―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える!今回は、夫と5年前から別居している49歳女性からの相談。夫婦関係は冷え切り、友人や息子からは新しい相手を探すことを勧められているが、恋愛を始めることにも面倒さを感じているという。
離婚して新たな人生を歩むべきか、それとも今の生活を続けるべきか。そんな悩みに、佐藤が示した人生後半の過ごし方とは――

夫婦関係は冷え切り、5年前から別居しています

★相談者★ミッキー(ペンネーム)公務員 49歳 女性

 大学生のときにデキ婚して2人の息子はすでに社会人になっています。夫婦関係は冷え切っているというか、お互い無関心なこともあって5年前から別居生活を送っています。もはや、夫はいてもいなくても一緒という話をすると、友人からは離婚して新しい夫を探すほうがいいと言われます。2人の息子も、彼氏でも探したら?と言います。そのほうが刺激があると思う一方で、恋愛する面倒さも感じます。けど、このまま老いていくのもどうなのか?と考えてしまいます。これといった趣味もないので、この先50年近く生きることを考えると憂鬱になります。このまま今の生活を送り続けるべきか、思い切って夫と別れて新しい人生を歩むべきか? 佐藤さん、アドバイスをお願いします。

49歳で5年別居「離婚して彼氏を作るべき?」佐藤優が教える、...の画像はこちら >>

佐藤優の回答

 私は、離婚を急ぐ必要はないと考えます。あなたは5年前から別居していて、夫について「いてもいなくても一緒」と感じています。それならば、考えるべきことは、夫と別れるか、新しい男性を探すかではなく、「これから自分はどんなリズムで生きたいのか」です。ここで参考になるのが、非線形科学の第一人者である蔵本由紀氏の考えです。


〈リズム現象というものを広く解釈しますと、私たちの身のまわりには、実にさまざまなリズムがあることに気づきます。四季の移り変わりや潮の干満、昼夜のサイクル、海岸に打ち寄せる波のリズムなどの自然のリズム。呼吸や心拍、規則正しく発声するカエルやコオロギなど生命のリズム。太古から、人間はこれらのリズムとともに生きてきました。〉(『非線形科学』127頁)

 これは自然科学についての記述ですが、人生にとっても示唆を与えてくれます。人間にも生活のリズムがあります。仕事、一人で過ごす時間、人と会う頻度など、長い年月をかけて自分に適したリズムができます。あなたは2人の息子さんを育て、公務員として働き、今は夫とも別居している。人生のリズムが変わる時期なのでしょう。無理に新しい恋愛を始めれば、別の人間のリズムを自分の生活に入れることになります。それが楽しい場合もありますが、「恋愛する面倒さ」を感じているなら、その感覚を軽視しないほうがいいでしょう。

 ただし、「この先50年近く生きることを考えると憂鬱」という部分は気になります。
夫や子供を中心としていた時間が減ったのですから、今度は自分のためのリズムを作ってください。読書でも旅行でも語学でも構いません。小さな楽しみを生活に組み込むことです。

 離婚については、別に冷静な計算が必要です。公務員で安定した収入があるので、経済面の不安は比較的小さいと思います。しかし、住居、貯蓄、財産分与、退職金、年金などを計算し、一人でも生活を維持できるか確認してください。そのうえで、一人で暮らすほうが自分のリズムに合うなら離婚すればいい。現在の別居生活に不都合がないなら、急ぐ必要はありません。

 人生には固有のリズムがあります。49歳だから恋愛しなくてはいけない、離婚して人生をやり直さなくてはいけない、ということはありません。今必要なのは新しい夫ではなく、これからの自分に合った生活のリズムを作ることです。そのなかで離婚や恋愛が現実的問題になったときに、決断すればいいと思います。


★今週の教訓……彼氏よりも必要なのは、生活リズムを作ること

49歳で5年別居「離婚して彼氏を作るべき?」佐藤優が教える、人生後半の意外な過ごし方
自然界の秩序はどのように生み出されるのか? これまでの科学と異なる視点から、さまざまな現象の動的機構を明らかにする非線形科学の第一人者が解説。’07年刊
※今週の参考文献『非線形科学』蔵本由紀 集英社新書

―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―

【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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