
かんぴょう国内生産量のほぼ100%を占める栃木産。
ピークの78年に3040haあった作付面積は、現在では当時の3%に満たない。かつて5000tを超えた生産量も、16年に初めて300tの大台を下回ってから5年で早くも200t割れを喫したことになる。
かんぴょう作りは酷暑シーズンの重労働ということもあり、高齢化が進む農家では生産からの撤退が毎年相次ぐ。後継者や新規参入も少ないことから、生産者は減少の一途をたどる。
「作業には最低でも3、4人は必要にもかかわらず、なかには2人でやっている農家もある。たまに30代くらいの若い人が新たにかんぴょう作りに参入すると珍しがられて、TVの取材も来るほどだ」(産地問屋)。
一方、国内供給量の約8割をまかなう中国産かんぴょうの10月までの輸入量は、前年同期比95%で推移。中国の産地でも、人件費の高騰を背景により高収益の作物へのシフトが進み、作付の減少が続いている。コロナ禍で唯一の輸出先である日本の需要が減少しつつあることから、現地の生産意欲は昨年から一層低下している。昨年までは一部東南アジア産も輸入されていたが、今年はこれまでに中国以外からの輸入実績はゼロだ。
国内生産量と輸入量を合わせた総供給量は、年間1000tの大台割れに近づきつつある。
供給量は右肩下がりが続く 寿司店の需要低迷で打撃 復権目指す動きも
供給量とともに、需要も低迷。昨年来のコロナ禍で、外食、とりわけ寿司店の需要低迷がいまだに大きく影を落としている。
「スーパー向けの販売はまずまずだが、主力の寿司店をはじめ、やはり外食需要の落ち込みは相当なもの。とくに大都市圏では、昨年はほとんど全滅みたいな状況でかなり厳しい一年だった」(栃木県干瓢商業協同組合 伊澤茂理事長)

「全国にアピールできるようインスタグラムでも発信し、県内にとどまらず幅広いPRにつなげることを目指した。寿司だけではない、かんぴょうの新たな使い方が生まれるきっかけになることを願っている」(伊澤氏)
WEBでの発信や店頭での販促などに生かし、市場活性化につなげたい考えだ。