元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」が、自身の経験や周囲の業界人から聞いた話をもとにお届けする連載コラム。2016年に「ほかにやることがなかったから」という理由でセクシー女優デビュー。
女優生活2年半で引退を決意し、ライターへ転向。現在はメディア出演も積極的に行っている。

メジャーな身バレ防止策とその効果

元セクシー女優が明かす「身バレを防ぐための3つの方法」。“嘘...の画像はこちら >>
 セクシー女優として活動するうえでの懸念点は、やはり“身バレ”。おそらく「親にも兄弟にも友達にも、職場にも彼氏にも全部オープンです」なんてタイプは、業界全体を見渡してもかなり少ないだろう。

 人前に出る商売といえど、セクシー業界には身バレ対策のテンプレートが用意されている。事務所も身バレを気にする女優には細心の注意を払って売り出し、無理な強制はさせない。これを業界用語では「パブリシティの制限」といい、「パブリシティ全開(=パブ全)」ではない女優は、必ず何らかの身バレ対策を取りながら活動していく。

 先に言っておくと、メディアに出る時点で完全な防御策はない。ネット社会という足がつきやすい環境だからこそ、バレ対策は年々効果が薄れているように思うが「やらないよりもやったほうがマシ」であるのは確かだ。

 昔からあるテンプレート的な「3つの身バレ対策」と、その効果を解説しよう。

①プロフィールとキャラ設定を徹底する

 キャラ設定は女優として欠かせない仕事の一つだが、特に身バレを気にする人はキャラの作り込みを入念に行う。出身地、血液型、誕生日、年齢、性格、趣味嗜好など、あらゆる要素をプライベートから遠ざけ、別人として振る舞う手法だ。

 こういった“擬態”ともいえる手法の場合、本人のプロ意識がかなり問われるほか、「素を活かす」戦法が全く取れないなどのデメリットはあるものの、一部の女優には有効だ。例えば特殊な経歴を持っていたり、予想外の出身地をそのまま記載すれば、あっという間に足がつきそうな人はプロフィールを無難なものに変えると、多少リスクを下げられる。


 ただ外見でバレたら一発アウトなので、こちらの項目はあくまで補助的な方法と言えようか。

②見た目を女優モードに「作り込む」

 正直、出身地や血液型だけ変えても効果が高くないため、セクシー女優に“擬態”するならイメチェンが必須。黒髪から金髪、地味から派手、といったように、女性は髪型やメイクが違うだけで大きく変身できるので、バレ対策のために本来の姿から全く異なる見た目にするケースもある。

 髪色だけではそこまで大差ないけれど、ピンク髪のツインテール地雷系から黒髪のアイドル風お姉さん系になれば、メイクも服装も使うカラコンもガラリと変わる。特に派手から清楚へのイメチェンは、かなり効果的のようだ。

 身バレ効果はそこそこあると思うが、この方法には大きな落とし穴がある。なぜなら全員が全員、180度変わったキャラ路線で進めるわけがなく、素材が良ければ「このままでいきましょう」なんて話が浮上することも。

 その結果、“擬態”ができなくなる可能性があるため、こちらは全員に有効的な身バレ対策とはいえないのだ。

SNSなどネットを全て遠ざけて活動する

元セクシー女優が明かす「身バレを防ぐための3つの方法」。“嘘プロフィール”に潜む落とし穴
元セクシー女優で現在はフリーライターの「たかなし亜妖」
 最近はSNSや、出演したYouTubeが知られるなど、ネットを通じての身バレがもっとも多い。

「だったら個人アカウントを作らず、ネット系のオファーはすべて断り、ビデオ出演のみで活動すればバレづらいのでは?」という考えになりそうだが、それはほぼ間違っていない。動画の無断転載は止められないため、海外サイトなどで身バレする危険性はあれど、SNSなどに触れなければ大幅にリスクは回避できるだろう。

 しかし、今の時代でネットを遠ざけて活動をするなど至難の業。SNSフォロワーと拡散がモノを言うのに「そこを全部遮断したいです」と言ってしまうと良い仕事はもらえない。

 最近の単体や人気企画女優はみんな当たり前のようにSNSを運用し、「パブ全」の女優が増えてきた。
小遣い稼ぎで企画作品に参加するレベルの演者でないと「ネット系はやりません」が通用しないのだ。

身バレを恐れていたら女優活動は難しい

 対策はあくまで対策にしか過ぎず、完全な防御策はない。ネットの発達にかかわらず、昔からセクシー業界は身バレと隣り合わせの世界なので、いくら策を練っても運頼みな部分は大きいだろう。

 人気商売はリスクを背負うほど仕事へ繋がる「等価交換」が基本。SNSが主流となった現代は特にそうで、「身バレなんて当たり前」と考えられる演者でない限り、活動が難しい。

 セクシー業界はおろか、社会の流れ、そして演者の売り出し方法が変わった現在は、過去のやり方が通用しないことが多いのだ。デメリットを踏まえたうえで動く必要が出てくるとなると、やはり界隈は「狭き門」だとつくづく思う。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
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