今年入社した新入社員たちも、そろそろ社会人としての自覚が芽生えてくる頃なのではないだろうか。
だが自覚どころか、既に偉そうな振る舞いを見せる新社会人もいるそうだ。
GWに帰省した息子の態度に愕然…
「今年のGWに息子が帰省してきました。ただ、社会を見下しているのか舐めきっているのか。少し悲しかったですね」ひとり暮らしをしている子供が、大型連休に帰省してくる。親にとってこれほど嬉しいことはないだろう。だが、実の息子との久々の再会を振り返る桃山由美さん(54歳・仮名)の表情はどこか暗い。
「ウチは埼玉県の北部なので、都内に出るには少し不便なんです。だから、息子は大学入学と同時に東京にあるアパートに入居しました」
桃山さんの息子・悠馬さん(23歳・仮名)は、1浪して都内の有名私大に入学。今年晴れて、大手電機メーカーに就職を果たしたそうだ。
「大企業から内定を貰えた時は、私も夫も本当に喜びました。特に夫は中小企業に勤め続ける平凡なサラリーマンだったこともあってか、「悠馬は俺とは違う!」と嬉しそうで。もちろん、本人も無邪気にはしゃいでいて、私たちに『これまで育ててくれてありがとう。

「親としては子供の近況が気になるじゃないですか。なので『仕事はどう?』と当たり前のことを聞きました。そしたら『まあ、ボチボチかな~』なんて言っちゃって。続けて『まあ、大手だしやっぱ安泰だよね。ボーナスも結構貰えるらしいし。まあ影響力ある会社だからヘタなことできないけどな』とか、澄ました顔で言うんです」
入社1か月弱の新入社員。特に大手企業のような研修が充実している環境では、まだ実務にも就いていない可能性も高い。だが、大企業の一員となり気持ちが大きくなるのは仕方ないと感じるものだが…
入社1か月で父親の会社のダメ出し

確かに、新入社員の若造にそんなことを言われたら、かなり腹が立つだろう。
「久しぶりの再会で険悪なムードは避けたかったので、夫と一緒に『頑張りなね…』って言いましたけど、環境次第で人は変わるなと実感しました。どちらかといえば目上の人に可愛がられるタイプだったのに、あの態度じゃ嫌われちゃうんじゃないかと心配しています。
大企業の新入社員は調子こいてしまうのか?
学生時代からインターンをしていたスタートアップ企業に新卒で入社した長田孝一さん(22歳・仮名)も、大手人材系企業に入社した知人・Tくんに言いたいことがあるという。「彼とは高校時代からの友人で、別々の大学に入ってからも仲が良かったんです。僕は大学時代に今の会社でエンジニアをやっていて、当時はTから『俺とタメで自分で稼いでる感じがあって、お前はすごい』とよく言われていました。彼が大手から内定が出た時も『俺は会社にしがみつかないと食えなさそう』と、すごい謙虚だったんですが」
長田さんはつい先日、互いの近況報告も兼ねてTくんと食事に行ったそう。社会人となってからは初の再会となったのだが、この場で知人の変化を知ることになる。
「小さい会社をバカにしてきたんですよ。『先輩とかに聞いてっけど、やっぱ大企業の方が色々有利だぞ』『結局、スタートアップとかベンチャーはいつでも入れるけど、大手は相当仕事できないと中途じゃ無理だからね』。完全に上から目線で勝ち誇った表情をしてました」
当時の心境を「悔しい気持ちは一切なく、哀れになった」と長田さんは続ける。
「僕は今の会社に入りたくて入ったので後悔はありませんよ。問題は、Tの態度です。

学生の多くが憧れるであろう大企業への就職。狭き門なだけに、それが叶うと天狗になってしまう例もあるのかもしれない。だが、あくまでも「会社が凄い」のであって、「自分が凄いわけではない」ということを肝に銘じて置くべきだ。<取材・文/ロケット梅内>