5月22日「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」の授賞式が京都で開催された。3000作品/アーティストのエントリー作品の中から全62部門の最優秀作品/アーティストを決定する同アワードは今年が第1回目。
国内の⾳楽業界主要5団体が垣根を越えて表舞台を整え、日本音楽市場の海外拡大を図るというのがその目的だ。
すでに日本レコード大賞やテレビの音楽特番があるなか、いまどき新手の音楽賞が盛り上がるのか? 元放送作家でスタートアップファクトリー代表の鈴木おさむ氏は、当初懐疑的ではあったものの、日本のアーティストが「一番欲しい音楽賞になったはず」と太鼓判を押す。その心とは(以下、鈴木氏による寄稿)。

「なんでこの人が大賞なんだ」と思わない音楽賞が爆誕?新音楽ア...の画像はこちら >>

紅白や日本レコード大賞よりも豪華な顔ぶれ!?

今のところ、日本で一番有名な音楽賞と言えば「日本レコード大賞」だろう。私が子どもの頃(1980年代)には毎年大晦日にテレビの前に家族全員でかじりついて番組を見ていた。だが、1990年代以降になると、正直「なんでこの人が大賞なんだ」と思うことが増えていった。レコ大の結果を楽しみにする若者はかなり減ったはずだ。

そして、今回のMUSIC AWARDS JAPAN 2025。「日本でもグラミー賞を作ろう」ということなのだろう。このアワードの開催が発表されたときには、「そんな音楽賞、今どき盛り上がらないでしょう」という声もあった。だが、結果からすると大成功。Mrs.GREEN APPLEが最優秀アーティスト賞を受賞し、俳優の役所広司さんがプレゼンターとして登場した。実はこういう場所、ないんですよね。
紅白やテレビの音楽特番ですら人気アーティストが集まりにくいご時世、ノミネートされたアーティストがズラリと勢揃い。日本で今売れている人たちが大集合した。YOASOBI、Creepy Nuts、藤井風にレジェンド矢沢永吉も会場でライブを行った。今回の開催でついに日本のアーティストが「一番欲しい音楽賞」になったはず。

「その年に一番売れた人」がちゃんとわかる

一番気になる選出方法だが、まずはBillboard JAPAN、オリコンなどのデータを基に対象を自動選出。ここから、国内投票メンバーが各部門のノミネートを選出、さらに国内・海外投票メンバーの厳正な選考により受賞作品が決まるとのこと。そこで気になるのが「投票メンバー」だと思う。会議室に集まった大人たちが決めるのではなく、こちらはアーティスト、クリエイター、レコード会社スタッフなど、音楽関係者5000人以上で構成されるらしい。アカデミー賞に近い感じかな。これは潔い。

スポーツ以外でスターが生まれにくく、エンタメが細分化されていく中、この賞の登場により「その年に一番売れた人」がちゃんとわかる。これで、国民的スターが再び出てくる環境ができたと思う。
今のエンタメ界に、このアワードの誕生は大きい。

「なんでこの人が大賞なんだ」と思わない音楽賞が爆誕?新音楽アワードが、“レコ大、紅白とは違う”といえるワケ
鈴木おさむ


【鈴木おさむ】
すずきおさむ●スタートアップファクトリー代表 1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家となり、その後32年間、さまざまなコンテンツを生み出す。現在はスタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行っている
編集部おすすめ