新幹線に乗り込んで、さあ一息つこうと思ったところで、近くの席から大きな話し声が聞こえてくる。降りるまでの時間をどう過ごそうかと、ちょっと憂うつな気持ちになった経験はないでしょうか。

国土交通省の鉄道輸送統計月報によると、2025年10月に新幹線を利用した人は延べ4087万3000人。前年同月比で7.4%増えています(国土交通省「鉄道輸送統計月報(概要)(令和7年(2025年)10月分)」)。修学旅行のシーズンでもある1か月に、これだけの人が新幹線の座席に座っていたことになります。

新幹線でマナー違反の男性に“修学旅行生が放った一言”…空気が...の画像はこちら >>
今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ人気記事から、新幹線の車内で迷惑行為に遭遇した2人の男性の話。1人は、添乗員として同行していた修学旅行生のひと言で、その場が笑いに変わるのを目の前で見ました。もう1人は、相手から「ヤクザだ」と脅され、乗務員を呼びに行きました。

記事の後半では、駅や電車内でどんな行為が「迷惑」と受け取られているのか、鉄道事業者の業界団体が毎年実施しているアンケートを調べてみました。1位には、意外な項目が来ています。

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新幹線の車内で起きた小さな騒動

新幹線でマナー違反の男性に“修学旅行生が放った一言”…空気が一変、車内が笑顔に包まれたワケ/迷惑行為ランキングの1位は何なのか調べてみた
※画像は生成AIによるイメージです
 旅行会社の添乗員として、仙台の高校生の修学旅行に同行していた佐藤啓悟さん(仮名)。

 新幹線で新大阪から京都へ。たった15分ほどの区間だが、仙台から来た修学旅行生たちは車内の時間を楽しもうと窓の外を眺めたり、友達同士で語り合ったりしていた。

 そんな賑やかな車内の一角で、ある“事件”が起きた。

 通路を挟んで佐藤さんの反対側に座っていた中年のおじさんが、スマホで電話をしながら缶ビールを開け、おつまみを食べ始めたのだ。


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 声の大きさから電話で話している内容が周囲に筒抜けになっていた。手に持ったおつまみからは、カスがぽろぽろと床に落ちていく。

「さすが関西……」と思いながらも、佐藤さんは“学生たちが見ていますよ!”という視線を何度か送ったが、おじさんは通話に夢中で気づく様子はなかった。

マナー違反のおじさんに高校生が放った痛快な一言

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 その状況を見ていた佐藤さんの前に座っていたお調子者の男子生徒が、突然おじさんに近づいた。関西弁に馴染みのないはずの仙台の生徒だが、彼は完璧なイントネーションでこう言ったのだ。

「おっちゃん、食べカスが床にぼろぼろ落ちとるで~! 拾わなバチあたるで~!」

 車内の空気が凍りついた。しかし次の瞬間、あちこちから笑い声が起きた。周囲の乗客も振り返り、おじさんと同グループと思われる人からも「うまいこと言うなあ!」と声が上がる。

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 おじさんは「あ、ほんまや~!」と驚いた声を上げ、慌てて缶ビールを置くと、床に落ちたカスを拾い始めた。おじさんは顔を赤らめつつも照れ笑いを浮かべ、「気ぃつけるわ!」と続ける。

 生徒は間髪入れずに「頼んまっせ~」と返し、車内は和やかな笑いに包まれた。

 このやり取りがあったことで、忘れられない時間になったと佐藤さんは話す。

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 他人への注意は言い方が難しいものだが、あの生徒の言葉には不思議とカドがなく、状況を笑いに変える力があった。
関西のおじさんも、どこか嬉しそうに見えたのが印象的だったとか。

 京都駅に到着し降りる間際、おじさんはその生徒の方を振り返り、軽く手を挙げて「楽しみや」と笑顔で言う。生徒も笑顔で頷き、その光景を見ていた他の乗客までもが笑顔になっていたという。

新幹線の車内で激しい口論に…

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※画像は生成AIによるイメージです
 他人のマナー違反を注意した結果、前述のような“心温まるエピソード”で終わるとは限らない。続いて紹介するのは、大きな事態に発展してしまったケースだ。

