輝きを失った“点取り屋”は、カタールで再起を図れるのだろうか。“RDT”の愛称で親しまれるラウール・デ・トマスは、1994年10月17日生まれの現在30歳。レアル・マドリードのカンテラーノではあるもののトップチーム昇格を果たせなかった同選手は、いくつかのレンタル移籍を経て加入したラージョ・バジェカーノで大ブレイク。2017年夏から2019年夏までの2年間でリーグ戦通算65試合に出場し38得点を記録した。
その後はベンフィカでのプレーを挟み、2020年冬にエスパニョールに加入。2020-21シーズンはラ・リーガでのキャリアハイとなる23得点、翌2021-22シーズンも17得点、と抜群のゴール感覚を発揮。そして2021年11月には、スペイン代表デビューも飾ったのだ。
しかしここ数年は、メンタル面での脆さがパフォーマンスに翳りを与えていた。エスパニョールでの晩年は、当時率いていたビセンテ・モレノ監督に、不貞腐れた態度を取ったことで胸ぐらを掴まれたほか、別の指揮官とも軋轢が生じたことが報じられるなど、チームの輪を乱すこともしばしば。また、退団発表の際に、クラブ側が感謝の言葉を示さなかったと糾弾し、SNS上で一悶着を起こしていた。
さらに、2022年冬に復帰したラージョ・バジェカーノにおいても、かつて成功を収めたクラブで再出発とはいかず、2度目の在籍時はリーグ戦通算5得点と鳴りを潜めることに。とりわけ、2024-25シーズンは、「メッセージに返信が来ない」と一時期は音信不通となったのに加えて、冬の移籍市場で“喧嘩別れ”したエスパニョールに戻りたいと意思を固める始末だった。
なお、RDTがレンタル加入するアル・ワクラは、新シーズンより前述したビセンテ・モレノ氏が率いることが決まっている。良くも悪くも自身のことを熟知する同指揮官の下で、かつて“リーグ最強クラスの点取り屋”と評価された輝きを、今度こそ取り戻せるのだろうか。