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2年半以上続いている新型コロナウイルスの感染拡大、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻、さらにはコストインフレの拡大などにより、国内外の経済・社会が大きな影響を受けている。
前回も国際貿易交渉という大きな課題を背負っての会長就任だったが、環境や対処の方法こそ異なるものの会員各社とコミュニケーションをとりながら意見を取りまとめ、所轄官庁に働きかけるという意味では共通していると感じる。
重点事項は3点ある。「輸入小麦の政府売渡価格への対応」「小麦粉の安定供給」「内麦振興」だ。岸田文雄首相は10月の輸入小麦の政府売渡価格を現在の水準に据え置くよう、野村哲郎農水大臣に指示した。小麦粉ユーザーである2次加工業界が製品の価格転嫁に苦慮されている現状も耳にしている。価格転嫁が需要減につながり、最終的には国民生活に影響を及ぼす事態を考えると、岸田首相の指示は大きな意味があると理解している。
ただ一方で、相場に大きな変動があった際も売渡価格への影響が緩和されるという現行の国家貿易制度が、国民生活の安定に貢献しているということについてもあらためて認識する必要があるのではないか。来年4月以降の輸入麦価は、これまで通り制度に則って改定していただけるようお願いしたい。
「小麦粉の安定供給」は業界の社会的使命だ。
「国内麦」は近年天候に恵まれ豊作が続いており、供給量も増加している。一方でパンデミック以降は小麦の需要量が減少し、以前の水準までは回復していない。業界と会員おのおので需要拡大に向け、さらなる努力をする必要がある。生産者においても品質向上や作付面積の維持に取り組んでいただきたい。実需者と生産者がそれぞれの立場で一層の努力を行うことが需要拡大につながると考える。