アタランタに所属するナイジェリア代表FWアデモラ・ルックマンが、自身の公式SNSを通して、移籍希望を正式に表明した。

 現在27歳のルックマンはこれまでにチャールトン、エヴァートン、ライプツィヒ、フルアム、レスターと、出生地であるイングランドを中心に各クラブを渡り歩き、2022年夏にアタランタへ完全移籍加入。
即座に最前線や1.5列目で主力としての立ち位置を確立し、セリエAでは3年連続で2桁ゴールを記録。2023-24シーズンには、ヨーロッパリーグ(EL)決勝の舞台で、当時公式戦無敗を続けていたレヴァークーゼンを相手にハットトリックを達成。アタランタに初のELタイトルをもたらした。

 これまで、アタランタに在籍した3年間で公式戦通算118試合出場52ゴール25アシストを記録しているルックマン。だが、今夏には複数のクラブからの関心が報じられており、イタリア『ガゼッタ・デロ・スポルト』など複数の現地メディアの情報によると、既にインテルと2030年6月30日までの5年契約、年俸450万ユーロ(約7億7000万円)の条件で合意に至ったと報じられている。

 しかしながら、インテルとアタランタとのクラブ間交渉は難航を極めていた。当初、インテルはアタランタに対して、4000万ユーロ(約68億円)のオファーを提示したものの、アタランタはこれを拒否。次に、4200万ユーロ(約71億円)にボーナス300万ユーロ(約5億円)を加えた条件でオファーを提示したが、これでもアタランタは首を縦に振らなかった。現地報道によると、アタランタは5000万ユーロ(約85億円)を要求しており、金額に開きがあると指摘されている。

 このような状況を受けて、インテルはターゲットの変更も視野に入れていると報道。ルックマン自身はインテル行きを希望していると報じられつつも、これまで個人としては沈黙を貫いてきたが、3日には自身のSNSを通して自身の思いを長文で激白。アタランタ、そしてファン・サポーターへの感謝を記しつつ、今夏にクラブとかわした約束が破られていたことに触れ、移籍希望を正式に表明した。


「過去3年間、アタランタで僕は全てを捧げてきた。サッカー選手としてだけでなく、人間としてもだ。このクラブ、ベルガモの街に対する誇りを持ってユニフォームを着用し続けてきたし、心と情熱、そして自らの献身で、そんな気持ちを表現しようとしてきた」

「この特別なクラブの成長に、クラブの方々やファンの皆さんと共に貢献したいという希望を持ってここへ来た。そして、僕らが一緒に作り上げた思い出は、僕の人生において永遠に忘れることのないものとなった。ヨーロッパリーグを優勝したこと、ダブリンでチームメイトやファンと共にタイトルを祝ったあの夜は、僕のキャリアにおいても最も誇り高い瞬間の一つだ。その時のことを思い出すと、今でも鳥肌が立ってしまう」

「アタランタ、特にここのサポーターは、いつかは僕の一部になっていた。ここへやって来た当初から、この場所は僕にとっての故郷のような場所であり、僕はそんな愛情に対して、報いようと努めてきた。裏では困難な状況があったことも事実だが、それでも僕のこの思いが揺らいだことはない」

「ここまで書き記した内容が、このメッセージを書くにあたって、こんなにも複雑な心境になっている理由だ。僕は全ての瞬間を愛してきたし、この言葉に嘘はない。だが、ベルガモでの信じられないほど素晴らしかった3年間を経て、今が新たな冒険へ進む適切な時期だと感じているんだ。過去にも多くのクラブが僕の獲得を目指して、アタランタにアプローチしてきたが、僕は常に忠実であり続けた。しかしながら、僕自身、そしてクラブのオーナーも、今がクラブを離れる適切なタイミングだと考えていて、この思いは一致していたはずだった。
クラブは僕に、適切なオファーがあれば移籍を許可すると明確に伝えていたんだ」

「残念ながら、僕が信じている議論の内容に沿ったオファーを受け取ったにもかかわらず、僕にとっては理由が理解できないまま、クラブはその機会を阻んでいる」

「結果として、数カ月間にわたって約束を破棄されてきたことだけでなく、人間として、そしてプロのサッカー選手として、不誠実だと感じざるを得ない扱いに直面した。残念ながら、僕が正しいと信じることを主張する以外、僕に残された選択肢はないと感じている。もう十分だ。この場を借りて、正式に移籍希望を提出したことをお伝えする」

「これまでに僕が耐えてきた極めて困難な瞬間、その内容の多くは私的かつ機密保持の対象ではあるが、僕は常にクラブ、ファン、チームを最優先に考え、このような状況にならないことを願ってきたが、残念ながら現在はほとんど選択肢がないと感じている」

「このクラブの心臓であるファンの方々に伝えたいことがある。このような状況になってしまったことを、本当に申し訳なく思っている。同時に、この極めて困難な状況を理解していただけると嬉しい。これはシンプルで、僕が公平で正しいと信じることを、ただただ主張しているんだ。ファンの皆さんからのサポートは本当に素晴らしく、僕らが共に築いた絆は特別なものであるとも伝えたい」

「クラブと共に、すべての関係者が納得できる解決策をできるだけ早く見つけるために協力したいと考えている」

「愛と感謝を込めて、アデモラより」

 果たして、ルックマンの心の叫びが実り、今夏の移籍市場閉幕前にインテルへの移籍は成立するのか。その動向に大きな注目が集まっている。


【ハイライト動画】ルックマンが“伝説”となったダブリンの夜



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