
舞台は昭和40年の福島県いわき市。エネルギー革命によって炭鉱の町が衰退していくなか、フラダンサーを通して未来を切り開く少女たちの奮闘を描く。フラガールの指導者・平岡まどか役を演じる映梨那は「この『フラガール』というタイトルだけみたら、柔らかくて明るいイメージだと思うんですが、実は登場人物のひとりひとりが人生を泥臭く必死に生きている物語でもあります」と話すと、木村早苗役の中村は、「この時代を生きた人たちの言葉にできないぐらいのたくましさを感じられる。毎回の公演後には魂が抜けて燃え尽きるぐらい演じたいと思っています」と意気込んだ。
また、3回目の上演では元日向坂46の潮紗理奈が主演を務めた。オファーを受けたあとに丹生から潮をごはんに誘ったそうで、「1番最初に紗理奈さんに報告したら、『ぴったりだと思う!』ってすごく喜んでくださった。当時使っていた台本を貸してくださったり、相談を聞いてもらったり、ずっと心の支えでした」と、先輩からのサポートに感謝した。
稽古では1か月半、演劇に加えて、フラとタヒチのレッスンを一つずつ積み重ねた。公開ゲネプロでは、炭鉱町で育った高校生がプロのフラガールとして成長する紀美子の人生を見事に演じきった丹生。「最大の課題はダンス」と話していたが、クライマックスで魅せる情熱と魂を込めた丹生のソロダンスは努力の成果にほかならない。
舞台『フラガール』の魅力について、総合演出の河毛氏は、「この作品は、斜陽化する石炭産業からエンターテインメント産業への転換という大きな産業構造の変化のなかで、登場人物たちはもがきながら自分たちの道を見出してきた。それは今の時代に生きる我々が抱える問題と重なり合う部分がある。そういうことを含めて、物語を再構築しました。時代を超えたキャストたちの演技に注目していただければ、観客の皆さんの心に強く届くものがあると信じています」と力を込めた。
初主演舞台という新たな挑戦を経て、ひと回りもふた回りも成長する彼女に期待したい。








取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