―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに読者の悩みに答える! 今回は発達障害を抱え、結婚も友達もほぼいないという33歳女性の相談について。佐藤優が真摯に答える。

発達障害で結婚の目はなく、友達もほぼいません

★相談者★父は佐藤優さん信者でした(ペンネーム)パート 33歳 女性

 私は学歴コンプレックスの強い両親の下に生まれました。中学受験もし、進学した高校では両親の言うとおりにトップクラスに入りました。両親や、担任の勧めのまま、地元の大学を受け、落ちたときは父から嫌みも言われました。短大に進み、20代前半で発達障害がわかり、障害者手帳を取り、障害者採用で2社経験し、今は作業所勤めです。婚活も取り組みましたが、婚活のプロのコンサルタントからはもう結婚を目指さなくていいと言われました。何年か前には地元のよく当たるというタロット占いの人から良縁を逃したとも言われました。友達もほとんどおらず、私の人生とは何だったのでしょうか? 亡くなった父が佐藤優さんが大好きだったので相談を送らせてもらいました。ぜひアドバイスをお願いします。

「私の人生とは何だったのか」と悩む未婚33歳女性。高校はトッ...の画像はこちら >>

佐藤優の回答

 あなたのお父さんは、「よかれ」と思ってあなたに勉強を強要したのですけれど、結果としては教育虐待になっていたようですね。発達障害があることに気づき、障害者手帳を取得する決断をしたのは適切です。しかも障害者雇用枠を用いて働いているのですから、これでいいのだと現在の自分を肯定しましょう。また、結婚だけが幸せになる道ではありません。

 私が尊敬する評論家の竹村健一先生はこんなことを述べています。


〈情報、知識、知恵というものをより多くもっていさえすればいいというものではないのは当然のことだ。

 そこには、基本にその人の“生き方”“姿勢”“哲学”というものがなければならない。/私の場合を考えてもそうだ。テレビに出ている評論家はたくさんいる。私がその中で、特に人気があるというのは、私に人と違った個性があるからで、話す内容がほかの人と同じことをいっても、その情報が私の体を通って竹村流という個性に彩られているからではないかと思っている。/そして、個性というのは、自分自身の実力のひとつであり、それがいろいろな結果に影響を及ぼすのである。/だからひとつの土壌の上に生まれてきた自分の個性を、そのままずっとその状況の中においておくと、そこから吸い上げる栄養には変化がないから、だいたい親と同じような個性のままで終わることになる。〉(『「荀子」人生で学ぶべきこと』87~88頁)

 現在のあり方は、あなたが自分の個性を十分に発揮していると考えればいいです。あなたはしっかりした文章を書ける人です。こういう人は読書量が多いです。テーマを決めて、系統的に読書をしてみたらいいでしょう。小説でもノンフィクションでも、紀行文でも料理本でもいいです。
ちなみに私は仕事で疲れたときは動物図鑑を読みます。いろいろな動物がいることを知ると、少し変わった人や波長の合わない人がいても、人間を含む動物の特徴は多様性なので、ストレスが軽減します。

 あなたのお父さんは、恐らく、私の本を何冊か持っていると思いますので、手始めにそれを読んでみるといいでしょう。私の本にも、人生にはさまざまな山や谷があることが書かれています。’02年5月に鈴木宗男事件に連座して東京地方検察庁特別捜査部に逮捕された後、2年くらいの間に、外務省時代に付き合っていた人は数人を除いて、去って行きました。しかし、2~3人でも本当の友達が残ればいいのです。あなたも、今の時点でも2~3人、友達がいると思います。そういう人たちを大切にすることです。

★今週の教訓……あなたは十分に個性を発揮できています

「私の人生とは何だったのか」と悩む未婚33歳女性。高校はトップクラスも大学受験失敗、発達障害が発覚…佐藤優が贈る言葉
性悪説を唱え、教育や礼によって社会秩序を保つべきとした荀子。その現実主義的な考え方を基に、人の上に立つ人の人間学などを竹村流で綴った一冊。'02年刊
※今週の参考文献『「荀子」人生で学ぶべきこと』竹村健一 経済界

―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。
『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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