イギリスメディア『BBC』によると、今夏の女子サッカーの移籍市場では移籍金の世界記録が3度破られており、7月にカナダ代表FWオリビア・スミスがリヴァプールからアーセナルに史上初めて100万ポンド(約1億9900万円)で移籍すると、先月にはオーランド・プライド(アメリカ)がUANLティグレス(メキシコ)からメキシコ代表FWリズベス・オバリェを110万ポンド(約2億1900万円)で獲得したことで最高額が更新されていた。
そんななか、今月5日にウィメンズ・スーパーリーグ(WSL)に初昇格を果たしたロンドン・シティ・ライオネス(イングランド)が、パリ・サンジェルマン(PSG/フランス)からフランス代表MFグレイス・ゲヨロを140万ポンド(約2億7800万円)で獲得。ロンドン・シティ・ライオネス側の関係者は記録更新を否定しているものの、PSGの関係者が女子サッカー界の移籍金記録を更新したと主張しており、再び100万ポンド超えの移籍が成立したと見られている。
さらに、チェルシーも同日にエンジェル・シティー(アメリカ)からアメリカ代表FWアリッサ・トンプソンを獲得したことを発表。移籍金は100万ポンド弱と見られているものの、クラブ史上最高額の移籍金で成立したことが報じられている。
このような状況にマンチェスター・ユナイテッド女子を率いるスキナー監督は「常軌を逸している」と女子サッカー界の移籍金が高騰していることへの苦言を呈しながら、「正直言って移籍市場は狂ったように動いている。グレイス・ゲヨロの移籍の話は聞いたばかりだけど、本当に狂っている。移籍市場は大きく変化してしまった」ことを嘆いた。
「この移籍市場で100万ポンドの選手が4人も誕生するなんで誰が想像しただろう? 今の私たちはその移籍金水準に達することはできない。正直言って、私たちはその領域に達していない」
「ロンドン・シティには結果を出すプレッシャーがかかると思う。高額な移籍金を支払った以上、プレッシャーの中で結果を残さなければならない。彼らがそれにどう対応していくかは見ていこう」
なお、世界有数のビッグクラブでありながら、なぜマンチェスター・ユナイテッドの女子チームはそれほどの金額を支払うことができないのかと聞かれたスキナー監督は「誰もが、『それだけ支払えばいい、あれをすればいい』と言うが、私には責任を負っている人たち、つまり選手たちがいる」と現実的にならなければならないことを強調した。
「彼らには継続性と一貫性が必要だ。私はそのようなチームを率いている。私が500万ポンドを使うことを望まないと思うか? もちろん、望むけれども現実的ではない。今は成長が必要なので私は望んでいないけど、現実的に考えれば、もしこのリーグにファイナンシャル・フェアプレーがあれば、ロンドン・シティがその移籍金を回収するためには何年も何年もかかるだろう。それが私の言いたいことだ」
「ファンの皆が時々フラストレーションを感じていることは理解している。なぜなら、先ほども言ったように事態は誰も想像できないほど急速に動いているからね。マンチェスター・ユナイテッドとして私たちはこれを再検討して、チームが競争力を維持して、勝利を収めるためにどの程度の投資が適切かを見極める必要がある」