人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌を長年担当したことで知られる歌手のささきいさおが24日、都内で芸能活動復帰宣言記者会見を開催した。
今年1月、仕事に向かうための電車で一時的に意識を失った。
間質性肺炎は高齢者が亡くなるケースも多い危険な病。ささきも延命治療に関する書類を提示されるほどの状態だったといい、「医者から死ぬって何度も言われて脅された。覚悟してました」と振り返る。96%以上が正常値とされる血中酸素飽和度は50%程度。最初の3日間はICU(集中治療室)にも入った。
しかし、医師や看護師による懸命な治療もあって奇跡的に回復した。ステロイド治療が効いたといい「元気になって上(一般病棟)に行くことはうれしかった」としみじみ。入院から約1か月後の2月21日に退院を果たした。
苦しい胸の内も想像に難くないが、意外にも「のんきだった」と笑い飛ばす。「割と人の生死に関しては淡泊。
現在はリハビリ中。「腰を伸ばすのは大変なんですけどね」と笑ったが、とても最近まで大病を患っていた82歳とは思えないパワフルな姿がそこにはあった。
ただ、歌手にとっては命とも言える声に関しては苦戦。入院中は口や鼻に管がつながれ、しゃべることすらままらなかった。「退院するときには全部良くなっているだろう」と楽観視していたが、退院後も痰(たん)が絡み「このままだったら終わりだな」と芸能活動への復帰は見通せなかった。
それでも、医師から処方された薬や「寝ているときに乾燥させないように口をふさぐシールを貼った」と様々な処置を施したことで回復。「声が出るようになったのはこの一週間くらい」と持ち直した。
27日と5月5日には早くも復帰ステージを予定。スピード復帰に「神様は俺のことを見捨ててないなと。運が良いんだと思いました」と喜びをかみ締める。
今年はデビュー65周年の節目。「あっという間だった」と心境を漏らす。歌手の他、声優、司会者などあらゆる仕事で必死に食いつないできた。「右往左往しながら綱渡りで生きてきましたからね」。大病を乗り越えたその言葉には、より重みがあった。
7月には65周年を記念したベストアルバムの発売も予定しているが、今後の活動は体調を見ながら決めるという。「2回のイベント(4月27日と5月5日のステージ)をやり遂げて元気だったら。あとは様子見でね」。“生かされた命”を大切に、声が出る限りは歌い続ける。