ゴールデンウィークが近づいてきました。例年通りであれば、靴屋の本当の繁忙期がやってきます。靴が一番売れるのは3月です。この時期は在庫が入荷するので、まだマシなのですが、4月にもなるとゴールデンウィークの1~2週間前には在庫がかなり減ってしまいます。
外国人観光客との争奪戦や、メーカーのラインナップの切り替わりなども重なり、特に昨年は、人気スニーカーが次々と店舗から消える事態に。ゴールデンウィークが終わると夏が直前に迫るため、靴メーカーもすぐに在庫を補充しないことが多いです。これには靴業界の事情があって、夏は靴が売れにくいのでメーカーは量販店に「買い切り」扱いをすることが多く、また直営店は、在庫をアウトレットやECに集約します。さらにいうと、アパレルの新作は春、秋のリリースが多く、これらの事情が複雑に絡み合って次回入荷は秋以降なんてこともよくあります。
よって気になるモデルがあれば、先に購入するかオンラインでも買えるように試着をしてサイズを把握しておくことをおすすめします。以下、ゴールデンウィークを過ぎると入手困難になりそうなモデルをご紹介します。
超人気モデルのアップデート版・オン「クラウド6」
2024年の4月後半には、スイスのオンの店舗在庫が旗艦店以外は東京中から消えるという事態になりました。2025年2月にド定番モデルの「クラウド5」が外見はほぼそのままで、大幅アップデートされて「クラウド6」としてリリース。大きく変わったのは2点です。「家で靴を脱ぐ」という習慣が日本以外でもかなり浸透してきているようで、玄関でもたもたするのは一番のストレス。かといって、歩いたり走ったりしても脱げたら困ります。巷でもハンズフリーの靴が見られるようになりましたが、今回のクラウド6はその到達点とも言えます。
日常用ならゴム紐、本格的に走るのなら付属のノーマルの紐の二刀流です。前作の「クラウド5」でも爆発的に売れましたが、より指先の開放感を感じられるようになりました。チューブ状の靴底、片足260グラムの超軽量設計とミニマルなデザインはそのまま残したのがさすがオンですね。今の時期なら、たぶん店頭で各サイズをギリギリ試せるかもしれません。
日常でとにかく使える名作・HOKA「HOPARA」

素足に合わせる方は特に注意してください。

手出ししやすい防水靴ならコロンビア「ホーソンレイン ロー」

さらに、軽い。片足270グラムは競技用ランニングシューズと同等。
アウトドアショップまで行かなくても、全国約900店舗の「靴のチヨダ」系列にレギュラーで置いてあるので、購入も簡単です。
履けばわかる中毒性・メレル「ベイパーグローブ6 BOA」

見た目はシンプルなスリッポンですが、足裏から体幹までをもれなく鍛える超薄底です。慣らし期間として2週間ほど見ておくのがいいでしょう。今年から発売されたモデルは米・BOA社のダイヤル式で、着脱と調整が一瞬で終わります。履いた感じは「靴下のまま歩いている」ようですが、靴底はビブラム社製で耐久性もお墨付き。
私もベアフットシューズを愛用していますが、身体が慣れるにつれ厚底から薄底に移行する頻度が高まりました。踏ん張りが効く、指先がどこにも当たらない快感は、中毒性があります。
ゴールデンウィーク直前の週末は、私ですら靴屋にはあまり近づきません。店員さんがつかまらないほどの混雑で、店内は殺気立っています。セールでも期待以上に安くはならず、すべてにおいて客もスタッフもイライラするので、ミスやクレームが多発します。心地よくゆったり選べる今のうちに選んでおくのがコツです。
【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』