そんな写真集に込めた思いのほかに、長年駆け抜けてきたからこそ感じるアイドル界に対する本音や最近熱くなっているマイブームなどを語ってもらった。
――ロケ地がスリランカは珍しいですよね。
熊澤風花(以下、熊澤):最初は私も「なんでスリランカ?」って思ったんですけど、カメラマンさんが「ふぅちゃんの雰囲気とスリランカは合いそう」と提案していただいて。
――スリランカにはどんなイメージを持ってました?
熊澤:紅茶が好きで、セイロンティー(スリランカ産紅茶)の発祥の地だから国の名前は知ってましたけど、紅茶以外の有名なものは何も知らなかったです。
――人生で唯一の推しがドラマ『相棒』の杉下右京さんだと言っていたので、その右京さんが好きな紅茶繋がりで選ばれたのかと。
熊澤:確かに、右京さんを好きになってから紅茶が好きになりました(笑)。
――今回の写真集は熊澤さん自身がコンセプトから衣装選びなどを担当されているんですよね。
熊澤:はい、2nd写真集ということで、大人っぽくしたくて。それに合うような黒い下着を選んだり、グリーンのドレスっぽい服で街中を歩いていたり、私が憧れたいたようなことを詰め込みました。グラビアを初めて6年ぐらい経つんですけど、そのなかでも一番大胆なカットも挑戦してます。
――撮影にあたって、少し体重を増やして女性らしい体型も意識したと。
熊澤:そうなんですよ。体質的に痩せて見ちゃうのが少し悩みでもあって。写真集で海外に行くっていうのは1つの夢だったので、それを叶えてもらえるタイミングで、私も最高のコンディションにしたいなと思ってパーソナルトレーニングをしながら食事にも気を使って仕上げました。
――仕上がった体を表現すると。
熊澤:もっちりしていて、思わず触れたくなるような柔らかさです(笑)。グラビアをやっているときにおしりを褒めてもらうことが多いので、お尻のトレーニングも頑張ったので注目してもらえれば。
――「小さくて大切なもの」というタイトルの由来は?

――食事は楽しめましたか。
熊澤:初日にショッピングモールに行ってごはんを食べようっていうことなって、有名なスリランカカレーがあったんですけど、初日だから食べる勇気がなくて。ここでお腹を壊したらヤバいと思って、ドーナツを選んだらとんでもない甘さだったんです。紅茶を頼んで何も入れずに飲んだらそれも甘いんですよ。どちらも驚きでした!
――あまり堪能できず?
熊澤:2日目の夜にカレーを食べまして、「失敗した!」と思ったんですよ。感動するぐらいおいしくて「初日から食べておけばよかった!」って。それからは、毎食カレーを食べてました(笑)
――プライベートでも海外に一人旅されるそうですが、今まではどちらに?
熊澤:ヨーロッパが好きなので、フランスとイタリアに行きました。海外に行くならできるだけ遠い場所に行きたいと思って、現地でも買い物とかよりも1日歩き回って歴史的な建造物を見るのが好きなんです。教科書に載っているものを巡る楽しさがあります。
――語学はいける?
熊澤:全部Google翻訳を駆使してやってます!(笑)
――それも自分を変えるために必要なタスクなんだと思って挑戦してると。
熊澤:そうかもしれない!(笑)。これって決めたら行かないと気が済まない性格なので、行動力はあるタイプだと思っています。
――次に行きたい異国の地はありますか。
熊澤:ギリシャにあるサントリーニ島に行ってみたい。白と青を基調にした建物が多い街なので、真っ青のワンピースを着てグラビアを撮ってみたいです。インスタグラムで見てから、刺激されちゃってウズウズしています。
――約2年前のファースト写真集と比べて進化した熊澤風花の魅力とは?
