立命館大学の食マネジメント学部は、このほどオンラインプレスセミナーを開催し、これまでの教育・研究活動を振り返り、国内外でのさまざまな活動事例を発表した。

 天野耕二食マネジメント学部長は「食マネジメント学部はマネジメント、カルチャー、テクノロジーの3つの領域から食を総合的・包括的に学ぶ日本ではこれまでにない学部だ。
実社会との接点、現実的な感覚を持ちながら、食に関する課題解決に寄与できる人材を育成したい」と語った。

 活動事例は、「グローバル・DX」「観光復興・地域連携」「SDGs」の3つの観点から報告された。

 「グローバル・DX」では、「ガストロエデュ・プロジェクト」を展開。同大学と協定を締結しているイタリアの食科学大学や真のナポリピッツァ協会、スペインのバレンシア果樹園などとオンラインでつなぎ、トマト、レモンなどの食材や食文化を多面的に学ぶ教育プログラムを構築した。

 「観光復興・地域連携」では、産学官連携による“食”に関わる課題解決を実践した。
 今年は香川県丸亀市や観光協会、地域企業と連携して「食と観光まちづくり」に取り組んだ。


 地元シェフや企業と共同開発した料理「まるがめピンチョス」では、県オリジナル品種の青菜「食べて菜」や唐辛子「香川本鷹」を使ったレシピを自主制作パンフレットで紹介。パンフレットを市役所や観光案内所に設置するなど丸亀市の魅力情報発信に貢献した。

 「SDGs」では、産学官連携による地域産業振興や食品ロス削減などに取り組んだ。
 お土産コンテスト「ぎゅっと滋賀」を立ち上げ、昨年12月には応募作品をヒントに滋賀県産のほうじ茶を使用した菓子「シガトー」を地元企業と共同開発。約1万5000箱が完売となり、現在もスーパーや百貨店で再販売している。

 また、滋賀県蒲生郡日野町にある農業公園ブルーメの丘とのプロジェクトも開始した。

 ブルーメの丘で搾乳されるジャージー牛の乳が、冬季に利用されにくく廃棄される問題に対して、新たな商品開発を産学官共同で手掛けることで課題解決を図り、地域の魅力発信につなげる考えだ。

 食マネジメント学部には現在1238人(5月1日現在)の学生が在籍し、来春3月には学部1期生が卒業を迎える。

 天野学部長は「今後も自治体やJA、レストランとの共同プロジェクトを活発に行い、商品の共同開発などを通して地域活性化、消費喚起策を進めたい」と力を込めた。