「SNSなどで、パーク内を案内するツアーと称した偽プライベート・ツアーが確認されている」
つまり、USJ内で無許可で有料ツアーガイドを催行する業者の存在を認めた格好だ。
だがUSJだけではなく東京ディズニーランド(TDL)でも、同様の闇ツアーがすでに動いている。そしてTDLを運営するオリエンタルランドは小誌の取材時点まで、その実態を「把握していなかった」という。
一見すると正規のツアーに見えるが
中国版インスタグラム「RED(小紅書)」を開くと、USJとTDLに関連するツアー広告が大量に並んでいる。TDLは公式サービスとして、専属ガイドによる「プライベートVIPツアー」(44万円~66万円)や宿泊付きの「バケーションパッケージ」を提供しているが、それに酷似した名称の非公式ツアーが、中国人旅行者向けに堂々と販売されているのだ。投稿を眺めると、『东京迪士尼VIP8小时平替(東京ディズニーVIP8時間ツアー)』『Vacation PACKAGES 东京迪士尼(バケーションパッケージ東京ディズニー)』のほか、公式にすら存在しない『东京迪士尼全家桶套餐(東京ディズニーファミリーパッケージ)』なる商品まである。コメント欄には「大人2名子供1名でいくらですか」「夫婦2名で予約したいです」という書き込みが絶えない。
さらに投稿にはディズニーキャラクターや園内写真、公式ロゴまで無断使用されており、一見すると正規のツアーに見える。しかし実態は、TDLとは無関係の中国系業者が運営するものだ。無論、ディズニー側は公式サイトで、園内での営利活動・商業目的の撮影・サービス提供を明確に禁じている。
利用者側も、TDL側の公認ツアーであると勘違いして申し込んでいる可能性もあるように思える。
公式ツアーの約半額で中国人観光客のニーズに完全に応えるパッケージを提供
内モンゴル自治区の業者Aは「東京ディズニーVIP8時間」プランを販売していた。「大人2名・子供1名で合計12,388人民元(約30万円)。
深圳市の業者BはVIPツアーに加え、「VP(バケーションパッケージ)」も扱っていた。「1泊2日で公式ホテルに宿泊しながら、1日はランド、もう1日はシーを楽しめます。大人2人子供1人で16,500元~29,000元(約38万~67万円)。追加オプションとして1日1,900元(約4万4,000円)の通訳ガイドも付けられます」。記念撮影や子守りにも対応可能だという。TDL公式が44万円からのVIPツアーで提供しているサービスを、ほぼ半額以下のコストで代替するのである。
まさに家族連れが抱えるあらゆる不安を、ひとつひとつ潰すように設計されていた。
こうした闇ツアーが需要を掴んでいる背景には、中国政府による日本への団体旅行自粛要請がある。
ある業者の宣伝文句は、このように書かれている。
「ピーク時の混雑を避け、1日に10以上のアトラクションを体験可能。あてもなく歩き回るより5時間以上長く楽しめます。子守りや緊急対応も、中国語で迅速に対処します」
特に子守りサービスへの反響は大きいようで、親が休んでいる間に子供とアトラクションに並ぶ、ベビーカーを押して食事をさせるといった対応が重宝されているという。公式ツアーには存在しない「痒いところ」を、ピンポイントで突いている形だ。
そして、皮肉なことにその痒いところを生み出しているのも、外国語対応が追いついていないテーマパーク運営の現実といえる。
TDL側は「見つけ次第対処」
別の業者は「自分はガイド中で手が離せないが、近くに仲間がいるので連絡してみる」と言い、その後「忙しいようで連絡がつかない」と送ってきた。
こうした闇ツアーは、道路運送法・旅行業法・商標法など複数の法律に抵触する可能性があるが、摘発は容易ではない。ガイドは中国語で会話しているため、傍目には家族や友人グループとの区別がつかない。
SNS上のツアー動画を確認しても、ガイドが随行する家族グループと普通の家族旅行を外部から区別することはほぼ不可能だ。万が一、注意をしても「家族です」「友達です」と言い逃れもできてしまいそうだ。
さらに、いずれの業者からも、ガイドツアーを希望する場合は前日までにウィーチャットで予約・決済を完結させるよう指示があった。業者にとっては、海の向こうで商売をしているようなものであり、取り引きが中国のプラットフォーム上でクローズドに完結する以上、日本側が実態を把握するのは容易ではないだろう。
一連の状況について編集部がオリエンタルランド広報に問い合わせると、「実情については把握していなかった。外部業者による園内での営利活動は一切禁止しており、発見次第キャストが注意喚起をしていく」と回答した。
今後、TDLもUSJと同様の対応を迫られるのは時間の問題とみられるが、はたしてどのような策を講じるのか注目される。
<取材・文/SPA! ディズニーランド闇ツアー取材班>
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