バルセロナがスペイン代表DFパウ・クバルシとの新契約締結に近づいているようだ。スペインメディア『ムンド・デポルティーボ』が29日に報じている。


 2007年1月22日生まれで現在17歳のクバルシは、“ラ・マシア”(バルセロナの育成組織)で育ったセンターバック。2018年夏、同じカタルーニャ州のクラブであるジローナのカンテラからバルセロナへ移籍すると、以降は“ブラウグラナ”のユニフォームを身に纏って成長を続けてきた。今シーズンは前半戦こそバルセロナ・アトレティック(Bチーム)を主戦場としていたものの、今年1月19日に行われたコパ・デル・レイ(スペイン国王杯)ラウンド16のウニオニスタス・デ・サラマンカ戦(○3-1)でハーフタイム明けから途中出場し、トップチームデビューを飾る。以降はトップチームでも主力に定着し、ここまで公式戦18試合に出場。ラ・リーガだけでなくチャンピオンズリーグ(CL)でも最終ラインを支え、守備力は言わずもがな、シャビ・エルナンデス監督からはビルドアップ能力も高く評価されている。

 長きにわたってバルセロナの最終ラインを支えていくことになるであろう“逸材”のセンターバックに対して、バルセロナは早くから契約延長交渉に着手。
今回の報道によると、既に両者は金銭面で合意に達しているという。既にクバルシ側は“昇給”が約束された契約書の内容に満足しており、残すは契約期間のみとなったようだ。バルセロナ側は6年間を望んでいるのに対して、クバルシ側は5年間を希望しているとのこと。一方で、『ムンド・デポルティーボ』によると、この1年間の違いが障壁となって新契約交渉が白紙に戻る可能性は0に近いと伝えられている。

 また、クバルシは現在17歳のため、法律の規定により3年間以上の契約を締結することができない。だが、バルセロナはクバルシと“同期”のスペイン代表FWラミン・ヤマルと同様のやり方、“ラミン方式”で新契約締結までのプロセスを進めるようだ。
この“ラミン方式”とは、ここまでバルセロナのトップチームで成し遂げた功績に併せて給与面など改訂可能な部分を変更し、来年1月にクバルシが18歳の誕生日を迎えると、自動的に新たな条項が盛り込まれた長期契約へと移行するという内容のこと。バルセロナが希望した期間で新契約が結ばれる場合は、2030年6月30日までの契約となる見込みだ。

 一方、ラ・リーガが独自で設けているサラリーキャップのシステムに抵触する可能性が懸念事項として挙げられる。その場合、クバルシはトップチームの選手としてではなく、バルセロナ・アトレティックの選手として新契約を結ぶことになるという。スペイン代表MFガビが通ったルートだ。

 今回の契約延長の最大目的は、“逸材”の安易な流出を避けるところにある。
現在の契約では、1000万ユーロ(約17億円)にも満たない移籍金でクバルシを獲得することが可能だという。つまり、クバルシに対して熱視線を送っているビッグクラブの多くが、そのプレーのクオリティや年齢面だけでなく、安い移籍金で“引き抜ける”状態だった。

 しかし、今回の新契約が結ばれれば、バルセロナが納得できない金額でクバルシの流出を防ぐことができる。報道によると、クバルシの契約解除金は10億ユーロ(約1677億円)に設定される見込み。ヤマルやガビ、ウルグアイ代表DFロナルド・アラウホ、スペイン代表MFペドリ、同FWフェラン・トーレス、同FWアンス・ファティ(現在はブライトンへレンタル移籍中)と同じく、将来を嘱望されたバルセロナの選手として“10億ユーロプレイヤー”への仲間入りを果たすこととなる。

 あくまでこの金額は契約解除金のため、必ずしもクバルシ獲得のために10億ユーロを支払わなければならないわけではない。
だが、バルセロナは予想外のアクシデントを防ぐためにこの金額を設定。“非売品”として、両者が望む限りは“ブラウグラナ”一筋でプレーしてほしいというクラブ側からの願いが金額に表れた形だ。

 バルセロナは2023-24シーズンが終了する前に、クバルシと新契約を締結したいと考えているようだ。17歳の若きセンターバックとの契約延長は、もはや時間の問題と見られている。