恋人の“身近な相手”との関係は、ただの浮気以上に深い傷を残す——。
「このニュースを見て記憶がフラッシュバックしましたね……」と苦笑いしながら、自身の悲惨な経験を話してくれたのは鈴木佳奈さん(34歳・仮名)だ。
今回は「結婚を前提に付き合っていた恋人が、身近な女性と関係を持ち、婚約破談となった女性」に話を聞いてみた。
職場恋愛中の彼との「幸せな毎日」が一転
鈴木さんは29歳の頃、当時勤めていた会社の同僚と結婚する予定だった。「親の挨拶も済ませて、婚約をしたことは社内にも話していました。婚姻届を提出する日を付き合った記念日にするか、私の誕生日にするかで話し合いつつ、式場探しもして忙しかったですが、幸せな毎日でした」
だが、土日に予定していた式場見学に彼が「具合が悪い」「母親が倒れた」などと言いドタキャンするように。「おかしいなぁ」と鈴木さんは不審に感じるようになる。
自宅玄関に“自分のものではない”パンプスが…
「元々は少し具合が悪くても約束は守るタイプだったから『どうしたのかな』って心配でした。そしたら急に『話があるから今日うちに来てほいい』ってLINEがきて……」
“プロポーズも済んでいるのに改まって何の話だろう?”と不思議に思った鈴木さんだったが、彼の家に行くと、玄関には明らかに自分のものではない可愛らしいパンプスがあった。
「頭の中は“?”でいっぱい。とりあえずリビングに行くと、彼と、若い子が並んで座っていました。彼は私をみるや否や土下座して『子供ができたから別れて欲しい』と絶叫。隣で彼女は号泣していました」
鈴木さんはドラマばりの急展開に「これは夢?」とすら思ったようだ。
「“現実でこんなことある?”っていう(苦笑)。
その女性は、彼の取引先の受付の子で、仕事でよく顔を合わせていたのがきっかけだという。鈴木さんは、涙も出ないまま「……また連絡します」とだけ告げて、自宅に戻ったそうだ。
「家に着いたら泣けてきました。彼との今までは一体なんだったのかと。同じ会社でずっと一緒に働いて、付き合って、結婚決めて、今さら急に別れるって言われても。とにかく理解が追いつかないまま親友に電話して、話を聞いてもらいました」
結婚直前の破談。慰謝料250万円もらっても「割に合わない」

「彼は『子供は堕ろせない』と何回も言っていたので、もし彼女と別れて私と予定通り結婚しても子供がいる。そんなの耐えられないですよね。それに私はとてもじゃないけど、会社に残りづらい。
金額としては大きいが「当時のストレスを考えたら全然安すぎる」と鈴木さんは真顔でいう。
「ゆりにゃさんも『外を歩いたら浮気された人だって思われるのツラい』的なコメントをしていましたが、まさにそれ。まわりに結婚するって言ってたのに『直前で若い女に寝取られた』って思われるって思うと、会社にはとても行けなかった。しかも29歳ですよ? 29歳で婚約者も仕事も失って250万円って、割に合いませんよ」
実家に帰ることも考えたそうだが、心機一転、引越して新しい土地で仕事をはじめた。去年、結婚して現在は妊娠中だ。
「勝手な思い込みで30歳過ぎたら結婚できないって思ってたけど、そんなことはなかったのでよかったです(笑)。旦那は年下なんですが、この婚約破棄の悲惨な話を聞いても引かずに、付き合ってすぐに結婚してくれたので幸せでした」
略奪婚の思わぬ顛末とは…
放置していたSNSに結婚したことともうすぐ出産する旨を書き込むと、当時の同僚から数年ぶりにダイレクトメールがきたそうだ。その内容は言うとーー。
「元カレ夫婦は離婚したそうです。私たちの破談の原因になった子供が、じつは彼の子供ではなかったみたいです……。あまりに顔が似ていないから、彼が隠れてDNA鑑定したら、違ったそうです」
元カレは鈴木さんと別れたことを「後悔している」と言っているようだが。
「子供のことは元カレも被害者というか、気の毒ですが、でも関係は持っていたのは事実だから、私としては結婚しなくてよかったです。
鈴木さんは「結果的には良かった」と微笑んでいた。
<取材・文/吉沢さりぃ>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720