24年度、経常利益100億円を達成したJ-オイルミルズ。22~23年にかけて、歴史的な油脂コスト高騰で厳しい業績が続いたが、佐藤達也前社長(現会長)のもと「復活と成長」を掲げ、構造改革と経営基盤強化により、2期連続で過去最高益を更新した。
佐藤前社長からバトンを受け継いだ春山裕一郎社長は「外部環境の変化をリスクではなくチャンスと捉え、成長への舵を切る」と力強い決意を表明した。

春山社長は1993年に住友化学工業(現住友化学)に入社。生産管理や管理会計といった基礎業務から、海外企業との契約交渉、中期計画の策定、さらには新規事業の企画まで幅広い業務に携わってきた。

特に印象的な経験として挙げるのが、旧住友製薬と旧大日本製薬の合併推進室での1年間。異なる企業文化を持つ企業の対等合併は、苦難もあったが学ぶことも多く、3社合併で発足したJ-オイルミルズでの業務にもつながる部分は多い。

その後、米国グループ会社のCFOとして赴任。コロナの発生直後で日米の企業文化の違いに直面しながらも、従業員との対話を通じて「前向きな変化を起こし、社内で共有することで一体感を醸成できた経験をJ-オイルミルズの経営にも生かしていきたい」と語る。

22年にJ-オイルミルズ入社後は、約3年間コーポレート部門で財務や経営企画を担当。厳しい外部環境に晒される中、家庭用マーガリンからの撤退も含めた構造改革を推進し、2023年度からは「攻め」の姿勢で中長期的な戦略策定に注力してきた。

今年4月に社長CEO就任、今後の経営戦略の柱として「成長戦略」と「経営基盤の強化」を掲げる。

「成長戦略」では、売上の約9割を占める油脂事業の収益力最大化がテーマとなる。強みである強固な顧客ネットワークを生かし、長持ち油やスターチといった独自の技術力を掛け合わせた「おいしさデザイン」を推進。
顧客課題に迅速に対応し、新たな価値を創造し、選ばれ続ける企業を目指す。将来に向けた積極投資も進め、「JOYL」らしい事業の幅を広げるとともに、アジアや北米市場をターゲットとした海外展開も加速させる。

経営基盤の強化では「AIが進化しても、そこに意思を込めるのは人」であり、人材育成により従業員のポテンシャルを最大限に引き出す組織風土づくりに注力する。社長就任直後から社内の人材育成を推進する人材委員会を新設、研究開発拠点の統合など具体的な施策を矢継早に実行してきた。

さらなる成長実現に向けて、「25年度は小さなことでもいいので、切れ目なく前向きな変化を起こし続けることにこだわっていく」と意気込みを語る。
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