やらないといけないことに手がつかない。
ついつい後回しにしてしまう。

わかっているのに面倒くさがって、こういう行動を取ってしまうことはないでしょうか。そして、後で困るのは自分自身。すぐにやらなかったがために周囲の人に迷惑をかけてしまったり、結局締切ギリギリで慌てて手をつけたりすることになります。

そんな「めんどくさがりな自分」を「すぐやる自分」に変えるために、意志の力は必要ありません。行動科学の視点から自分の行動をコントロールする。それが、自分を予定通りに動かす方法です。

『めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法』(竹内康二著、ワニブックス刊)は「後回し」「手に付かない」「気が乗らない」を解決し、自分を予定通りに動かすコツを紹介する一冊。

では、一体どんなコツが書かれているのでしょうか。少し見てみましょう。

■行動改善の基本「ABC分析」とは?

まずは行動を改善する超基本技術として取り上げられているのが「ABC分析」です。これはAntecedent(直前の状況)、Behavior(行動)、Consequence(直後の結果)の頭文字を取ったもの。

まずは、問題となる行動に対しては、このABC分析を行い、その行動の前後の状況を明らかにします。

そして、その行動に影響するAまたはCを変えることで、Bの行動を改善していくことが、基本的な技術であると著者は述べます。

では、なぜ私たちはやったほうがいいことをやれないのでしょうか。著者は、そうした問題は「即時の結果」と「将来の結果」の時間差によって生じると指摘します。

例えば「勉強が手につかない」という場合、勉強中は「つらい」「わからない」「思うように進まない」というネガティブな結果が得られ、しばらく時間が経ってから「優秀な成績が得られる」「何かに役立つ」といったポジティブな結果を実感します。

行動分析学の知見では、「人や動物の行動は即時に生じる結果に強い影響を受け、遅れて生じる結果の影響を受けにくい」ことが知られているといい、時間が経ってから得られる結果では、勉強などの行動を強化することが難しくなってしまうのです。

■コツは「即時結果>遅延結果」の原則に抗わない

では、いかにセルフマネジメントをしていけばいいのでしょうか。


まず、この「即時結果>遅延結果」の原則に反することは得策ではないはず。むしろ、行動とその結果の影響を整備したほうが上手くいきそうです。

そこで著者が提案しているのが、望んでいる結果が生じるまでの間に、中間結果のような強化子を得られるように、環境を整備することです。

フルマラソンに例えると、42km先のゴールを目指すのではなく、まずは1km地点の給水所を目指して走り、次に10km先を目指す。目指す場所を細かく刻むことで、即時結果の強い影響力を活用することができます。

また、勉強であるならば、まずは問題を1問解くだけで良しつぃ、それができたら自分を褒める。

さらに次の問題を解く、といった形です。長い道のりの中に即時結果を得られる機会を意図的に、意識的に設定できるようになれば、自分を思い通りに動かしやすくなるはずです。

 ◇

本書では行動科学から導き出した原理に基づいて。セルフマネジメントの方法やすぐやる人になるための具体的な方法を紹介しています。

すぐできないのは意志が弱いからではありません。まずは本書を通して原理を知り、それを応用して工夫し、自分の行動を改善してみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)