今大ヒットとなっているNetflixドラマ『地獄に堕ちるわよ』。
占い師として一世を風靡した細木数子に注目が集まる一方で、その“黒い噂”や裏社会とのつながりも話題になっています。


そもそも占い自体が悪徳商法と紙一重のビジネスであることを、元占い師で『占い師ぶっちゃけ話 元プロが明かす業界の黒い実態』(清談社Publico刊)の著者であるまねまね氏も指摘しています。

今回は、今まで依存症者のさまざまな相談に乗ってきたまねまね氏から、業界にはびこる黒い実態や、占いをやめられない理由、占い師が“闇落ち”していく理由について伺いました。(前後編/後編を読む)

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占い師が「占いを疑うようになった」きっかけ

ーーまねまね氏がベテラン占い師から占い懐疑派になった経緯を教えてください。もともと、占いはお好きだったのでしょうか。

まねまね氏:元々祖母が占い師だったため、子どもの頃から占いが身近にある環境で育ちました。しかし、占いは嫌いで一切信じていませんでした。

20代のうちは演劇に打ち込んだのですが、まったく芽が出ず。30歳を迎えて転職を考えたとき、消去法のような形で占い師の道を歩み始めました。

ーーあえて嫌いだった占いの道へ。プロになってからは順調だったのでしょうか。

まねまね氏:当時はお金がなかったので、祖母が遺してくれた占いの専門書を片っ端から読み、劇団の打ち上げや飲み会の席などで無料で鑑定を続けた後、プロとして料金をいただくようになりました。

ーー地道にキャリアを築いていかれたのですね。活動を続けられる中で、何か心境の変化があったのですか?

まねまね氏:プロになって5年目に起こしたミスがきっかけでした。
AさんとBさんの鑑定文を、それぞれ逆に渡してしまったんです。

それなのに、二人とも「当たっている」と言う。

「占いは統計学」という言説を信じていた私は、強烈な違和感を抱きました。占いが統計学に基づいていたら、二人が当たったと感じるはずがないのです。

「占いは統計学」ではない

ーーその違和感が、占いを疑う決定打になったと。

まねまね氏:違和感を払拭するために調べていく中で、ある科学的アプローチの本に出会いました。そこには「運というのは方位や生年月日で決まるのではない。運が悪い人は視野が狭くなっており、運がいい人は視野が広いのだ」ということが書かれていたんです。

そこで初めて「占いは相談者が自分から当たりに行っている」のだと気づきました。

ーー「占いは統計学」は占いのキラーフレーズとも言えると思うのですが、根拠はないのでしょうか。

まねまね氏:占いの矛盾点の象徴的な存在が、一卵性の双子です。遺伝子がほぼ一緒。生年月日も一緒なので、占いでいう星も一緒ということになります。


星が一緒なら、双子は同じ運命をたどるはずですが、そんなことはないですよね。

ーー確かに、双子でまったく同じ人生を送る人はいませんね。

まねまね氏:占いはあくまでも経験値ですし、流派によっては「占いは統計学ではない」とわざわざ教えているところもあるくらいです。

私自身、占い師でしたので矛盾に気づいてからもすぐには占いを否定する側にはなれませんでした。

紆余曲折しましたが、コロナ以降は10年の占い師人生の幕を閉じ、「占い依存者の救済活動」を行っています。

実際にある悪どい手口

まねまね氏:占い懐疑派の私ですが、すべての占い師を悪とは思いません。しかし占い業界は、あくどい手段を使って稼ごうとする「闇落ち占い師」ほど生き残れる世界です。

ーー闇落ち占い師は、どのような手口で相談者を騙しているのでしょうか?

まねまね氏:ホットリーディングといって、事前に相手の情報を調べておいて、相手の心や過去を言い当てたかのように見せるテクニックです。

ホットリーディングを占いに使うのは今に始まったことではありません。

昔は占い・オカルト番組に、ホットリーディングのための調査チームがいたくらいです。たとえば、外国出身のタレントを占う回なら、調査団を海外に派遣して徹底的に生い立ちを調べ上げ、収録で使うなんてことは当たり前でした。

ーーテレビ番組が組織ぐるみで! では、現代の闇落ち占い師たちはどうやって情報を仕入れているのですか?

まねまね氏:今は相談者のSNSからいくらでも事前情報を調べられますし、ひどい例だとお客さんのカバンにスマートタグを入れるケースもあります。

次に相談に来たときに「家の近くにコンビニがありますよね」とピンポイントの情報を出して、当たっている感を演出することもあるようです。


ーーもはやストーカー行為では?

まねまね氏:占いの館なんかに雇われている場合は契約違反となるため、ほとんどの占い師はこんなことしません。フリーランスの占い師の場合は、気をつけたほうがよさそうです。

戦後最恐の占い師・細木数子

「占い師というよりヤクザ」細木数子が大儲けした「お墓ビジネス」を元占い師が解説。「今だったら一発アウト」
『幸せになるための先祖の祀り方』(KKベストセラーズ)
まねまね氏:そういう点で、細木数子は戦後最恐の占い師だと感じます。彼女はハッタリとカマシが非常にうまい占い師でした。いや、占い師というより、ヤクザが占いを覚えて商売にしたというほうが近いと思います。

ーーヤクザが占いを覚えたとは強烈な表現ですが、彼女の占いビジネスは一体何がそんなに恐ろしかったのでしょうか?

まねまね氏:一番有名なのは、墓石ビジネスです。

鑑定に来た人間に墓石を売るという単純な商売ですが、彼女が賢かったところは、今でいうアフィリエイトシステムを使った点でした。

彼女は、日常に追われて先祖を大切にする気持ちが薄れがちな現代人の隙をつき「あんた、だからダメなんだよ。ご先祖様に毎日手を合わせないと。」と言って、お墓をデザインしてあげるのです。

ーー不安と安心のギャップで、相談者にお墓を買わせるわけですね。

まねまね氏:そうです。しかし、ただお墓を買わせるわけではない、というのが細木さんの一枚上手なところでした。


細木さんがするのは、墓のデザインだけ。実際の販売取引は墓石屋と相談者の間で行わせる。

そうすれば、裁判沙汰になっても細木さんを刑事で訴えることはできないのです。

自分が訴えられるリスクを最小限に抑えて、墓石屋さんから紹介料を得る手法は、どの占い師も思いつきませんでした。

ーーリスクを背負わずに一番儲かるポジションを取るとは、占い師というより超一流のキレモノ実業家ですね。

まねまね氏:商売人としては非常に賢いと思います。

ちなみに、彼女の六星占術は恩師のパクりです。

あのときは時代が良かったから流行りましたが、情報がすぐに拡散する現代で同じやり方をやったら、一発でアウトでしょう。

まねまね氏が耳にしてきた占い業界の闇は、過去の巨悪だけに留まらない。後編では、ある母親が数百万円を騙し取られた生々しい実例と、占い業界にはびこるあまりに黒い「個人情報回収インフラ」の実態について切り込んでいく。

<取材・文/松浦さとみ>

【松浦さとみ】
韓国のじめっとしたアングラ情報を嗅ぎ回ることに生きがいを感じるライター。新卒入社した会社を4年で辞め、コロナ禍で唯一国境が開かれていた韓国へ留学し、韓国の魅力に気づく。
珍スポットやオタク文化、韓国のリアルを探るのが趣味。ギャルやゴスロリなどのサブカルチャーにも関心があり、日本文化の逆輸入現象は見逃せないテーマのひとつ。X:@bleu_perfume
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