熊澤:大人の魅力を見てほしい気持ちが強いですね。前作は素の自分で子供っぽい部分もあったんですけど、今回は年齢を重ねて大人になった私を撮ってほしいとリクエストしました。そう思っていたら、ロケバスで寝ている無防備な姿も撮られていたので、ぜひ探してみてください(笑)
――なかには涙を流してるカットもありましたが、どんな理由があったんですか。
熊澤:今年に入って自分のなかで大きな悩みがあって、このスリランカの旅のなかで晴れた気がして。それをスタッフさんに話していたら思いが溢れてしまって泣いちゃいました。グループが10年を迎えて、自分でもいろいろと思ったことがあったので。
――良いタイミングで海外に行かれたんですね。
熊澤:10代の頃からずっとお世話になっているスタッフさんと一緒に旅ができたことも本当に良い経験でした。
――タスクはSPA!初登場ということで、グループのことも聞かせてください。
熊澤:あのとき頑張ってよかったなっていう率直な感想と、この3人のメンバーじゃなかったら途中で心が折れてしまっていただろうなって。デビューしたのが中学2年生とかだったので、目の前のことだけに全力で余裕がなかったんです。そのなかで反抗期もありましたし、周りの大人に対して「そんなこと言われなくてもわかってる!」みたいな対応のときもあったので。
――反抗期のなかでカメラを向けられるのも嫌なときがあったと仰っていたんですけど、それがメンバー同士に向くことはなかったですか。
熊澤:そのときはわからなかったけど、当時を振り返ると今みたいな距離感ではなかったですね。自分のことで精一杯だから周りに気を使ったりもできなかったので。でもケンカとかはほとんどなかったです。3年目ぐらいにフランスで遠征ライブをしたことがあって、その帰りの飛行機で10時間ぐらい3人が横並びの席だったから、初めてお互いに本音を話した瞬間はありました。そこから3人が一緒の方向を向いて、グループのことを真剣に考えるきっかけになりました。
――そして去年からは熊澤さんがライブ演出も行うように。

――ライブ後には、3人そろってビールで乾杯するようになったことも、大人になったんだな~と実感した瞬間だったとか。
熊澤:そうですね。去年のワンマンなんですけど、初挑戦で覚えることも多かったので達成感もありました。「(ツアーが)終わったらビールが飲みたーい!」って3人で言ってたら、スタッフさんが用意してくれて。ライブ終わりにみんなでゴクゴク飲んで、いい気分で帰らせてもらいました(笑)。
――3人ともお酒は強い?
熊澤:みんな好きですね。こないだ1日オフがあったんですけど、「3人で飲み行かない?」って言って、お昼から……(笑)。ただ、タスクが昼間からビール飲んでたらファンの方も驚いちゃうんで、あまり鉢合わせないような場所を選んで。
――本当は外で飲みたいけど。
熊澤:公園でビールなんて最高ですよね。
――ひとりでも飲むんですか。
熊澤:おうちだったら飲みますね。一番好きなのはワインなので、スーパーに行ってフルーツとモッツァレラチーズを買って、オシャレな感じに盛り付けて飲んでます。
――あとタスクのなかでサウナもブーム?
熊澤:流行ってますね。メンバーの(里仲)菜月がサウナ好きで毎日のように通っていて、資格も持ってるんですよ。彼女に教えてもらって一緒に行くようになりました。
――サウナの楽しみ方に何かこだわりはありますか。
熊澤:最初に菜月に教わった通り、サウナに12分も入ってたら疲れちゃって「これは人に合わせたらダメだ」と気づいてから、今は特に時間は決めずに楽しんでます。ライブやイベントの前日に行くとむくみが取れて体が軽くなるので、大事な日の前はサウナに行くっていうルーティンがあります。
――SPA!はサウナフェスを主宰してるんですけど、アイドルやタレントの方をゲストに招いて熱波を送ってもらうコーナーがありまして。興味あったりします?
熊澤:楽しそう! “熊ネッパ”を送ってみたい!
――熊ネッパ……、なんだか弱そうです(笑)。
熊澤:私も熱波を受けるのは好きなんです。暑さに耐えて、苦しさの先にある達成感みたいなのがいいんですよね。そして、サウナの後はビール。あれは最高!
