アスレティック・ビルバオは11日、アル・ナスルからスペイン代表DFアイメリク・ラポルテが完全移籍加入することを発表した。

 今夏の移籍情報で注目が集まっていたラポルテの古巣復帰が遂に実現した。
今夏の移籍情報が開いていた段階で、アスレティック・ビルバオとアル・ナスルはラポルテの移籍で合意に至っており、9月1日にFIFA移籍マッチングシステム(TMS)にトランスファーリクエストを申請していたものの、アスレティック・ビルバオ側が9月3日に発表したリリースによると、「制御できない理由および外部要因」により、“デッドライン・デー”内で同申請が承認されることはなかった。

 これらの決定を受けて、RFEF(スペインサッカー連盟)は9月2日、ラポルテの移籍申請の承認と、サウジアラビアサッカー連盟(SAFF)から国際移籍証明書の取得を目的として、例外的な措置を施すようFIFA(国際サッカー連盟)に要請。翌3日には、FIFAが国際移籍証明書の申請および取得の可能性を否定したことがアスレティック・ビルバオを通して明かされていた。三者(アスレティック・ビルバオ、アル・ナスル、ラポルテ)は引き続き、既存の法的枠組み内で移籍成立の可能性を検討する意思を表明していたものの、最終的に移籍が実現しなかった場合、当事者間のあらゆる合意は無効となり、クラブに対する金銭的な影響が一切ないことが伝えられていた。

 このような状況のなか、11日には遂にFIFAが上記の決定を覆した。FIFAの承認を受けて、アスレティック・ビルバオは、SAFFがRFEFに対して国際移籍証明書の取得権限を与えたことを発表。そして、正式に移籍が実現する形となった。

 クラブからの発表によると、ラポルテとアスレティック・ビルバオは、2028年6月30日までの3年契約を締結。背番号は「14」に決まった。契約の詳細は明かされていないものの、スペインメディア『マルカ』によると、アスレティック・ビルバオは契約解除のための金額として、アル・ナスルに1,000万ユーロ(約17億円)を支払ったという。

 また、同メディア『アス』によれば、ラポルテの具体的な給与額には言及されていないものの、アスレティック・ビルバオの選手として受け取る給与は、アル・ナスル時代と比較して1/3以下になっているようだ。今夏にはドイツ、フランス、イタリア、トルコのクラブから、より良い条件でのオファーが届いていたものの、ラポルテはアスレティック・ビルバオ復帰以外を選択肢から排除していたと報じられている。


 ラポルテは1994年5月27日生まれの現在31歳。フランス南西部アジャン出身ではあるものの、幼少期に“フレンチバスク”の地区として知られるバイヨンヌに移住しており、同地区で育った。2010年夏にアスレティック・ビルバオのカンテラ(育成組織)に入団すると、同クラブのトレーニング施設の“レサマ”で才能に磨きをかけ、2012年11月にトップチームデビュー。以降はアスレティック・ビルバオに欠かせない左利きのセンターバックとして活躍を続け、同クラブでは公式戦通算222試合出場10ゴール6アシストを記録した。

 2018年冬の移籍市場では、6,500万ユーロ(現在のレートで約112億円)の契約解除金が支払われ、マンチェスター・シティへ完全移籍加入した。同クラブでも即座に定位置を掴み、2017-18シーズンからのプレミアリーグ2連覇に大きく貢献。以降はひざのケガにも悩まされたものの、コンディションが整った際には主力の一角としてプレーを続け、2020-21シーズンからのプレミアリーグ3連覇や、2022-23シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)初優勝等、計「13」にものぼるタイトル獲得を経験。2023年夏にアル・ナスルへ向かうと、2シーズンで公式戦通算69試合のピッチに立ち、9ゴールを挙げていた。

 また、マンチェスター・シティ在籍時の2021年6月にはスペイン代表デビュー。直後に行われたEURO2020では主力として全試合にフル出場したほか、UEFAネーションズリーグ・ファイナルズ2020-21では優勝に貢献。FIFAワールドカップカタール2022にも出場した。EURO2024でも主力として6試合のピッチに立ち、スペイン代表の3大会ぶり4度目の優勝を経験。
これまで国際Aマッチ通算で40試合出場2ゴールを記録しているが、アル・ナスルで実戦から遠ざかっていた関係もあり、今年に入ってからはスペイン代表には選出されていない。

 今回、ラポルテは時間にして約7年半ぶりとなるアスレティック・ビルバオ復帰が実現。なお、今季のアスレティック・ビルバオは、昨季のラ・リーガを4位で終えたことで、11年ぶりのCL出場権を獲得している。既にCLのメンバー登録期限は過ぎているが、上記の『マルカ』や『アス』等の情報によると、特別措置としてこちらの登録も可能になる見込み。最後にCLに出場した2014-15シーズンを知る貴重な一人として、アスレティック・ビルバオの“欧州最高峰の舞台”での旅路も支える役割が期待される。


【動画】ラポルテが“はじまりの地”に帰還



編集部おすすめ