雑誌の連載、アイドルのプロデュース、ドラマの演出、地上波や配信の番組制作、など活躍のフィールドを広げ続ける佐久間氏は「ラジオが楽しくてしょうがない、という気持ちはずっと変わらないですね」と語る。
本記事は『ラジオパーソナリティ佐久間の話したりない毎日~佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)2022-2023~』より一部抜粋しお届けします。
僕にしかできない話を大事にしていこうと思っています
でも、年齢的なものもあって、パーソナリティとしての自分を変えていくことはなかなか難しい。
これまでも、パーソナリティが自分の中の怒りや価値観をぶつけるような番組が好きだったので、そういうスタイルに憧れがあると言ってきましたけど、さすがに「やれることしかやれないな」という気持ちのほうが強くなってきました。
自分の中の怒りとかはほかで出し尽くしたし、そもそもカリカリ怒るようなタイプでもないですから。
今は僕にしかできない話を大事にしていこうと思っています。
ネットニュースに自分の顔写真が出て「えっ!?」
変わったとしたら、自分というよりも状況かもしれません。昔は僕のことを知っている人なら、ほぼ僕の文脈、バックグラウンドをすべて知ってくれていた。その上で僕や番組のことが好きでも嫌いでも、納得はできたんです。でも、世代によってイメージが異なってくると、みんな自分の知っている面で僕を切り取っていくので、いろいろと誤解も生じるようになりました。
あと、ネットニュースに自分の顔写真が出ているので「えっ!?」と思ったら、MCをした番組やタレントについてのニュースだったりするケースも起きるようになって。
そこに違和感はあるし、耐えられない人もいるのでしょうが、僕はもうある程度の誤解はしょうがないなと思うようになってきました。
世に顔を出す前は、プロデューサーだとすら思われてなかった
また、普通のサラリーマンだったのが、「権威」みたいな存在だと思われたりすることへの戸惑いもあるかもしれません。M-1グランプリの舞台でウエストランドから「佐久間さ~ん!」というワードが飛び出したり、YouTubeのチャンネル登録者数が150万人を超えたりすると、どうしても「なんか偉い立場のおっさん」みたいなイメージがついてきちゃうんですよね。
まあ、「佐久間さ~ん!」については、戸惑いつつも得難い経験だったというか、しばらく話のネタには困らなかったんですけど(笑)。
それこそ、世に顔を出していなかったときは、現場でカンペを出しているから、プロデューサーだとすら思われていなかったんですよ。
タレントのマネージャーさんとかも、みんないっしょに番組をやっている女性プロデューサーと名刺交換していたくらいですから。
変わるときは変わるものだから、気にせず話していこう
ラジオパーソナリティとしてのキャラクターというのも、あってないようなものだと思います。ラジオのために自分をつくっているわけではないですから。それこそ、シリアスめの仕事を頼まれて打ち合わせをしていたら、「(ラジオと違って)普段はけっこう暗いんですね」と言われたり。「あんなテンションでしゃべるわけねーだろう」っていう(笑)。
でも、基本的に無理してないので、葛藤というほどのものもないですし、ラクではありますね。
それに、ラジオをちゃんと聴いてくれている人は、僕の中身は変わっていないとわかってくれる。そう思えるから、ラジオはすごく大切な場所なんです。
幸い、家族もそういうイメージのひとり歩きに振り回されないくらいのリテラシーを持っているので、その点も助かっていて。妻は同じ業界の人間ですし、娘も僕がネットでイジられようが、誤解されようが、たいていゲラゲラ笑ってくれます。
とはいえ、やっぱり状況が変われば自分のキャラクターも変わっていくかもしれません。ただ、無理にキャラクターを守ろうとしなくても、長く聴いてくれているリスナーなら受け入れてくれるはず。
山ちゃん(山里亮太)だって、結婚してキャラクターが変わることを心配していたけど、そんなことないじゃないですか。変わるときは変わるものだから、気にせず話していこう、最近はそんな風に思えるようにもなりましたね。
語り/佐久間宣行 構成/日刊SPA!編集部