トヨタの世界戦略車という顔を持つカローラクロス。今回取材したのは最上級モデルだが、ガソリン車の最廉価モデルは200万円を切っている!
9月14日に発売されたトヨタのカローラクロスが、お買い得感の高い価格設定もあり、売れに売れているという。
■受注3万台突破のカローラクロス!
小沢 超激戦区の国内コンパクトSUV市場に大本命が登場したぜ! 9月発売のカローラクロスのことだ。コイツがこのクラスの台風の目になるのは確実。何しろ日本での受注台数はすでに3万台を突破! ちなみに月間販売目標は4400台だからマジで売れに売れている!
――人気の秘密は?
小沢 まず挙げられるのはそのサイズ感。全長4m前半のコンパクトSUVは今日本で一番売れているジャンル。
具体的にはトヨタのヤリスクロスやライズ、ホンダのヴェゼル、日産のキックスが競っている。ただしヴェゼル、キックスに対抗する全長4.2m超のコンパクトSUVがトヨタになかった。
一応、トヨタにはC-HRもあるにはあるが、アレはスタイリッシュすぎて幅広い層には訴求できていない。そこに室内が広く実用的でワイルドルックのカローラクロスが登場。トヨタのSUVシリーズに存在した穴を見事に埋めたワケよ。
――つまり、カローラクロスは大人5名と荷物がしっかり載る日本ジャストサイズのSUVであると。
小沢 そのとおり! それと名前もデカい。
トヨタ「カローラクロス」価格:199万9000~319万9000円、発売:2021年9月、値引き:5万円、リセールバリュー:B。日本仕様のフロントマスクは大型グリルが特徴的。実際、目にするとけっこう迫力のある顔面に仕上がっている。ヘッドライトはLED
ボディサイズは全長4490㎜×全幅1825㎜×全高1620㎜。最小回転半径は5.2m。
カローラクロスは正統派なSUVらしく、前後やホイールアーチにクラッディングパネルが配置されている
――具体的には?
小沢 現行4代目プリウスから採用した新世代のプラットフォームを使い、高いボディ剛性、衝突安全性、スポーティな走りを実現。しかも、トヨタの伝家の宝刀ともいえるパワーと低燃費を誇る1.8Lハイブリッドが選べてしまう!
ただし、カローラクロスがマジで恐ろしいのはコスパなんだよ。セダン、ワゴン、ハッチバック、SUVと4タイプ選べるカローラシリーズのなかで、スタート価格は2番目に安い、199万9000円!
まぁ、お値段もお値段なので、エンジンはちょい古めの1.8Lのガソリンタイプ。本革巻きステアリングもアルミホイールもついていないが、LEDランプ、先進予防安全装備「トヨタセーフティセンス」、電動パーキングブレーキ、7インチのディスプレイオーディオまで標準装備! ぶっちゃけ、この廉価版でも全然アリアリよ!
――なるほど。ちなみに今回試乗したモデルは?
小沢 最上級グレードのハイブリッドZ! コイツの価格は299万円台だが、シートは本革コンビタイプで、電動パワーシートや左右独立エアコンなど至れり尽くせり。
後席使用時のラゲッジ容量は487L。
全グレードに電動パーキングブレーキを採用している。上級グレードはデジタルメーターが標準となる
今回試乗したのは1.8Lハイブリッドモデル。ほかに1.8Lの直4ガソリンエンジンも用意されている
リアシートは大人がしっかり座れるスペースが確保されている。頭上空間にも余裕がある
――見た目やエンジンの印象はどうスか?
小沢 見た目に関しては思っていたよりワイルドだね。左右フェンダーが力強く盛り上がり、カローラシリーズの中で最もヤンチャかなと。
走りも1.8Lのハイブリッドだが、システム出力122PSで1.4t台のボディをグイグイ引っ張る。燃費もスゴくてWLTCモードで26.2㎞/Lを記録。
今回、高速道路を中心に40㎞ほど試乗したが、実燃費でも24.3㎞/Lをマーク。軽くクラストップの数字を叩き出したからね。さらに先進予防安全装備「トヨタセーフティセンス」は、高速道路の追従オートクルーズ走行で完全停止まで可能!
――欠点はない?
小沢 最大の欠点は1.8mを超える横幅だね。日本の道路環境では若干デカいかなと。
――購入時のライバルは?
小沢 最強のライバルはホンダ・ヴェゼル。サイズ的にはヴェゼルが全長4.3m台、全幅1.8m以下でカローラより扱いやすい。それでいてリアシートはカローラより広く、インテリアの上質感もスゴい。
ただし、カローラは燃費、そして487L(後席使用時)のラゲッジ容量がハンパない。ヴェゼルより100L近く広い!
ホンダ「ヴェゼル」価格:227万9200~329万8900円、発売:2021年4月、値引き:10万円、リセールバリュー:B。初代の世界累計は380万台以上を誇るSUVの絶対王者。その2代目となる現行モデルは圧倒的な上質さと室内の広さを誇る
――ほかにライバルは?
小沢 ヤリスクロスはリアシートの広さや車格で考えるとカローラクロスより落ちる。特に大人が4、5名乗る家族だとヤリスクロスは選べないが、でも走りの良さはクラストップ!
それからマツダのCX-30。全長はほぼ4.4mとカローラクロスに次ぐサイズだが、リアシートはさほど広くない。しかし、スタイリングや内装の質感に関してはピカイチ! 価格はガソリン版が239万円スタートで、ディーゼルエンジンも用意されている。個性派SUVを狙うならコイツだ!
トヨタ「ヤリスクロス」価格:179万8000~281万5000円、発売:2020年8月、値引き:15万円、リセールバリュー:B。日本で最も売れているのがトヨタ・ヤリス。そのSUVがヤリスクロスだ。ヤリス譲りの走りの良さと燃費はクラストップ
マツダ「CX-30」価格:239万2500~371万3600円、発売:2019年9月、値引き:8万円、リセールバリュー:B。内装のプレミアム感は他の追随を許さない。マツダらしいスポーティな走りも魅力的だ。エンジンはガソリンとディーゼルを用意
――全車e-POWER搭載の日産・キックスは?
小沢 コイツの過激な電動加速はチョー気持ちイイ! それと日産自慢の運転支援システム「プロパイロット」の操作感もイイぞ!
日産「キックス」価格:275万9900~311万4100円、発売:2020年6月、値引き:10万円、リセールバリュー:B。日産自慢のe-POWERを全車に採用したのがキックスだ。その電動感の強い走りは加速力に優れ、静粛性もすこぶる高い
――ズバリ、カローラクロスはお買い得?
小沢 ぶっちゃけ、総合力で選ぶならコスパ最強のカローラクロスで決まり! ただし、超広いリアシートや質感を求める場合はヴェゼルも検討すべし!
●小沢コージ
自動車ジャーナリスト。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのCARグルメ』(毎週木曜17時50分~)。YouTubeチャンネル『KozziTV』
撮影/出雲井 亨 小沢コージ 本田雄士