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そうそうたる面々を倒し続け、見事優勝したツートライブのたかのり(左)、周平魂

5月17日に放送された『THE SECOND』で、下馬評を覆し頂点へと駆け上がったツートライブ。なぜダークホースの彼らは優勝できたのか? 今大会の舞台裏、そして優勝した現在の心境、さらに今後の意気込みについて語ってもらった!

■猛者を倒したなら面白いに決まってる

――優勝おめでとうございます! 「これ優勝するかも」と思った瞬間はありましたか?

周平魂(しゅうへいたましい) ありがとうございます! グランプリファイナル初戦で295点(300点満点)が出たときはさすがに一瞬思いましたよ。どんな人間でも295点なんて出ちゃうと......(笑)。

でも、優勝が頭によぎると平常心を保てなくなるから、すぐに気持ちを切り替えました。そもそも、とんでもないメンツがそろった大会だから「優勝するわけない」と思ってたし。

たかのり 18年やってきて、「俺らは"かかった"り、緊張したりするといい結果が出ない。ナメてるぐらいがちょうどいい」ってわかってるんです。だから、グランプリファイナルの最高得点が出ても、「次で無理やろ」って切り替えてやれましたね。

周平魂 そういう自虐的な芸人人生でしたから(笑)。けど、今回はそのメソッドがお守りになりました。

"大阪の愛され漫才師"が見事優勝!『THE SECOND』3代目チャンピオン、ツートライブインタビュー
ツートライブのたかのり(左)、周平魂

ツートライブのたかのり(左)、周平魂

――295点を出した初戦で、会場を味方につけた感覚は?

周平魂 逆に笑ってくれすぎて緊張しましたよ。徐々に伝わっていくはずのネタなのに、すぐにパーンと笑いが来て「うぇっ!?」って(笑)。

たかのり
 ウケすぎて、びっくりした顔してたな(笑)。

周平魂 「こんなん、もうスベれへんやん」と思ったタイミングで噛んだので、そこで通常運転に戻れました。

たかのり 僕は初戦のウケ方を見て、(昨年優勝の)ガクテンソクの奥田(修二)さんが「『THE SECOND』は誰と戦ってきたかによって、お客さんの味方度合いが違う」と言ってたのを思い出しましたね。

例えば、僕らが予選でジャルジャルさんに勝ったときに、ジャルジャルさんを応援してた方々が「次はツートライブに勝ってほしい」となる。そんな感じで、熱烈に応援されてきた対戦相手を倒すほど、お客さんの味方度合いが高くなるんじゃないかっていう。

周平魂 それが実際の点数にどれほど反映されるのかはわからないですけど、予選から、コンビが背負う空気感の塊みたいなものはデカなってるんやろうなと思いますね。

たかのり 最終決戦で審査していた観客の皆さんはきっと予選も見てますから。それがあって、「この芸人なら安心して面白がれる」っていう温かい感じが最初からあったんだと思います。

何も知らないまま僕らが最初に出てきてたら、絶対に「誰やねん」って空気になってたはずですから。

周平魂 「ジャルジャルとななまがりを予選で倒したコンビなら面白いに決まってる」という最高の空気でやれました。

"大阪の愛され漫才師"が見事優勝!『THE SECOND』3代目チャンピオン、ツートライブインタビュー
架空の変な人物を紹介する漫才で会場は爆笑。キラーフレーズは「本当においしい肉は硬くてマズい!」©フジテレビ

架空の変な人物を紹介する漫才で会場は爆笑。キラーフレーズは「本当においしい肉は硬くてマズい!」©フジテレビ

――そして準決勝の相手は、はりけ~んず。後攻で迎え撃つ前はどんな心境でしたか?

周平魂 1回戦が終わった後、ふたりで2本目のネタを合わせたらぐちゃぐちゃやったんですよ(笑)。「いっぺん落ち着こう」って言って、いろんな人としゃべったり、たばこを吸ったり、ウロチョロしたりして。

トップバッターだったから準決勝が始まるまで2時間ぐらいあって、それでけっこう落ち着いたんです。

たかのり 僕は出番前、裏で「ここは普段出てる寄席会場や」と思い込むようにしてて。劇場で、はりけ~んずさんのような師匠クラスの人がウケるって当然のことだから、その後に出るイメージを持とうと。

そしたら本番中も目の前のお客さんに集中できて、寄席みたいに、右側で大きく笑った方に「ねえ?」って目を合わせて声をかけるぐらい、リラックスしてやれました。

■東京にも拠点がある憧れの芸人人生!

