―[振り返れば青学落研]―

YouTubeチャンネル登録者数180万人を突破した「バキ童チャンネル」。
唯一無二の企画とキャラクターを活かした動画が支持される一方で、中心メンバーのお笑いコンビ、春とヒコーキが出会った青山学院大学・落語研究会についてのエピソード動画も強い人気を集めている。


そんな「青学落研の話」を、チャンネル出演者であり、青学落研出身者であり、春とヒコーキの学生時代からの友人でもある芸人・町田が振り返る。

第13回は、青山学院大学落語研究会を席巻したくだり、シュシュブチについて。

ぐんぴぃが始めた“謎行動”「しゅしゅぶち」はいつしか青学落研...の画像はこちら >>

ぐんぴぃが突如始めた謎行動

落研時代、私たちはあるくだりをひたすらに何度も何度も繰り返していた。

シュシュブチである。

事のはじまりは花沢健吾先生のアイアムアヒーローという漫画だ。大泉洋さんの主演で映画化もされた。ゾンビサスペンス漫画の名作である。

シュシュブチの登場するシーンはアイアムアヒーローの8巻において。

日本中がゾンビに感染してパニックになってしまったため、ゾンビから避難するために主人公達はショッピングモールに立て籠もることになった。

そのショッピングモールには伊浦という男がリーダー的な存在で君臨していた。その横暴な態度たるや。

その伊浦が何やかんやあり、ウイルスに感染してゾンビになってしまったシーンにシュシュブチは登場する。

ウイルスに感染してゾンビになると生前に繰り返していた行動をし続けるという傾向が起こる。
例を上げると陸上をしていた人間がゾンビになると、ずっと走り続けるなど。

ゾンビになってしまった伊浦は自分のモノをシュシュとしごき続けやがて、自分のモノを自らでブチ抜く。

アイアムアヒーロー8巻におけるシュシュブチの登場シーンである。

当時、ぐんぴぃはそのシーンにいたく感動したらしく、アイアムアヒーローの8巻におけるシュシュブチのシーン、

「シュシュ…シュシュ…ブチン、不老不死ってヤツ?」

を会うたびに狂ったようにやり続けていた。みんな無視していたが、ずっとやっていた。

はじめは私も何かやってらあと思っていたのだが、ぐんぴぃの家で初めてアイアムアヒーローの8巻を読ませてもらい、私の考えは大きく変わった。

町田も心を打ちぬかれてしまった

ぐんぴぃの一人暮らしの家はロフト付きの1DKで、ぐんぴぃの居住スペースは全てロフトで一階にはモノやゴミが散乱している状態であり、ぐんぴぃは鼻をかんだティッシュをそのまま一階に投げ捨てるという、部屋一つをゴミ箱として使う大変に贅沢な暮らしをしていた。

成人男性2人がロフトで過ごすことはなかなかに厳しいので、来客者にとってはなかなかに居心地の悪い空間であった。

ぐんぴぃの家に遊びに行ったときはぐんぴぃはロフト、来客者は一階という歪な形式で過ごすこととなる。

その時も、そうして上にいるぐんぴぃはロフトから顔を出しながら喋っていた。

「そういえば町田って、シュシュブチ読んでないよな。アイアムアヒーローの8巻、読んだらいいよ」

私はぐんぴぃに手渡されたアイアムアヒーローの8巻を何の気なしに読み進めて行った。

そしてシュシュブチのシーンを実際に目の当たりにし、心が躍った。


ぐんぴぃや私が感銘を受けた点、ゾンビと化してなお、シュシュり続けることから、ずっとシュシュっていたんだなあと、生前の行動、習慣がうかがい知れること。

そして、人間ではなくなってしまったことにより自分のモノをブチ抜いてしまう異形さとなぜか感じるカタルシスに私も心をブチ抜かれてしまった。

シュシュブチのシーンはほんの数コマしかないし、決して大仰に描かれている訳ではないのだが、私の心にはシュシュブチが爆音で鳴り響いた。

それ以降、私もぐんぴぃとともにアイアムアヒーローの8巻を部員に布教しはじめていった。部員たちはみな徐々にアイアムアヒーローの8巻を読み、そしてみな一様にシュシュブチの虜となっていった。

青学落研内を席巻したしゅしゅぶち

落研部員は口を開けばシュシュブチ、どこかしこでシュシュとブチの音が鳴いていた。

そうしていくうちに、シュシュブチゲームという遊びが考案されることとなる。

このゲームは順番にプレイヤーがシュシュって行き、誰かが良きところでブチ抜いて、周囲がそのブチ抜いた人間を「不老不死だね!」と褒め称えるという、著しくゲーム性に欠いた遊びであった。

しかし、我々が魅了されたのはシュシュブチゲームの冒頭部分、

「シュッシュッブチンのリズムではじまり、ブチ抜くちんぽこ、ワン・ツー・スリー・フォー!」である。

これからモノをシュシュっとしてブチ抜くとは思えぬ底抜けの明るさ、何とも痛快なリズム、皆でこのゲームをやっている時、私たちは実に幸せであった。

このゲームに明け暮れている間、時間の感覚は失われ気づけば朝になっていた。そんな日も珍しくはなかった。


この時はまさかぐんぴぃと私とシュシュブチに関しての十年にも及ぶ論争が起こるとも知らずに。

シュシュブチ、後編へ続く。

―[振り返れば青学落研]―

【町田】
ぐんぴぃの友人。芸人としての活動もしている。@saisaisai4126
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