インバウンド需要に沸いている日本。観光地はもちろん、大きな都市ではどこに行っても外国人の姿が目に入ってくるが、日本に住み、インフレ&物価高の影響を大きく受けている日本人からすると「日本の何がそんなに良いのか?」と疑問に思ってしまうだろう。
そこで、すこし日本にゆかりのある外国人に「日本の印象」を聞くことで、我々が忘れかけていた日本の素晴らしさに改めて気づくことができるかもしれない。
「なぜ日本ばかりこんなに美味しい?」オーストラリア人観光客が...の画像はこちら >>
オーストラリア人の音楽系エンジニア・マーカスさん。 かつて日本で英語教師として働いた経験もあり、現在は日本人の妻と娘と3人でシドニーに暮らしている。東京のビル群、原宿のポップカルチャー、秋葉原の熱量、奈良の歴史、大阪のグルメ、温泉……これまで何度も日本を訪れ、観光はひと通り楽しんできた。

だが、彼が日本滞在中にハマってしまったのはいわゆる「観光コンテンツ」ではなかった。

「とりあえずコンビニ」から始まる日本滞在


「なぜ日本ばかりこんなに美味しい?」オーストラリア人観光客が日本のコンビニでやみつきになった意外な商品
日本滞在中、マーカスさんが足しげく通ったセブンイレブン
日本に到着するとマーカスさんはとりあえず空港のコンビニに駆け込む。

「水をよく買ってた。あと、フレーバー付きの豆乳。抹茶とかチョコとか。ああいう小さいサイズが1本ずつ買えるのがいい。オーストラリアでは大容量のものばかりなんだ」

オーストラリアでは見かけない「ちょうどいい量」と「選択肢の多さ」が彼の心を掴んだようだ。

さらに彼はこう続ける。

「コンビニごとに商品の特徴が違うのも面白い。
ファミリーマートはパンがおいしい。ローソンはからあげくん、セブンイレブンはチョコ系が強い」

各コンビニの特徴まで把握してしまうほど、日本のコンビニは彼にとって「使い分け可能な日常的なインフラ」として機能していた。

セブンイレブンでハマった3つの神商品

マーカスさんが日本滞在中に繰り返し手に取っていた「中毒性の高いコンビニ商品」が3つある。

1つ目が「ブラックサンダーアイス」だ。

「なぜ日本ばかりこんなに美味しい?」オーストラリア人観光客が日本のコンビニでやみつきになった意外な商品
冬でも毎日のように食べていたというブラックサンダーアイス
「いろんなアイスを試していたんだけど、これを食べた瞬間に思った。『これがベストだ』って」

「チョコレートっぽいな」と思い、なんとなく手に取ってみたのがきっかけだったそう。

しかし、一口食べた瞬間……

「ワーオ!!」

と思わず声が出た。

「他のアイスと全然違う。ザクザクしているんだよ。今まで食べてきたクッキー&クリーム系のアイスクリームは時間がたつとクッキーがしなしなになってしまうけど、ブラックサンダーアイスはちゃんと食感が残っている!」

どうやらこのザクザク感がクセになったらしい。

「冬でも関係ない。セブンを見つけたら買っていたよ」

一時的なマイブームではなく「習慣」にまで昇華した、と言っても過言ではないだろう。

そして2つ目が「コンビニで玉子?」から始まった味付け玉子。


「最初に見たときは『変!』って思った。コンビニでゆで卵を単体で買うって、オーストラリアではほとんどないから」

正体がよくわからないまま半ば好奇心で手に取ったみたところ、これがまた美味しかったらしい。

「味がおいしいし、食感もいい。『もっといろいろ試してみよう』って気持ちになった」

この一件をきっかけに、彼の中で「コンビニ食品=とりあえず試す価値あり」というチャレンジ精神が生まれた。

3つ目めはピーナッツチョコ。

「なぜ日本ばかりこんなに美味しい?」オーストラリア人観光客が日本のコンビニでやみつきになった意外な商品
セブンイレブンのPB商品のピーナッツチョコ。開封したら最後、止まらないらしい
「ピーナッツとチョコレートは大好きだから。見た瞬間に『これは買う』って思った!」

結果は予想通り。

「おいしすぎて、1袋5分くらいで食べてしまうこともあったよ。値段も手ごろだし、サイズもちょうどいい。完璧。非がない」と大絶賛。

さらに、こう追加した。


「ナッツはヘルシーだからね」

チョコレートにコーティングされたナッツがヘルシーかどうかは議論の余地がありそうだが、少なくともご本人の中では納得感が成立しているようだった。

外国人が思う日本のコンビニの魅力とは?


「なぜ日本ばかりこんなに美味しい?」オーストラリア人観光客が日本のコンビニでやみつきになった意外な商品
1年に一度は家族で日本の滞在を楽しむマーカスさんの家族
なぜ彼はここまで日本のコンビニに惹かれたのか。

「どこにでもあるし、価格もそこまで高くない。それに、新商品がどんどん出てくる」

さらに、オーストラリアのコンビニとの違いも大きいという。

「オーストラリアのコンビニは値段が高いし、商品の種類も少ない。店員もそっけないんだ。でも日本は違う」

丁寧な接客、安定したクオリティ、そしてカフェレベルだという「セブンカフェ」にも賞賛の声を上げた。

マーカスさんがコンビニに感じたのは「おいしさ」だけではない。

「雑誌もコミックもあるし、ATMもあるし、印刷機もある。支払いも配送もできる。なんでもできるのがすごい」

日本語で多種多様なコンビニ業務をこなす外国人スタッフが多いことも印象的だったという。

こうした機能性の高さと均一な品質。それらが、彼が感じている日本の日常のクオリティの高さを支えている。


「最高、大好き、Yummy(おいしい)」に尽きる


「なぜ日本ばかりこんなに美味しい?」オーストラリア人観光客が日本のコンビニでやみつきになった意外な商品
観光名所を巡りながら、コンビニでも思い出を作るマーカスさん
最後に、日本のコンビニ文化を一言で表すとしたら?と聞いてみたところ、返ってきた答えは、

「最高。大好き。Yummy!(おいしい)」

観光地よりも記憶に残る場所がある。それがコンビニだとしたら、日本という国はやっぱりちょっとおもしろい。

一方で、彼が暮らすオーストラリアにもセブンイレブンは存在する。

日本のセブン&アイ・ホールディングスがオーストラリア事業を買収したことで、「日本のような商品展開になるのでは」という期待もあった。

しかし現状は、おにぎりやたまごロール、日本風の菓子パンが数種類並ぶ程度にとどまっており、品揃えの幅や商品の完成度という点では、日本の店舗とはまだ大きな差がある。

さらに、立地の違いも大きい。郊外ではガソリンスタンドに併設された店舗が多く、日本のように「ちょっとおやつを買いに行く場所」というよりは、移動の途中で立ち寄る補給ポイントに近い存在だ。

同じ「セブンイレブン」という看板を掲げていても、その役割や体験は日本とは異なる。

だからこそマーカスさんにとって、日本のコンビニは「食べる」「買う」といった機能を超えて、日常そのものの質を形づくる場所として記憶に刻まれているのだろう。

<取材・文/服部暁美(海外書き人クラブ/オーストラリア在住ライター>

【服部暁美(海外書き人クラブ)】
オーストラリア・シドニー在住。
世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
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