開演を間近に控え、客席からは大きな「トラジャコール」が響き渡る。オープニングは、メンバー紹介とともにステージセットに飾られたメンバー名のネオンが輝く。復帰したばかりの川島の名前が呼ばれると、ひときわ大きな歓声が上がり、この日を待ち望んだトラジャ担たちの喜びが伝わってくる。
1曲目は、「99 PERCENT」。シルバーの大人っぽいスーツとサングラスを纏った7人が、1曲目からファンキーに盛り上げる。「Love Tag」「Happy Groovy」へと続き、グループの洗練されたグルーヴ感と一体感を印象付ける。会場が4階建てと縦に長いことから、演出面では、LEDの床演出や花道を活かした空間づかいが光った。特に「Crazy Crazy」ではメインステージからセンターステージに向かう花道にメンバーカラーのラインが伸び、 7人のTravis Japanを視覚的にも強調。「Sweetest Tune」「Candy Kiss」では、ポップな愛らしさと緻密なフォーメーションが際立ち、彼らの真骨頂ともいえるダンス力が存分に発揮された。
幕間映像では、川島を除く6人がバーベキューを楽しむなか、別な場所でメンバーからの手紙を手にした川島の姿が。
宮近海斗、松倉海斗、七五三掛の3人が、海外の大工姿に扮した「Trick! Trick!」では、映像とリンクしたゲーム風の演出がユニークで、エンターテインメント性を前面に押し出す。一方の「Warm it Up」は、松田元太と中村海人がセクシーなデュオを展開。ノースリーブのシャツを着た松田の男らしい二の腕や、はだけるシャツからのぞく中村の胸元。絡み合うふたりの世界から眼が離せなかった。
本ツアーのリードタイトルとなるアルバム「VIIsual」には、メンバー監修の楽曲が収録されており、「Underdogs」は川島のプロデュース。本ツアーでは川島のメンバーカラーにちなんだ、ホワイトタイガーをモチーフにした「トラッコ」が採用されてきたが、この日は7人でトラッコに乗って会場を巡り、会場の隅々までファンサービスを届けていた。
メインステージに戻った7人は、松田が主演声優を務めた映画『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』の主題歌「Would You Like One?」を披露。宮近が「コールおぼえてきてくれた?」と呼びかけると、会場がひとつになって大盛り上がり。
そして、宮近が「やっぱ7人は家族、オハナだ」と語ると、そのまま中村が日本語版声優を務めるディズニー映画『リロ&スティッチ』の日本版エンドソング「Burning Love」を初披露。スティッチのぬいぐるみをつけたスタンドマイクでのフォーマンスで、メンバーもスティッチのカチューシャを着用。スティッチのアイマスクをつけた宮近が「実写版(スティッチ)」といじられ、笑いを誘う一幕もあった。

その後、吉澤と川島がふたりのハーモニーで聴かせた「Lonely Stars」や、センターステージ薄幕を張り、透ける演出で幻想的な世界観を構築した「Rush」、シンクロ性の高いダンスと爆発的な照明・火花演出で迫力のパフォーマンスを披露した「BO$$Y」にメンバーカラーに彩られた花道のLEDとリンクしたダンスで魅せた「Moving Pieces」など、実力者集団Travis Japanの真骨頂を次々と見せつけていく。
メインステージに戻った宮近が「キレイに順当に行く俺らじゃないけど。そんな俺たちを、どんな場面だって、どんなシチュエーションだって、可愛いって、カッコいいって応援してくれるみんな。
鳴り止まぬアンコールの声に応え、ツアーのパーカーやTシャツに着替えた7人が再登場。金ピカ&虎のド派手な映像をバックにした撮影OKタイムの「Golden Girl」から始まり、全世界デビュー曲の「JUST DANCE!」、宮近の主演ドラマの主題歌「Say I do」でボルテージは再度上昇。ラストナンバーの「Fly Higher」では7人がメインステージに集結し、肩を組み合いながら感情を爆発させた、エモーショナルなパフォーマンスを魅せてくれた。
Travis Japan は本ツアーを終ると、7月25日のニューヨーク公演を皮切りにアナハイム、台北、香港、バンコクで海外ツアーを開催する。「最後に7人で走ることができました。アリーナを駆け抜けた『Vllsual』ですが、これを背負って、また国を超えた先で僕たちパフォーマンス届けてきます」「みんなのその思いを背負って僕ら飛び立って、もらった自信をぶつけていきます。待ってて下さい。行って参ります!」と宮近が堂々と宣言すると、ファンからは「いってらっしゃい」の声が飛び交い、最後には恒例となった賛成円陣を組んで、7人はステージを後にした。
しかし、この日はツアー千秋楽。鳴り止まないアンコールの声で再び7人が登場し「1曲やっとく?」と楽しげに相談。口々に挙がるレア曲タイトルにファンがざわつくなか、披露されたのは「Unique Tigers」。まさに“俺らがTravis Japanだ”と宣言するような自己紹介ソングで会場のテンションは最高潮に。「やっぱり7人揃ったから歌えた曲だね。最後に皆と一緒に歌えて良かったです」と宮近が語り、メンバーからは「ありがとう!」そして、ファンからは「どういたしまして」のコール&レスポンスで、半年間にわたったツアーは終了した。
川島如恵留の不在、いや、メンバーがひとりでも欠けたはこの半年間は、想像以上にTravis Japanにとって大きな事件だったのかもしれない。6人でのパフォーマンスも見事なものだったが、この期間を乗り越えた7人は間違いなくグループとして強くなった。会場のららアリーナには、これまで以上にたくさんの花輪が送られていたが、これはグループとしてだけでなく、それぞれのメンバーがそれぞれの場所で頑張ってきた証でもある。きっとここからまた、Travis Japanの快進撃が始まっていくに違いない。
取材・文/森野広明 撮影/後藤 巧