角地にある一戸建ての庭を、近所のサラリーマン風男性が「近道」として何度も横切る――。
 芝生は踏み荒らされ、注意しても改善されない状況に、斉藤さん(30代・雑貨店勤務)はついに一計を案じたそうです。
翌朝、庭で起きた光景は想像以上だったといいます。

「庭を横切って通勤する」非常識なスーツ男を撃退した“驚きの方...の画像はこちら >>

長年続く近道カットの悩み

 斉藤さんが暮らす家は角地で、道路との柵はなく庭の中を通ると最短で通り抜けできることから、近隣住民の一部に“近道”として利用されていました。

 特に目立ったのが、スーツ姿のサラリーマン風男性。毎日のように庭を横切る常習犯で、芝生は踏み荒らされ、斉藤さんは強い不快感を抱えていたそうです。

「朝の出勤時間になると、あの男性が必ず庭を横切るんです。靴跡で芝生がぺしゃんこになっていて…正直、気分が悪かったですね」と斉藤さんは語ります。

 時々注意をするも、男性は軽く「すみません」と言うだけで、次の日にはまた同じ行為を繰り返す状態だったといいます。

「最初は優しく声をかけていました。でも、その態度では全然止まらなかったんです」と斉藤さん。

 周囲に相談しても、「近道だから仕方ない」と軽く受け流されることが多く、悩みは深まる一方でした。

親友からの一言で反撃を決意

 ある日、親友のKさんにこの問題を相談したところ、思わぬアドバイスを受けたそうです。

「『自分の敷地なんだから、何やってもいいんじゃない? ちょっとこらしめてやりなよ』って言われて、ハッとしました」と斉藤さんは振り返ります。

 それまでは、法律的に問題があるのではないか、近所トラブルになるのではないか、と悩んでいたそうですが、Kさんの言葉で“自分の土地を守る権利”を意識するようになったといいます。

 その日の夜、斉藤さんは具体的な作戦を練り始めました。
「どうせなら目立たず、でも効果的に…」と考え、翌日に訪れたホームセンターで必要な材料を購入。人工芝、園芸用ネット、スコップなどをそろえました。

原始的すぎる庭の仕掛けは大成功

 その夜、斉藤さんはなんと庭の角にスコップで穴を掘り、ネットで覆い、その上を人工芝でふたをするという“原始的な仕掛け”を施しました。

 元々芝生だったその周辺は、斉藤さんの仕掛けは全く目立たなかったといいます。

「正直、これで本当に効果があるのか半信半疑でした。でも、やらないよりはマシだと思ったんです。随分と悩みましたが決断したんです」と斉藤さん。

 翌朝、見事に計画は現実となりました。雨で少し濡れた人工芝に、またもやショートカットの目的でいつものスーツ姿の男性が足を踏み入れてきたのです。

「男性は穴につまづいて転んでいました。びっくりしたのか『うおっ』と叫んだあと、一目散にその場から逃げて行きました。朝露でスーツが濡れて泥だらけ。『ざまあみろ』でしたけどね」

平和が戻った我が家の庭

 この一件以降、男性が庭を横切ることはなくなったそうです。


「結構勇気入りましたけど、実行してよかったと思っています。もちろんやり方は原始的だけど、あれ以来、芝生はきれいなままです」と満足そうな表情で話す斉藤さん。

 市の住宅トラブル担当者によると、敷地内の権利は法律で保護されており、「他人が勝手に通行するのを防ぐことは、正当な行為」とのことらしいです。斉藤さんは今回の体験を通じて、自己防衛の重要性を実感したそうです。

「これからは、庭の手入れも心置きなく楽しめそうです。芝生がきれいだと、気分もいいですからね」と、笑みを浮かべながら話してくれました。

 長年の悩みを解決した“原始的な庭の仕掛け”。ちょっとした勇気が平和をもたらすことを、斉藤さんは身をもって実感したといいます。

<TEXT/八木正規>

【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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