「歯並び」で顔の印象も、体調も変わる
普段から「姿勢」や「日常の習慣による体調変化」についてお話しすることが多いのですが、今回は少し視点を変えて「歯並び」と健康の意外な関係についてご紹介したいと思います。実は私たちの体は、歯の位置や噛み合わせの影響を驚くほど受けています。「えっ、歯医者さんじゃないのに歯並びの話?」と思った方もいるかもしれません。
しかし、僕のお店に相談があるお悩みの肩こりや頭痛、食いしばりなども歯並びの悪さによる歪みで出ているケースに何度も遭遇します。
歯並びは「顔の歪み」と「姿勢」にも直結

たとえば、歯並びが片側に偏っていたり、噛み合わせがずれていたりすると、あごの筋肉が左右不均等に働くようになります。その結果、フェイスラインの非対称やエラの張り、さらには頬骨の高さが違って見えることもあります。
さらに厄介なのが、あごのズレが食いしばりに関わる顔回りだけでなく首や肩の筋肉にまで影響を与えるという点。
噛み合わせが悪いまま長期間過ごすと、左右どちらか片方の顔回りだけ発達したり、首が傾き、自然と肩が上がるようになったり、結果として肩こりや首こり、ひどい場合には頭痛やめまいを引き起こすこともあります。
アスリートをサポートするトレーナーの視点で見ても顎の位置は「体の軸」を決める大切なパーツ。そこにズレが生じると、全身に連鎖的な影響が出るんです。
呼吸と睡眠、運動にも関係
歯並びの問題は、見た目だけでなく「呼吸の質」にも大きく関わってきます。たとえば、出っ歯や下顎が引っ込んでいる状態では、口が開きやすくなり、舌の位置が下がり慢性的な「口呼吸」になりがち。口呼吸が続くと、口臭の原因になったり、のどが乾燥しやすくなり、免疫力が落ちたり、いびきや睡眠の質の低下につながることも。
「なんだか最近疲れが取れない」「朝起きてもスッキリしない」と感じている方は、もしかしたら歯並びや噛み合わせの問題が、知らず知らずのうちに睡眠の質に影響を与えているのかもしれません。
食べ方のクセが歯並びを悪くする

・いつも片側だけで噛む
・頬杖をつく
・うつぶせ寝が多い
・スマホを長時間下向きで見る
こうした習慣は、あごの歪みを引き起こし、噛み合わせのバランスを崩す原因になります。
特に30代以降は筋力の衰えや生活のパターン化が進むため、クセが固定化しやすく、歯列や姿勢のゆがみが進行しやすくなります、スマホを長時間使う方やテレワークの方は特に要注意ですね!
30~40代は生活習慣の見直しでまだまだ変えられる
最近では、歯科と整骨院の連携が進み、噛み合わせの改善と同時に姿勢や筋肉のバランスを整えるケースも増えてきました。たとえば、マウスピース矯正で噛み合わせを整えながら、整体で首~肩まわりの筋肉を緩めることで、より早く、より自然な形でバランスが整っていきやすいです。
初歩も初歩、まずはこれだけはやってほしい自分でできるケアとしては、以下の3つを意識してみてください!
①鏡でフェイスラインの左右差をチェックする
②ご飯を食べるときに左右均等に噛む
③スマホを見るときは顔の高さに合わせる
「歯並びなんて今さら……」と思う方もいるかもしれませんが、実は30代・40代こそ、生活習慣の見直しでまだまだ変えられるタイミングです。
めんどくさがりじゃない人は過去に紹介した舌のトレーニングやミューイングなども取り入れてみてください。
「見た目」以上の価値を持つ歯並び

歯並びが整っている人ほど姿勢もよく、疲れにくく、回復力も高い傾向にあります。
もし最近、慢性的な不調に悩んでいるようなら、ぜひ一度「歯並びと噛み合わせ」という視点から、ご自身の体を見直してみるのもいかがでしょうか?
【shuhei】
柔道整復師(国家資格)。5万人以上の施術経験、大相撲、女子ゴルフ、ラグビー、アーティストライブサポートなどのトレーナーを担当。現在は表参道、上野で著名人来院多数の店舗を構え、温熱施術を中心とするベストリ式温熱整体を考案し、腰痛肩コリのみならず冷え性、睡眠障害、姿勢の調整をおこなっている