2025年12月17日、傷害罪および恐喝罪に問われていた名古屋市中区の風俗店員、篠田萌夏被告(28)に対し、名古屋地方裁判所は懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年)の有罪判決を言い渡した。

過去にもいくつかのトラブルが…

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 判決によると、篠田被告は2024年6月、名古屋市内のラブホテルで、被害者の男性に暴行を加えた上で現金2万円を脅し取ったとされる。裁判長は判決理由で「被害者は頭部から出血する傷害を負い、財産的被害を負ったもので、被害結果は軽視できない」と指摘する一方、「被告人に前科がないことなど、被告人のために酌むべき事情も認められる」として、執行猶予を付けた。


 篠田被告は、SNS上で一定の知名度を持つ人物として知られており、過去にも警察が関与するトラブルを起こしていた。2023年3月には、東京都新宿区歌舞伎町で動画投稿者として活動する内田浩樹さん(49)との間でトラブルになり、SNS上で大きな反響を呼んだことがある。

 内田さんによると、同年3月下旬の未明、歌舞伎町の路上で1人で歩いていた篠田被告に声をかけたが、応答がなかった。その後、口論となり、互いに身体的な接触があったという。篠田被告はその場で内田さんの写真を撮影し、SNSに投稿。

<ナンパしてきて無視ったらブスと言われ、蹴られました~中略~こいつを社会的に殺したいので、拡散お願い致します。>

 投稿は短時間で拡散され、内田さんのもとには「お前、女を蹴ってんじゃねーよ」など、多数の批判的なメッセージが寄せられた。

 2024年2月29日には、山口県宇部市内のビジネスホテルで、宿泊客に派遣されていた際、トラブルになり、ホテルの支配人の腕にかみついたとして傷害容疑で逮捕された。警察によると、無断で客室に立ち入ったことを注意され、口論になったという。この事件については不起訴処分となり、釈放されている。

 そして同年6月3日、名古屋市内で今回の起訴対象となった事件が起きた。

裁判記録が描いた「密室の6分間」

 裁判記録によると、事件が起きたのは2024年6月3日の午前11時21分~27分だった。

 名古屋市北区にあるラブホテル。
篠田萌夏被告(当時26)は、業者を介してマッチングアプリで知り合った男性(当時68)と、初めて直接会った。

 2人はまず寿司店で食事をし、その後、男性の車で篠田被告が指定したラブホテルへ向かった。ここまでは、双方の認識に大きな食い違いはない。

 問題は、部屋に入ってからだった。

 判決によると、篠田被告は男性の頭部を携帯電話で殴打し、さらに殴る蹴るの暴行を加えた。男性は頭部から流血した状態だったという。それで恐怖を感じ、性行為もしていないのに、現金2万円を差し出した。だが、篠田被告の弁護人が述べた主張は次のようなものだった。

「2万円は最初に受け取っていた。避妊具を使わないなら追加料金がかかると説明すると、胸や陰部を触ろうとしてきたため、胸や陰部を触るのでも追加料金がかかると説明すると、『ふざけるな、金を返せ!』と怒ってきた。腕をつかまれたことから、恐怖心で頭を携帯で1回殴った。自分の身を守るための正当防衛だった。
『女だからってナメてんじゃねえ』というのは脅しで使ったわけじゃない。だから、傷害についても恐喝についても無罪です」

名古屋の風俗店員、ラブホで68歳男性に暴行・恐喝。法廷で「わーん、わーん」と号泣した“28歳女の過去”
路上を歩く篠田萌夏被告(内田浩樹さん提供)


「わーん、わーん」と号泣を始める被告

 篠田被告は被告人質問で「被害者は激高して胸ぐらをつかんできた」とか、「怖くなって逃げた」などと説明したが、それを傍聴席で聞いていた被害者の男性は「ウソをつくなー!」と大声を出した。すると篠田被告は過呼吸のような状態になり、弁護人の「大丈夫ですか?」という呼びかけを遮り、「わーん、わーん」と号泣し始めた。

 ここで裁判長は15分間の休廷を言い渡し、傍聴人を全員法廷の外に出した。再び傍聴人らが戻ると、審議が再開されたが、検察側による反対尋問でまた一悶着あった。

「あなた、これまでに傷害で前歴が3件ありますね。どれも今回の事件と似たようなものばかりですが、自分の口からどういった事件だったか説明してもらえますか?」

 ここですかさず弁護人が「異議あり。前科じゃないんですから、ここで話す必要はないと思います」と割って入った。検察官は「今回の事件につながっていくことですので、関連性があると思料します」と食い下がったが、裁判所は「それは書証でも提出されているので、もうけっこうです」と退けた。それでも検察官の追及は続いた。

「あなた、どこかの店に所属して、援デリをやっていたんですよね。それならなぜ店にトラブルを報告しなかったの?」
「したけど、店には『知らん、関わりたくない』と言われました。
その後、連絡が取れなくなりました」
「それなら警察に通報すれば良かったのでは?」
「そこまで頭が回りませんでした」

 検察側は「被告人の弁解は証拠とも整合せず、不自然極まりない」として、懲役3年を求刑。弁護側は相変わらず正当防衛を主張し、「疑わしきは罰せずの精神でいくべきだ」と述べた。

 判決で西脇真由子裁判長は、「被告人の行為は悪質だが、初犯であることや、社会内での更生を期待できる事情がある」と述べ、執行猶予付きの判決を言い渡した。<取材・文/諸岡宏樹>

【諸岡宏樹】
ノンフィクションライター。1969年生まれ。三重県出身。週刊各誌で執筆。著書に『実録 性犯罪ファイル 猟奇事件編』『実録 女の性犯罪事件簿』。別名義でマンガ原作も多数手がける
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