はじめまして、ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)の藤原久敏と申します。私はお金の専門家であるFPとして20年以上、資産運用の相談・講演・執筆をメインに活動していますが、そんなFP歴以上に長いのが、株式投資歴です。


私の初めての投資は、社会人1年目の初ボーナスをつぎ込んで買った「ミニストップ(イオン系列のコンビニ)」。
株主優待のソフトクリーム無料券(年間10枚)に惹かれたのが大きな理由ですが、以来、そんな株主優待を意識した投資を続けています。

株価乱高下の今こそ注目!内需関連の優待銘柄

株主優待とは、会社が株主に対して、自社商品やお食事券、買物券などを、原則として年1回もしくは2回送ってくれる制度です。上場企業約4000社のうち、その約4割にあたる1500社以上が何らかの優待を実施しています。

株主からすれば、定期的に優待品を受け取れる安心感は大きく、同じく定期的なリターンである配当金目的の投資と並んで、手堅い投資法としても人気です。
とくに今、トランプ関税によって、(トランプの気分1つで?)理不尽に株価が乱高下する相場において、定期的なリターンが確保されている優待銘柄は注目されています。
中でも、主に国内でビジネスを行う内需関連の優待銘柄は、トランプ関税動向や、緊迫した国際情勢(主にウクライナや中東情勢等)の影響も受けにくいことから、さらに注目と言えるでしょう。
そして何より、内需関連の優待銘柄は、小売・食品・外食など、我々の生活に身近な業種が多いので、(とくに投資初心者にとっては)投資しやすいのではないでしょうか。

本稿では、私が長年保有する優待銘柄の中でも、今おススメしたい、そんな内需関連銘柄を紹介したいと思います。
昨今の物価高において、大いに家計の助けになるであろう2銘柄を厳選しました。

保有株数に応じてキャッシュバック率が上がる「イオン」(8267)

優待利回り“最大23%超え”。FPが持ち続ける「内需関連銘柄...の画像はこちら >>
国内首位級の大手総合スーパーで、日常的に利用している人も多いでしょう。私もそんなイオン常連客の1人です。

イオンの株主優待の特徴は、キャッシュバック制度です。
レジにて株主優待カードを提示することで、買上金額の1%(100株保有時)が半年毎に、イオン各店舗のサービスカウンターにて現金で受け取れます。

たった1%と侮るなかれ、普段からイオンで食材・日用品等を買っていれば、それなりの金額が積み上がっているものです。実際、私は半年毎に受け取る、数千円ものお小遣いを(妻には内緒で)楽しみにしています。
我が家はイオンのヘビーユーザーなので、私がイオン株を買ったのは、そんなお小遣い(キャッシュバック)も、大きな理由の1つです。

優待利回り“最大23%超え”。FPが持ち続ける「内需関連銘柄」2選。トランプ関税に負けない
ちなみに、キャッシュバック対象となる年間買上金額の上限は200万円なので、優待をフル活用すれば、年間キャッシュバックは2万円(200万円×1%)です。
現在、イオンの最低投資額(100株)は約18万円なので、優待利回りはMAX11%程度にもなるのです。
なお、キャッシュバック率は200株保有で2%、300株保有で3%・・・と、保有株数に応じて上がっていき、最高で7%。相当なイオンユーザーであれば、100株以上保有するのも十分アリですね(私は300株保有)。

優待フル活用で、年間3万円割引も!高島屋(8233)

優待利回り“最大23%超え”。FPが持ち続ける「内需関連銘柄」2選。トランプ関税に負けない
(写真:Adobe Stock)
東京、大阪など全国展開する、我が国を代表する老舗百貨店です。私世代の人間にとっては、ちょっと特別感のある、まだまだ憧れに存在ではないでしょうか。
そんな高島屋の株主優待の特徴は、割引優待方式です。
株主優待カードを提示することで、その場で、商品が10%割引となります(一部商品除く)。

10年程前、高島屋のレジにて、財布から株主優待カードを徐に取り出す紳士を見て、「常連っぽくて、カッコイイな」と思い、思わず高島屋株を買いました。
以来、私は株主となってからは(株主優待カードを手にしてからは)、その支払時に株主優待カードを差し出す優越感を、存分に味わっています。
その際、心なしか、店員さんの対応がより丁寧に感じられるのは、私の気のせいでしょうか?

ちなみに、割引の利用限度額は年間30万円(100株保有時)なので、優待をフルに活用すれば、年間割引額は3万円(30万円×10%)です。
現在、高島屋の最低投資額(100株)は13万円程度なので、優待利回りはMAX23%程度と、なんと、約4年で元が取れてしまう水準なのです。
なお、その利用限度額は200株保有で年間60万円、1000株以上保有で「限度額なし(無制限)」となります。ですので、高島屋を普段使いにしているような方、もしくは超高額商品を買う予定のある方など、まずは髙島屋株を1000株(133万円程度)買うのも十分アリですね(私は200株保有)。

優待利回り“最大23%超え”。FPが持ち続ける「内需関連銘柄」2選。トランプ関税に負けない
また、高島屋は内需関連銘柄でありながら、代表的なインバウンド銘柄でもあります。今後ますます、訪日外国人の増加が見込まれる中、さらなる成長も期待できるでしょう。

割引優待の落とし穴

ところで、今回紹介した2銘柄の共通点は、「内需関連」であることともう1つ、それは「割引優待(キャッシュバックは実質的に割引)」であること。
そして割引優待は、トコトン活用することで、前述のとおり、驚異的な利回りとなります。

ただ、「使うほどお得」に囚われ、さらには「使わないと損」とばかりに、ムリヤリに買物をするのは、お金と労力の無駄です。
と言いながらも、私自身、かつて、愛眼(眼鏡の卸・小売り専業大手)の株主優待券(メガネ3割引券)が送られてくるたび、ムリヤリ使っていました。そのおかげで今でも、(とくにメガネ好きでもないのに)部屋にはメガネやサングラスが溢れており、反省しきりです。

優待目当ての投資であれば、まずは、近所に店舗があるのか、
そして、普段からよく利用しているのかを確認してから、検討するようにしましょう。


※株価は2025年9月1日現在

【藤原久敏】
藤原FP事務所・藤原アセットプランニング合同会社代表。 大阪市立大学(現:大阪公立大学)文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年にファイナンシャル・プランナーとして独立。 現在は、資産運用に関する相談・執筆・講演を中心に活動する。
 著書は『安心・安全の一生もらえる高配当株投資』(ぱる出版)、『新しいNISA超入門』(スタンダーズ)、『あやしい投資話に乗ってみた』(彩図社)など30冊を超える。大阪経済法科大学経済学部非常勤講師を勤める。
保有資格:FP技能士1級、CFP®
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