’25年夏期賞与の平均は86万2928円
今年もボーナスの季節がやってきた。労務行政研究所の調査によると、東証プライム上場企業の’25年夏期賞与の平均は86万2928円で、過去最高額になった。一方で、国内大手が相次いで大量リストラを発表している。そうした企業のボーナスはどうなったのか? 現役社員に内情を聞いた。ボーナス100万円超も、肌で感じる経営不振

大規模リストラを発表した自動車業界で、技術職として働く久武勇気さん(仮名・51歳)は、今夏のボーナスに控えめな反応を示した。
「今夏のボーナスは120万円。昨夏と比べると15万円下がりました。今夏の組合平均額は約100万円なので、私はもらえているほうではあるのですが……」
ボーナス減額を冷静に受け止めているのは、経営不振を肌で感じているからだ。
「4月から残業時間ゼロが徹底されるようになりました。そのせいで、月給が手取り10万円のマイナスになり、妻にはため息をつかれましたよ。世界情勢が先行き不透明な状態であるからと説明されましたが、それはあくまでも表向きの話。
残業代が削減されたせいで、久武さんの年収は100万円ダウンする見込みだ。
「今年のボーナスは年間5.2か月分ですが、過去には経済危機で前年比マイナス2か月分というときもありました。私は過去に、ITバブル崩壊やリーマン・ショックを経験してきているので、そこまで悲観していませんが、厳しいといえば厳しい。それにしても売り上げ自体はそんなに減ってないのに、なぜ利益が出ないのでしょうか。本当に不思議です」
「来年以降の賞与がどうなってしまうのか心配」
久武さんが働く自動車メーカーでも、近いうちに大量リストラが行われる予定だと報じられている。「私も報道でいわれているような話しか知らず、まだ具体的なことはわからないのですが、バックオフィス系の人員が削減されるのではと噂されてます」
もし早期退職の募集が明らかになったら、手を挙げることは考えているのだろうか。
「そうですね、退職金の積み増し額によっては検討するかもしれません。最近は、人材不足の影響で、大手メーカーの早期退職者を厚遇で採用する企業が増えているので、密かに転職を視野に入れている人は少なくないと思います。ありがたい話です」
大企業であっても、今年のボーナス額からして、悠長に構えていられる状況ではないようだ。
「経営状況を考えると、今年のボーナスは春闘で頑張った結果かなと思っています。子供の学費や家のローンもありますし、不安は尽きない。
大手自動車メーカーの夏ボーナス
久武勇気さん(仮名・51歳)
開発部門リーダー
年収:830万円
月収:45万円
昨年の夏ボーナス
額面:135万円
手取り:110万円
今年の夏ボーナス
額面:120万円
手取り:100万円
取材・文/週刊SPA!編集部
―[不祥事&リストラ企業[夏のボーナス]大調査]―