メジャーな身バレ防止策とその効果
セクシー女優として活動するうえでの懸念点は、やはり“身バレ”。おそらく「親にも兄弟にも友達にも、職場にも彼氏にも全部オープンです」なんてタイプは、業界全体を見渡してもかなり少ないだろう。人前に出る商売といえど、セクシー業界には身バレ対策のテンプレートが用意されている。事務所も身バレを気にする女優には細心の注意を払って売り出し、無理な強制はさせない。これを業界用語では「パブリシティの制限」といい、「パブリシティ全開(=パブ全)」ではない女優は、必ず何らかの身バレ対策を取りながら活動していく。
先に言っておくと、メディアに出る時点で完全な防御策はない。ネット社会という足がつきやすい環境だからこそ、バレ対策は年々効果が薄れているように思うが「やらないよりもやったほうがマシ」であるのは確かだ。
昔からあるテンプレート的な「3つの身バレ対策」と、その効果を解説しよう。
①プロフィールとキャラ設定を徹底する
キャラ設定は女優として欠かせない仕事の一つだが、特に身バレを気にする人はキャラの作り込みを入念に行う。出身地、血液型、誕生日、年齢、性格、趣味嗜好など、あらゆる要素をプライベートから遠ざけ、別人として振る舞う手法だ。こういった“擬態”ともいえる手法の場合、本人のプロ意識がかなり問われるほか、「素を活かす」戦法が全く取れないなどのデメリットはあるものの、一部の女優には有効だ。例えば特殊な経歴を持っていたり、予想外の出身地をそのまま記載すれば、あっという間に足がつきそうな人はプロフィールを無難なものに変えると、多少リスクを下げられる。
ただ外見でバレたら一発アウトなので、こちらの項目はあくまで補助的な方法と言えようか。
②見た目を女優モードに「作り込む」
正直、出身地や血液型だけ変えても効果が高くないため、セクシー女優に“擬態”するならイメチェンが必須。黒髪から金髪、地味から派手、といったように、女性は髪型やメイクが違うだけで大きく変身できるので、バレ対策のために本来の姿から全く異なる見た目にするケースもある。髪色だけではそこまで大差ないけれど、ピンク髪のツインテール地雷系から黒髪のアイドル風お姉さん系になれば、メイクも服装も使うカラコンもガラリと変わる。特に派手から清楚へのイメチェンは、かなり効果的のようだ。
身バレ効果はそこそこあると思うが、この方法には大きな落とし穴がある。なぜなら全員が全員、180度変わったキャラ路線で進めるわけがなく、素材が良ければ「このままでいきましょう」なんて話が浮上することも。
その結果、“擬態”ができなくなる可能性があるため、こちらは全員に有効的な身バレ対策とはいえないのだ。
③SNSなどネットを全て遠ざけて活動する

「だったら個人アカウントを作らず、ネット系のオファーはすべて断り、ビデオ出演のみで活動すればバレづらいのでは?」という考えになりそうだが、それはほぼ間違っていない。動画の無断転載は止められないため、海外サイトなどで身バレする危険性はあれど、SNSなどに触れなければ大幅にリスクは回避できるだろう。
しかし、今の時代でネットを遠ざけて活動をするなど至難の業。SNSフォロワーと拡散がモノを言うのに「そこを全部遮断したいです」と言ってしまうと良い仕事はもらえない。
最近の単体や人気企画女優はみんな当たり前のようにSNSを運用し、「パブ全」の女優が増えてきた。
身バレを恐れていたら女優活動は難しい
対策はあくまで対策にしか過ぎず、完全な防御策はない。ネットの発達にかかわらず、昔からセクシー業界は身バレと隣り合わせの世界なので、いくら策を練っても運頼みな部分は大きいだろう。人気商売はリスクを背負うほど仕事へ繋がる「等価交換」が基本。SNSが主流となった現代は特にそうで、「身バレなんて当たり前」と考えられる演者でない限り、活動が難しい。
セクシー業界はおろか、社会の流れ、そして演者の売り出し方法が変わった現在は、過去のやり方が通用しないことが多いのだ。デメリットを踏まえたうえで動く必要が出てくるとなると、やはり界隈は「狭き門」だとつくづく思う。
文/たかなし亜妖
―[元セクシー女優のよもやま話]―
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。