バスは多くの人が利用する公共交通機関なので、お互いのマナーが重要視されます。自分本位な言動は、周りの人の迷惑になることもあるでしょう。

バスの車内で「そこは俺の席だ」と“やりたい放題”の高齢男性。...の画像はこちら >>
会社員の田辺光司さん(仮名・35歳)は、バスの車内で信じられない光景を目にしたことがあると言います。

「初めての路線のバスに乗り込んだのですが、そこでありえない行動をする男性と出くわしてしまって……」

初めてのバスに乗り込むことに


光司さんは、用事があってあるバスに乗車したそうです。

「あの日は、結婚の挨拶をするため彼女の実家を訪れることになっていました。昼過ぎに、地元のデパートで手土産を買って緊張しながらバスに乗り込んだのです。休日の昼間ということもあって、僕が長椅子に座っても隣の席が一つ空いていました」

すると、出発前に60代くらいの男性が荷物片手にバスに乗ってきたと言います。

驚きの主張をする男性に驚いて


「ふと目が合うと『そこは俺の席だぞ!いつもここに座っているんだ』と突然言いがかりをつけてきました。すかさず『隣の席が空いていますよ』と言い返すと『お前とくっついて座りたくないんだよ』と彼は暴言を吐いて。このままでは埒が明かないと思ったので、仕方なく腰を上げることにしたのですが……。

60代くらいの男性は手に持っていたケーキが入っていると思われる箱を隣に置いて2人分の席を陣取ったのです」

しばらくすると、今度は70代くらいの女性がつえをついて乗車してきたのだとか。

高齢男性の自分勝手な振る舞い


バスの車内で「そこは俺の席だ」と“やりたい放題”の高齢男性。その後判明した“まさかの正体”に絶句
吊り革
「この頃になると、つり革を掴んで立っている人もちらほらいました。そうすると、彼女は目の前に座っている60代くらいの男性に『荷物が置いてある席を譲ってくれませんか?』と願い出て。でも、彼はすぐさま『優先席じゃないんだから、その必要はない』と申し出を突っぱねたのです。

あまりに理不尽だと思ったので、僕の方からも『そんなことを言わずに、席を譲ってあげてくださいよ』と話しかけたものの、60代くらいの男性に完全に無視されてしまいました」

加えて、彼は足を放り出して座っていたので、70代くらいの女性が通路を通りにくそうにしていたそう。

「その横柄な態度にふつふつと怒りが湧いてきました。そこで『足を引っ込めてください!迷惑ですよ』『誰か転んだらどうするつもりですか』と厳しく注意するも『そんなこと俺には関係ない』と彼は平然と言ってのけたのです。
すると、70代くらいの女性が『私は大丈夫ですから』と話すので、とりあえず安全な場所まで誘導しました」

少し経つと、60代くらいの男性が急に騒ぎ出したと言います。

暴言が止まらなくなって


「彼は、遠くの席から『俺は急いでいるんだ!もっと早く走れないのか』と運転手に向かって大きな声で怒鳴り出したのです。あまりの剣幕に驚いて『何を言っているんですか!そんなことできるワケないでしょ』『運転の邪魔になりますよ』と指摘すると、周りからも60代くらいの男性に冷たい視線が注がれているのを感じて。すると、こともあろうに彼は『さっきからうるさいんだよ』といちゃもんをつけると『ペッ』という音と共に僕に唾を吐きかけました」

幸い唾は光司さんにくっつくことなく床に落ちたのだとか。思わず「何をするんですか!」と怒ると、彼は「チッ」と舌打ちをして「唾がくっつかなかったか」と悔しそうな顔をしたそう。

「あまりの出来事に気分が悪くなりました。そのタイミングで、ちょうど下車するバス停に着いたので、60代くらいの男性に、ぐっと顔を近づけて『いい歳をしてマナーがなっていない』と思いきり嫌味を言って。僕がバスを下車すると、70代くらいの女性も続いて降りてきました」

彼女と目が合ったので「せっかくの休日に、嫌な人と会ってしまいましたね」と話しかけると「傲慢な人もいるものね」と共感してくれたと言います。そして「毅然とした態度で相手を注意したあなたは立派だったわよ」と褒めてくれたのだとか。

「僕は自分の行いは正しかったと胸を張りました。さっきと打って変わっていい気分になって、彼女の家を訪れることができて。玄関先で元気良く『娘さんとお付き合いしている田辺です。本日はお招きいただきありがとうございます』と彼女の母親に挨拶したのですが……。
その瞬間、玄関のドアが勢いよく開きました」

高齢男性の“信じられない正体”とは…


「ケーキを買ってきたぞ」という声がしたかと思ったら、そこには先ほどまで言い争っていた60代くらいの男性が立っていたそう。なんと彼は、彼女の父親だったと言います。さすがにこの現実を光司さんは、なかなか受け入れられなかったのだとか。

「彼女の父親もばつが悪かったのか、一向に僕の顔を見ようともしなくて。僕も、あまりに身勝手な彼の振る舞いを見てしまったがために、動揺を隠し切れませんでした」

彼女との結婚の意思は変わらなかったものの、長い付き合いになるので、父親とうまくやれるか思い悩んでしまったという光司さん。意外なところで人間関係がつながっているケースもあるようだ。公共交通機関では、自分勝手な行動を取ると他人に迷惑がかかってしまうので、しっかりマナーを守りたいところです。

<取材・文/菜花明芽>

【菜花明芽】
ライター。ゾッとする実録記事を中心に執筆中。カフェでのんびり過ごすことが好き。
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