中央線と東海道線の実力は?
都内の2大通勤電車である中央線と東海道線。その実力を比べるには、国土交通省が毎年発表している「混雑率データ」が有効だ。神奈川と都心をつなぐ東海道線は湘南ブランドとスピード感が魅力で、横浜―品川間をたったの17分で駆け抜けるが、一方で運行本数は少なくラッシュ時は混雑しがち。その点、中央線は快速/緩行とバリエーションがあり、乗客が選べる仕様と言える。
両路線の主要4項目の比較は下記の通りで、中央線の3勝1敗と相成った。
「東海道線vs中央線」4番勝負
表定速度1位 東海道線 62.0km/時
2位 中央線(快速) 39.8km/時
3位 中央線(緩行) 36.6km/時
運行本数
1位 中央線(快速) 28本
2位 中央線(緩行) 18本
3位 東海道線 17本
朝の混雑率
1位 中央線(緩行) 92%
2位 東海道線 151%
3位 中央線(快速) 158%
輸送力
1位 中央線(快速) 41,440人
2位 東海道線 31,384人
3位 中央線(緩行) 26,640人
乗り心地で軍配が上がったのは…

「今年3月に中央線でもグリーン車が導入され、快適性をお金で買うという選択肢が生まれた。東海道線の『サフィール踊り子』は高級感こそありますが、日常使いには現実的ではありません。
また、東海道線には15両編成と10両編成が混在しているのがネックで、10両編成の時は先頭と最後列の車両に乗客が集中し、ぎちぎちに混むのが“お約束”。川崎駅で特に多く起きがちで、なかなかのストレスです」
“寝過ごしリスク”にも差が…
さらに、運行の安定性にも違いが見られる。東海道線は「開かずの踏切」が多く、安全確認による遅延が頻発する一方、中央線では高架化の進展やホームドアの設置によって事故件数が大幅に減少したことも加点ポイントだ。そして、意外な差として挙げられるのが“寝過ごしリスク”だ。
「中央線の終点は高尾や行っても山梨の大月まで。ところが東海道線は直通区間が長く、運が悪いと静岡の沼津や栃木の宇都宮、群馬の前橋まで行くことも」
データと利用者目線での実感を踏まえても、通勤電車なら中央線に軍配を上げたい。
通勤の新常識

【写真家 長谷川智紀氏】
ハウススタジオ・スタジオなまず主宰。主に雑誌や書籍の取材やグラビア写真集を撮影。鉄道写真は小学生時代から撮り続ける

取材・文/週刊SPA!編集部
―[[意外と知らない]勝ち中年の新常識]―