メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。
すっかりダサくなってしまったアイテム
まだまだ暑い日が続きますが、8月が終われば秋の入り口が見えてくる! アパレルショップではすでに秋物新作が並び始めております。今回は来るべきファッションの季節「秋」に向けて、最新メンズファッショントレンドを勉強していきましょう。
題して「今年の秋は◯◯買うな! △△買っとけ!!」。今回は下火になってしまったアイテムとこれからトレンドとして盛り上がるアイテムをお教えします!
イケてるオシャレピーポーになりたい人は最後までぜひご覧ください。
★「MA-1」買うなら「CWU」買っとけ!

また、海上に落下した際などにレスキュー信号の代わりとなる裏地のオレンジカラーも象徴的。そんなシンプルデザインの中ほどよく癖のあるMA-1、毎年といっていいほどメンズでは定番アウターとなっておりました。
特に数年前PRADAがオーバーサイズのMA-1をリリースして以来、一大トレンドに。ユニクロなどの量販ブランドまで幅広くフロントZIPのMA-1をラインナップし街で見かけない日がなくなったほどです。
定番ミリタリーウェアも襟付きに
今年の秋冬ももちろんMA-1をラインナップしているところはありますが……各ブランドのルックブックや展示会などを見るとどちらかというと減少傾向にあるよう。代わりに最近はCWUジャケットが増えてきております。ミリタリーの歴史ではMA-1の後継にあたるCWUジャケット、1978年にアメリカ軍にて採用されたフライトジャケットのことでCold Weather Unitの略称。
この秋冬からはストリートの匂いが抜け、徐々にフォーマルでクラシックな着こなしが人気に。その中で定番ミリタリーウェアも襟付きの大人型に変化。CWU以外ではファー付きのN-2BやN-3Bなども人気です。MA-1も悪くないですが、今年買うならこのあたりがいいかも……?
★『ノルディック柄』買うなら『アーガイル柄』買っとけ!

トナカイ・ツリー・雪の結晶模様が最も典型的なノルディック柄であり、ノルウェーの伝統的なデザインとされています。ニットにあしらったデザインは多くのブランドが採用しており、ユニクロなどでも度々みられるモチーフとなっております。
しかしながら、ここ最近は「アーガイル柄」が復活の兆し。ひし形(ダイヤモンド形)が連なったデザインのアーガイル。アイルランドのアーガイル地方が由来であり、イギリス発祥のスーツやフォーマルウェアがこの秋冬のトレンドですから、隣国であるアイルランドの柄が人気となるのも影響を感じます。
「ダサい」から一転、トレンドモチーフに
アーガイルは50年代からアイビールック、トラッドスタイルに引用され、日本では1970~1980年代に特に多く流通した柄使い。そのため、古着シーンでは流通数が多かったものの、今までは「おじさんが着てる柄」という印象が強く2000~2020年頃までは敬遠されていました。しかし、ここ数年ではそんなアーガイルおじさんの人口もさすがに減少しており、それとともに大型の古着ブームが到来。
今年、柄ニットを買うなら「アーガイル」がおすすめかも?
★『ダッドスニーカー』買うなら『ドレスブーツ』買っとけ!

NIKEやadidasなどのナショナルスポーツブランドもこぞって色切り替えが多く、厚底のダッドスニーカーを展開。空前のスニーカーブームも記憶に新しいかと思います。
ところが、近年NIKEやadidas、コンバースなどがこぞって革靴に見える「ローファー型デザイン」をローンチ。スニーカートレンドの終焉とともに、トレンドが完全に革靴へとシフトしているのです。
ゴツめのデコラティブなダッドスニーカーは時代遅れ
厚底シューズはまだまだ人気ではありますが、ゴツめのデコラティブなダッドスニーカーはそろそろ時代遅れ感が出てきているかも……。今年買うならドレスブーツやドレスシューズがおすすめです。サイドゴアなどのデザインがある細身のシンプルなドレスブーツ、もしくは細身のデザインのローファーなど。綺麗めクリーン、大人を感じさせる足元が今年の気分。
「さあ今年の秋はどのスニーカーを履こうか」と息込んでいる方も多いでしょうが、今年はちょっと革靴もチェックしておいたほうがよさそうです。
★『細身ジャケット』買うなら『ゆるめジャケット』買っとけ!

しかし! 今年は感動シリーズなどの細身ジャケットなどは要注意。トレンドを観察すると細身よりややゆったり系のテーラードジャケットが人気です。
近年、こうしたONとOFF両立、シームレスでビジネスにもカジュアルにも使えるコンパクトサイズのジャケットが流行しすぎた結果……少々飽和状態になってしまいました。今はONスタイル向けの細身ジャケット、OFFスタイル向けのルーズジャケットと分けて着るのがおしゃれの常識。
カジュアル用はルーズを選ぶのがトレンド
実際、昨年あたりから街を歩くと着丈がやや長くゆったりとさせたジャケットを着用している方が多く、細身のジャケットはONスタイルは日常着としてはあまり見かけなくなりました。トラッドブランドでもカジュアル用ジャケットはややゆったりめにサイジングすることが多くなり、これは若い方だけでなく50~60代以上向けのブランドでもしっかり反映されています。他方、ONスタイルはオーダースーツなど細身でしっかり体に合わせたサイズ感が支持されており、ONとOFF両方使えるというのはやや古くなってきたかなと感じています。
日常着でおしゃれをしたいなら両刀使いではなく、カジュアル用にルーズなジャケットを選ぶのが吉。おしゃれを志すならば、できれば使い分けていただきたいですね。
★『ボディバッグ』買うなら『ワンショルダーバッグ』買っとけ!

もともとキャッシュレスで財布が小さくなったことから端を発し、「それならバッグも小さいほうがいいよね」とラグジュアリーブランドがバッグのミニチュア化を進め、国内ブランドや量販店もそれにならい、続々とリリース。結果猫も杓子も斜めがけの小さなバッグを持つようになりました。
しかし、そんなトレンドも過ぎ去り、10年前は「かっこよかった」ミニバッグも今は「普通」に。トレンドは「かっこいい」→「普通」→「ダサい」と浸透していくほどに希少性を失い、価値をなくしていくのが常です。
斜めがけではなく、片側のみにかけて使う
ミニバッグが浸透しきった今、トレンドに浮上しているのはワンショルダーバッグやエディターズバッグなどの肩がけもの。斜めがけではなく、片側のみにかけて使うやや大ぶりのバッグが人気、多くのブランドがラインアップしています。また、手持ちのクラッチバッグやショッピングバッグなども人気が復活してきており、今年の秋冬は特にアンチミニバッグの流れが増えていきそう。
今年のボーナスでご褒美バッグを狙ってる方はミニバッグではなく、それ以外を狙うのが吉ですよ。
以上! 「今年の秋は◯◯買うな!△△買っとけ!!」でした!
―[メンズファッションバイヤーMB]―
【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『ロードマップ』のほか、『MBの偏愛ブランド図鑑』『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Xアカウント:@MBKnowerMag)