――決勝戦は囲碁将棋。そこでもスタンスは変わらず?

周平魂 変わらないどころか、幸せすぎて泣きそうでしたよ。舞台袖にはミルクボーイさん主催のライブ「漫才ブーム」でご一緒してる金属バットさんや、同じ「森ノ宮シックス」(「森ノ宮よしもと漫才劇場」所属のいぶし銀芸人6組によるユニット)のメンバーである吉田たちさん、劇場でよくお会いするモンスターエンジンさんもいる。

しかも、大好きな囲碁将棋さんはめっちゃウケてるし、僕らも3本目のネタまでさせてもらえる。

たかのり 僕ら、囲碁将棋さんがウケるたびに「よしよしもっとウケろ!」って裏で応援してましたから。

周平魂 こんな最高の状況なら3本目がスベったとしても、舞台袖はめっちゃ笑ってくれるやろうなって(笑)。その安心感があったから、決勝は何も考えず楽しめましたね。

たかのり 何より3本目は自分らが好きなネタだったんです。かかってなかったから、その選択ができたと思うんですよ。

「優勝しよう」と思ってたら、ガチガチになってたかもしれないです。

周平魂 今考えると、局の都合でNGになったほうのネタをやってたら、お客さんが引いたかもなあ。

"大阪の愛され漫才師"が見事優勝!『THE SECOND』3代目チャンピオン、ツートライブインタビュー
グランプリファイナル決勝では、囲碁将棋(左)とツートライブが争い、279点対287点でツートライブが優勝を果たした ©フジテレビ

グランプリファイナル決勝では、囲碁将棋(左)とツートライブが争い、279点対287点でツートライブが優勝を果たした ©フジテレビ

――優勝が決まったときはどんな心境でしたか?

周平魂 マジでわけがわからなかったです。金属バットの友保(隼平)さんが僕に抱きついてくれたときに「あ、ホンマに優勝したんや」と思って。めっちゃうれしいけど、「これホンマか?」「ホンマや......」「いやいや、ありえへん!」をずっと頭の中で繰り返してる状態でしたね。

たかのり 僕も感情がぐちゃぐちゃでした。ただ、友保さんが喜ぶ姿を見たとき、僕が逆の立場やったとしても絶対に喜ぶな~って思って。

優勝したし、お世話になった先輩方に恩返しがしたいんですけど、お金や物だと兄さん姉さんに「ナメんな」って言われちゃうので(笑)、別の何かで気持ちを伝えないと。

周平魂 2019年の『M-1グランプリ』2回戦(大阪)の密着取材で「ライバルは?」と聞かれて、僕が「ミルクボーイさん」って答える動画があるんです。当時はお互いに無名で「誰が誰をライバル視しとんねん」って状態。

でも、その年にミルクボーイさんが優勝。そして今回の優勝で、6年かけてどっちも王者になれたのがうれしいです。

"大阪の愛され漫才師"が見事優勝!『THE SECOND』3代目チャンピオン、ツートライブインタビュー
©フジテレビ

©フジテレビ

――優勝を機に東京進出は?

周平魂 まだそこまで考えられてないですね。

たかのり ただ、さっき見取り図の盛山(晋太郎)さんから「東京の仕事があるときは、YouTubeで使ってる部屋(見取り図ハウス)に泊まっていいから」って連絡が来たんですよ。ありがたい話なので、いったんそこを拠点にさせてもらおうと思ってます。

周平魂 むっちゃラッキーですよね。僕らが憧れてた「東京にも拠点がある芸人人生」の幕開けですよ!

●ツートライブ
2008年結成。NSC大阪校30期生。大学の同級生だった周平魂とたかのりによる漫才コンビ。どちらも41歳。ミルクボーイ、金属バット、デルマパンゲとユニットライブ「漫才ブーム」を行なっている

取材・文/鈴木 旭 撮影/鈴木大喜 写真提供/フジテレビ

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