すでに日本レコード大賞やテレビの音楽特番があるなか、いまどき新手の音楽賞が盛り上がるのか? 元放送作家でスタートアップファクトリー代表の鈴木おさむ氏は、当初懐疑的ではあったものの、日本のアーティストが「一番欲しい音楽賞になったはず」と太鼓判を押す。その心とは(以下、鈴木氏による寄稿)。
紅白や日本レコード大賞よりも豪華な顔ぶれ!?
今のところ、日本で一番有名な音楽賞と言えば「日本レコード大賞」だろう。私が子どもの頃(1980年代)には毎年大晦日にテレビの前に家族全員でかじりついて番組を見ていた。だが、1990年代以降になると、正直「なんでこの人が大賞なんだ」と思うことが増えていった。レコ大の結果を楽しみにする若者はかなり減ったはずだ。そして、今回のMUSIC AWARDS JAPAN 2025。「日本でもグラミー賞を作ろう」ということなのだろう。このアワードの開催が発表されたときには、「そんな音楽賞、今どき盛り上がらないでしょう」という声もあった。だが、結果からすると大成功。Mrs.GREEN APPLEが最優秀アーティスト賞を受賞し、俳優の役所広司さんがプレゼンターとして登場した。実はこういう場所、ないんですよね。
「その年に一番売れた人」がちゃんとわかる
一番気になる選出方法だが、まずはBillboard JAPAN、オリコンなどのデータを基に対象を自動選出。ここから、国内投票メンバーが各部門のノミネートを選出、さらに国内・海外投票メンバーの厳正な選考により受賞作品が決まるとのこと。そこで気になるのが「投票メンバー」だと思う。会議室に集まった大人たちが決めるのではなく、こちらはアーティスト、クリエイター、レコード会社スタッフなど、音楽関係者5000人以上で構成されるらしい。アカデミー賞に近い感じかな。これは潔い。スポーツ以外でスターが生まれにくく、エンタメが細分化されていく中、この賞の登場により「その年に一番売れた人」がちゃんとわかる。これで、国民的スターが再び出てくる環境ができたと思う。

【鈴木おさむ】
すずきおさむ●スタートアップファクトリー代表 1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家となり、その後32年間、さまざまなコンテンツを生み出す。現在はスタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行っている