誰だって、まわりの人にあまり知られたくない、できれば隠しておきたい、というようなことは少なからずあるようです。でも、パートナーには赤裸々に伝えておくことが誠意を見せるという意味で大切です。今回は、その誠意を見せるタイミングを逃してしまった男性が、披露宴でとんでもないアクシデントに見舞われたエピソードです。
お見合いで結ばれた二人
代々続く酒蔵の跡取り息子の浩介さん(仮名・35歳)と、某大学でフランス文学の教授を務める父を持つ翠さん(仮名・29歳)の出会いは、今ではマイナーなお見合い。「大学の頃は絶対に恋愛して結婚してやる!みたいな野望があったんですが、大学を卒業して父親の会社に入ってからは、なかなか出会いもなくて……。僕ももうアラフォーですし、少し気は強いところはありますが、翠さんみたいな素敵な女性と巡り合えてとってもラッキーだと思ってます!」
そう満足げに語る浩介さん。実は、当初の予定より二人の結婚はかなり早まったそうです。アラフォーとアラサーの年齢ということもあり、特に翠さんの両親が結婚を前倒しにするよう提案したと言います。
キャンドルサービスで起こったハプニング
そんな二人の結婚披露宴は盛大に執り行われたそうです。きらびやかなドレスに身を包んだ翠さんを、タキシード姿の浩介さんがエスコートして、披露宴会場の後方から登場したときには、盛大な拍手が響き渡ったそうです。ところが、メインイベントのキャンドルサービスの時に悲劇が起きてしまいます。浩介さんと翠さんが並んで各テーブルのキャンドルに火を灯している最中に、盛り上がった浩介さんの友人たちが、浩介さんに向けて一斉にクラッカーを発射したのです。
一瞬にして浩介さんの頭はクラッカーから発射された紙テープだらけになりました。
幸い、友人たちがすぐさま浩介さんを取り囲み、その中でとっさに頭部の修正を行った浩介さん。さらに、ベテラン司会者と照明さんが状況を察知し、機転をきかせたフォローをしてくれたおかげで、一瞬ざわついた披露宴会場はまた元の活気を取り戻し、キャンドルサービスも再開されたと言います。
一人寂しく新居に向かった新郎
当然ながら、新婦の翠さんはハプニングの一部始終を側で見ていました。浩介さんはそのハプニングが起きたあと、動揺を隠しながらひととおりのキャンドルサービスを終了させ、再度ひな壇に戻り、生きた心地がしないまま披露宴の終了を待ったそうです。ただ、新婦の翠さんは、披露宴が終わった後も浮かない顔を見せ、足早に新婦側の控室に戻ってしまいました。浩介さんもそのあとを追い、控室で二人きりになります。すると、翠さんは一言「それ詐欺だよね! 今晩は実家に帰りますから」と吐き捨てるように言ったそうです。
何も言う前に控室を閉め出された浩介さんは、自分の家族にも理由を説明し、披露宴会場を後にします。幸い、新婚旅行は二人の仕事の関係でしばらく後に計画していたため、浩介さんはひとまず翠さんの要求を飲んで一人新居に帰ったそうです。
カミングアウトできなかった理由

翠さんの家系は、婚前交渉を認めない習慣が代々受け継がれていたとのこと。そのことは、お見合いの後、翠さんも浩介さんに伝えていて浩介さんも了解していたそうです。
浩介さんは、後日改めて両親とともに翠さんの実家を訪問し、カツラを愛用していると伝えていなかったことについて深く謝罪したそうです。
1週間ほどして…

「翠さんは結構あっさりした性格で、披露宴の時のハプニングなどなかったかのように、僕たちは新婚生活をスタートすることができたんです。もう彼女に隠し事もありませんし」
あれから1年ちょっとが過ぎ、二人には2世も誕生したとのこと。一時はどうなることかと周りをヒヤヒヤさせた二人でしたが、育児に振り回される多忙な日々を送っているそうです。そんな浩介さん、現在ではスキンヘッドにイメチェンしていて、翠さんも気に入っているとのこと。
隠し事は言いそびれずに早めに伝えることが、いろいろな意味で吉ですね!
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営