――お話だけ聞いてると、公私ともに順調に思えます。それが今年の頭に自信がなくなるほど悩んでしまったのはなぜでしょうか。
熊澤:10周年っていう明確な数字が見えてきたときに、これから自分の強みとして何を持っていればいいのかなって。そう振り返ったときに明確な答えが出せない自分がいて、それに対しての正解をさまよっていた時期がありました。
――以前のインタビューで、熊澤さんのアイドルの在り方として「オンとオフで区切りをつけずに自分は自分でいたい」と仰っていましたが、疲れてしまわないものなのかなとも。
熊澤:そうですね、上手く息抜きみたいなものが作れてなかったのかなっていうのは今になって感じることはあります。でも、自分の中にある信念は変えたくないので、オンとオフは作りたくないっていう気持ちは悩んだあとでも大事に持っています。
――多くのアイドルグループが誕生する一方で、タスクと同じ時期に切磋琢磨してきたアイドルグループの解散も増えてきました。それに関しては、どんな思いですか?
熊澤:目標としていた先輩のアイドルグループや、ああいうライブをしたいと思っていた人たちが全員といっていいほど居なくなってしまいました。だからこそ、ひと時代を築いたアイドルグループが大事にしていたものや熱量を絶やしてはいけないという使命感が芽生えてきましたし、あの頃のアイドルの勢いを今のアイドルにも感じてほしいんです。タスクは人数が少ない分、それぞれの負担やプレッシャーが大きくなってバランスを取るのが難しい時期もあったんですけど、結成から変わらずに3人で続けられたことは大きな財産だと思っています。
――最初に目標にしていたアイドルグループというのは?

――夏恒例の世界最大のアイドルフェス『TOKYO IDOL FESTIVAL(以下、TIF)』も15周年を迎えて、タスクは今年で8回目の参加になりますね。
熊澤:いろいろなフェスに出させていただいても、思い出話ができるアイドルグループが減ってきちゃっていて寂しさはありますね。タスクは先輩たちに可愛がってもらってきちゃったので、新しい子たちへの接し方がわからない部分もあって。
――そのなかで、今年のTIFではPR大使にも選ばれました。
熊澤:私にできるかなぁ……と少し不安ですが、新しい交流が生まれたらいいなって思ってます。タスクは2年目で初めてTIFに参加して、メインステージ争奪戦で負けてしまったけど、その翌年にメインステージに立てたときの嬉しさは今も覚えています。TIFにはお世話になっているので、PR大使として少しでも貢献させてもらえるのが嬉しいですし、選んでもらったファンの人たちと一緒に盛り上げたいです!
――あらためて、Task have Funが他のアイドルグループには負けない武器はなんでしょうか。
熊澤:振りコピのしやすさはタスクしかない個性だと思います。初めて見た方でも振りを真似しながらコールも楽しめる。それを見て、「タスクのライブは楽しそう」と思ってもらえて来てくれる新規の方も多いんです。とくにタスクの代名詞ともいえる楽曲「3WD」にある横揺れのフリは人数が多ければ多いほど、すごい景色が広がるので。TIFで見れる「3WD」はひと味違うなと毎回思っています。
――ダンスも激しいので、10年経ってみて体力面は大丈夫?
熊澤:それが大丈夫じゃなくなってきていて……(苦笑)。「3WD」の最初の決めポーズは重心が低いのが大事なんですけど、披露するのがライブ終盤になってくるとどんどん腰が上がってきちゃうんです。そこは10年という時間の重みをカラダで感じています。なので、本格的なダンスレッスンや筋トレをして鍛え直している最中ですね。
――写真集発売の7月2日には23歳を迎えます。これからの夢を聞かせください。
熊澤:アイドルもグラビアも頑張っていきたいのはもちろんなんですけど、それに加えて、演技という新たな分野に挑戦してみたいです。福原遥さんが好きで、小さい頃から番組も見ていたし、大人になっても透明感や声の可愛さもすごく憧れてます。
――タスクとしての目標は?
熊澤:‘20年にさいたまスーパーアリーナでライブを開催させてもらったんですが、無観客でした。そのときに会場の関係者の方から、「次は絶対に有観客でやろうね!」という熱い言葉をいただいて。そういうご縁を大事にしたいですし、そのときに配信で見てくれたファンの人に今後は現場で楽しんでほしいので、その夢は叶えたいですね。最近はメンバー3人でごはんに行ったりすると、お酒を飲みながら熱い話になって、最後は「これからも頑張ろう」とみんなで号泣するのがお決まりになってます(笑)。
取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