東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから早2年。
日本屈指の飲み屋街で、昼も夜もさまざまな人間模様を見てきた私が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムをお届けします。
「金持ってるアピール」をする人ほど、なぜか本当のお金持ちじゃない——スナック経営をしていると、そんなシーンに何度も出くわします。

聞いてもいないのに、この時計がいくらするとか、ウルトラジャパンのVVIPに座ったとか、有名キャバクラに行けば代表が挨拶に来るとか……。なのに、金持ち自慢は山ほどするのに、女の子にドリンクの1杯もご馳走してくれない……。

「夜の女は金しか見てない」とカリカリしているみなさん、違います。私を含めナイトワークに従事している女性、いや、ナイトワークしていない一般の女性でさえもドン引きするのは、「金持ちアピールをするのに、行動が見合っていない男性」です。

もし彼氏が「俺、年収3億円! 超稼いでる!」って豪語してるのに、サイゼリヤで1円単位で割り勘を請求してきたら、多くの女の子はドン引きして逃げ出すでしょう。極端に言えばそういうことです。

「他の店ではシャンパン入れまくってる」はずなのに…スナックに...の画像はこちら >>

金持ちアピールするくせにケチな飲み方をする人たち

キャバクラやスナックなどの夜のお店で、必死で金持ちアピールをしているにもかかわらず「素飲み」している方は、ロッカールームで痛客として嘲笑されていると思ったほうが良いでしょう。

「素飲み」とは、ワンセットでノードリンク(女の子に1杯もご馳走しないこと)、追加料金のかからないハウスボトルで飲むことです。

「素飲み」が悪いわけではありません。周囲を不快にさせず、綺麗に飲んでくださる方は、たとえ最低料金で帰られても嫌われることはありません。反対に、自分を大きくみせようとイキった発言をしながら、それに伴っていない飲み方をすると……。


今回は、「きたきたきた、このタイプ……!」と、“痛客認定”してしまう発言を紹介します。

①「財布に50万円入ってる」

聞いてもないのに、今日の所持金がいくらかを自己申告して、ドヤ顔のあなた。大金の現ナマを持ち歩いていても、財布から出す金額は5,000円だったら、「5,000円しかないのだけれど……」と申し訳なさそうにスマートに飲んでくださる方のほうが、感謝されます。

相応の飲み方をしてくださらなければ、あなたがいくら稼いでようが、いくら貯蓄があろうが、アピールされたところで苦笑いです。

②「他の店ではシャンパン入れまくってる」

聞いてもないのに、ドヤ顔でアイスペールに何本も刺さったシャンパンの写真を見せびらかしてくるあなた。「えーすごーい!今日もシャンパン飲みましょうよ」と乗ってみても、「今日はいいや」……じゃ、その話はやめましょう。

自慢したところで、拾い画像かと疑われますし、仮にあなたが写ってても、「お支払は別の方がしていて、この人は小判鮫なんだろうなぁ……」と冷めた目で見ています。

③「シャンパン安いね」

メニュー表を隅から隅まで見て、「シャンパン安いね」。「お?何かおろしてくださるのか?」と期待させておきながら、シャンパンどころか普通のドリンクの1杯も入れてくれない。

じゃ、その「飲み慣れてて相場インプットされてます」みたいな擬態、不要です。

④「この時計、200万」

聞いてもないのに、持ち物の自慢をしているあなた。200万なんて大したことないと言いつつ、デザインの精巧さやストーリーには触れず、ひたすら金額にフォーカスして連呼。

一世一代で買ったなら、素直に「お金はないけど一生使うつもりで大金はたいた」と言ったほうが、嫌味なく、見栄を張らない素敵な方に思えます。

⑤「普段は銀座で飲んでる」

自慢げに、普段飲んでる店がいかに高級店かをアピールする方。そこまではいいけれど、「それに比べて、ここは安っぽいな~」のいらないおまけ付き。

それに加えて、その方は会社員で経理部に領収書を提出すれば、全額会社がお金をくれるタイプ……。
ダ、ダサい! 自分の所得からならまだしも、架空の接待交際費で会社からお金を貰って飲んでる事実。とてもじゃないけどマウントになりません……。

⑥「金ならあるから!」

聞いてもないのに、こう豪語する方。本物のお金持ちは、裕福なことをアピールしません。お金を持っていると他人に思われることが、どれだけリスクになるかを知っていますから。

おまけにイキって散々飲んだ後の深夜2時、「あいつに払わせようぜ」と勤務先の子会社の社員を呼んで、お支払係に……。金もなければモラルもない……。

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繰り返しになりますが、夜のお店でお金を使わない人が悪なわけではありません。「金持ちアピールをしまくってチヤホヤされたいのに、最低料金で帰っていく方」が失笑されているのです。どうせ同じ金額でお帰りになるのであれば、自分を大きく見せることなく、等身大で過ごした方が、あなたも周囲のスタッフも、全員幸福でいられるでしょう。

<TEXT/大谷麻稀(まきぱん)>

【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。
TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。
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