 林田智さん(仮名)は、友人との別れを惜しみながら新幹線に乗り込んだ。

 その日は空席が多く、車内はのんびりとした雰囲気。本でも読もうかと思っていた矢先、初老の男性が大きな声で携帯電話をかけ始めたのだ。

「静かな車内に男性の話し声が大きく響き渡り、周囲の乗客は誰もが不快そうな顔をしていました」と林田さんは振り返る。

 そんな時、林田さんの後ろに座っていた若い男性が突然、声を荒げた。

「おい、うるせーな!」

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 通話中の男性は咄嗟に電話を切り、その場で相手を睨みつけた。

「なんだお前!」
「うるさいんだよ!」

 口論が始まると、車内の空気はピリピリと緊張感を増していった……。

「俺はヤクザだ」脅迫してきた男性の末路

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 林田さんも我慢できなくなり、電話していた男に向かって声を荒げてしまったという。

「大声出すな!」

 すると、その男は急にこう言い放った。


「俺はX組のヤクザだ。新幹線を降りたら組員が待ってる。どうなっても知らんぞ!」

 林田さんは、“ハッタリ”だと思った。もしも本当に彼が反社会勢力の一員だとしても、このような小さな騒ぎに組が動くとは考えにくい。

 そもそも一般人を相手に暴力団の名前を出すのは、明らかに脅迫行為にあたる。

 そこで林田さんは冷静に返した。

「それは脅迫罪ですよ」

 男はその言葉に驚いた様子で言葉を失った。周囲の乗客も林田さんたちのやり取りに注目していた。

 次第に林田さんたちに加勢する乗客が現れ、男を取り囲むような状態となったのだ。

「それでも男は引き下がらず、怒鳴り返してきました。このままでは埒が明かないので、乗務員を呼びにいくことにしました」

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 事情を話すと、すぐに本部まで報告するという。まさか、ここまでの事態になるとは……。


「やがて次の駅に到着すると、ホームから駅員たちが慌てた様子で駆け込んできました。男は渋々ながらも連行されていきました。駅員たちが車内をまわって、暴力を振るわれていないか、乗客たちに声をかけていました。

 毅然とした対応と細やかな気配りに乗客の誰もが安心感を覚え、感謝の気持ちを抱かずにはいられませんでしたね」

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 新幹線の車内で何かあれば、乗務員に伝えるのがいちばんだ。

<文/藤山ムツキ>

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■迷惑行為の3位は「騒々しい会話」

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※画像は生成AIによるイメージです
日本民営鉄道協会が2025年10月から11月にかけて実施した「駅と電車内のマナーに関するアンケート」には、5202人から回答が寄せられました。迷惑だと感じる行為の総合ランキングは、1位が「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」で34.7%、2位が「座席の座り方(詰めない・足を伸ばす等)」で31.9%、3位が「騒々しい会話・はしゃぎまわり」で30.2%でした(日本民営鉄道協会「2025年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」)。

3人に1人近くが、車内の話し声を迷惑だと感じている。前半で佐藤さんが何度も視線を送り、後半で周囲の乗客が不快そうな顔をしていたのは、特別な反応ではなかったことになります。

■「通話の声」は、スマホの不満のなかでは4番目

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※画像は生成AIによるイメージです
同じ調査には、「スマートフォン等の使い方」のうち最も迷惑に感じる行為を聞いた設問もあります。1位は「歩きながらの使用」で39.1%、2位が「混雑した車内での使用」で28.4%、3位が「乗降しながらの使用」で18.6%。「通話の声や着信音」は6.6%で、4項目のなかで最も低い数字でした。

車内での通話は、長くマナー違反の代表格とされてきた行為です。順位だけを見ると、いまはそれほど問題視されていないように読めます。
ただ、この項目は昨年度の4.8%から上がっていて、気にする人が減ったとまでは言えないようです。

なお、総合ランキングは3つまで選べる設問で、スマホについての設問は最も迷惑なものを1つだけ選ぶ形式です。30.2%と6.6%を並べて「話し声より通話は気にされていない」と言えるほど、集計の土台は揃っていません。

あの15分間、声をかけるべきか黙っているべきか。調査結果のどこにも、その答えは書かれていません。ただ、3割という数字の向こうには、言おうかどうか迷ったまま降りていった人が何人もいるのだろう、とは思います。次に乗って困ったときは、乗務員に伝えればいい。それだけ頭の隅に置いておくと、少し気が楽になるかもしれません。

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<再構成/日刊SPA!編集部>

【藤山ムツキ】
編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。
X(旧Twitter):@gold_gogogo
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