清ラ王」シリーズは、新製法「生めん常温長持ち製法」(特許出願中)により、一般的なチルドタイプの生麺よりも長い50日間の賞味期限を常温で実現させている。
シマダヤは今秋、フレッシュ麺「純麺」の賞味期間を10日に、「藪そば」の消費期間を6日に延長した。品質価値を変えずに賞味・消費期限を延長するのは難題だが、チルド麺業界では、もっとも足の短いフレッシュ麺を含め、大手を中心に賞味期限延長の取り組みが進んでいる。
賞味期限延長は、流通段階での見切りや廃棄ロスを減らし、それに伴う作業も軽減する。「賞味期限延長により、見切りを心配することなく安心して売れるという点で、(チルド麺は)取り扱いやすい商品という位置付けになっていくだろう」(メーカー)というように、ロス削減による得意先への貢献に加え、家庭内での廃棄ロス削減にもつながるため、製配販三層に加え、消費者にもメリットのある取り組みとなる。
一方、賞味期限延長の効果を発揮させるには、消費者意識という課題もある。「商品に『賞味期限を延長しました』と表示しているが、お客様に十分に伝え切れていない。
コロナ禍により、チルド麺は新規ユーザーを獲得、2年連続で市場を拡大させた。特需の裏年となる今期は、他カテゴリーへのユーザーの流出も見受けられるが、チルド麺本来の品質価値と保存性を両立し、さらなる市場拡大につなげられるか。今後の成長に向けた課題となりそうだ。